掻爬手術

「早く処置しちゃったほうが早くまた治療に戻れるからね!大丈夫大丈夫!」と
産婦人科の先生はテキパキと日程を2日後に決めた。
今となっては悲しむ隙を与えないようにしたのか
ただ単に慣れているのかよくわからんが
気持ちは完全に着いていけず、わりとボロボロで迎えた2日後。

朝9時に夫に病院まで送ってもらったら
(コロナ禍なので中は入れず)
隣の車から臨月でお産に来た妊婦が
旦那さんに見送られ
がんばってくるね〜と笑顔で手を振っていた。
あの人はここ数日で赤ちゃんが産まれるんだなあと
いいなあと思った。

そのあとは改めてエコーで心拍が止まっていることを
確認して、前処置のラミナリアを入れて
1時間くらい個室で待機。
この個室が酷かった。個室なのは有り難かったが
目の前が新生児室。
ずーっと赤ん坊のホヤホヤ泣き声が聞こえるので
悲しいし虚しいしで何回も泣いた。
地獄のような時間だった。耳栓欲しかった。

手術前にトイレに行っておけと言われ
トイレに行こうとしたら、今にも産まれそうな
妊婦が、看護師に支えられながら
廊下でうめいていた。
どうやらトイレに行きたかったらしく
側から見ても壮絶な感じで、
「ごめんね!先トイレ使っていいかな?!」と
支えている看護師に言われ、そりゃもう
「どうぞどうぞ!私なんて全然大丈夫ですので!!」と
ぺたんこのお腹で心で泣いて。

いざ手術となり、連れて行かれた部屋は分娩室。
お産と同じなんだな。
自分で台に上がって、
あとは心電図やら血圧やら酸素マスクを付けられて
あっという間に麻酔で眠った。
看護師さんが優しくて、怖いよね、大丈夫だからね、
また妊娠できるからね。とか
いろいろ声かけてくれて涙がこぼれた。

麻酔から覚めてぼんやりしてるときに
「これ病理持ってってー」と聞こえたのは
たぶん赤ちゃんのことだと思った。

隣も分娩室で、同じ時間に生まれた人がいて
ほんぎゃーと赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて
なんかめでたい音楽が流れてた。
無事に産まれてくれてよかったなぁと思った。
そしたら今の自分と比べてまた涙が溢れた。
泣いてる私に気づいた看護師さんが
「痛かったよね、ごめんね」と
声をかけながら涙をティッシュで拭いてくれてた。
「違うんです、痛いんじゃなくて、悲しいんです」
声にはならなかった。本当に涙が止まらなかった。

自分で個室まで歩いて戻って、
夫に連絡だけLINEして、30分くらい寝て
大丈夫そうだったので着替えてお会計。
22000円だった。
9時前くらいに行って、
12時半くらいには退院できた。

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