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マネーフォワードの原点に立ち返る〜アクセシビリティステートメントに込めた想い〜

マネーフォワードは本日、「アクセシビリティステートメント」を公開しました。
※ステートメントの全文は、こちらをご覧ください。

今年4月から、改正障害者差別解消法が施行されます。この法改正では、障害のある人もない人も共に暮らせる社会を目指し、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられます。

マネーフォワードは、Visionとして掲げる『すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。』ことを目指してサービスの開発に取り組んできました。なぜ、このタイミングでアクセシビリティステートメントを公開したのか、ステートメントを通してどんな世界を実現していきたいのか、マネーフォワードグループ執行役員 CDOのセルジオさんに聞きました。

伊藤セルジオ大輔(いとう せるじお だいすけ)
株式会社マネーフォワード グループ執行役員 CDO

アクセシビリティ向上に取り組むメンバーの輪を広げていきたい

ー今回、ステートメントという形でアクセシビリティ向上への取り組みを宣言した理由を教えて下さい。

マネーフォワードは、祖業である資産管理・家計簿アプリの『マネーフォワード ME』や、バックオフィス向けSaaSの『マネーフォワード クラウド』などのサービスを提供しています。おかげさまで、『マネーフォワード ME』のユーザーは1530万人以上、マネーフォワードクラウドは30万以上の事業者に使っていただけるまでに成長しました。

マネーフォワードの全ての取り組みの根底には「User Focus」という考え方があるので、より多くのユーザーにサービスを届けたい、という想いは、メンバー全員に共通しています。ここ数年では、より多くの方に使いやすいサービスを目指して、UIのカラーコントラスト比の配慮や、一部プロダクトで言語切り替え機能を実装するなど、そういったアクセシビリティ向上には取り組み始めていました。

ただ、これらの取り組みについては、マネーフォワード全体で統一した指針を持っていたわけではなく、各プロダクトの担当者が自主的に改善を重ねてきた、という状態でした。アクセシビリティ向上というテーマは、デザイナーやフロントエンドエンジニアのように、プロダクトのインターフェース部分の開発に関わるメンバーであれば当然気にかけていたのですが、それ以外のメンバーの意識には、正直ばらつきがありました。まだまだアクセシビリティに配慮したプロダクトの実装はできていないというのが実態です。

でも、僕たちのサービスがこれだけ多くのユーザーに使っていただけるようになり、生活や事業を支えるインフラのような存在になりつつある以上、会社として、今まで以上にアクセシビリティの向上に力を入れていかなきゃいけないフェーズになっていると捉えています。メンバー全員がそれぞれの活動の中でアクセシビリティ向上に意識を向け、取り組みの輪を広げていくためには、一つの指針が必要なのでは、と考えるようになりました。

加えて、もちろん改正障害者差別解消法の施行にも目を向けていたので、改めてこのタイミングで、マネフォワードがアクセシビリティに対してどう考えているのか、社内外に宣言していきたいと思いました。

オフィスで談笑している2人の男性の写真
CDOのセルジオさん(右)と、フロントエンドエンジニアとしてアクセシビリティ向上に取り組む清川さん(左)

障害の有無や年齢、オンラインやオフラインにとらわれない取り組みを

ーアクセシビリティと言うと、良く聞かれるのはWeb上での取り組みですが、マネーフォワードの取り組みは、Webだけに限定したものではないのでしょうか?

そうですね。僕たちが行動指針として掲げているValuesには、「User Focus」に加えて「Fairness」という考え方も含まれています。ユーザーの方はもちろんのこと、社員、株主、社会などのすべてのステークホルダーの皆さまに対してフェアに誠実に向き合うという想いを込めています。

僕たちは主にWeb上でサービスを提供していますが、ユーザーやパートナーの皆さまとは、日々の営業活動やユーザー向けのセミナー、広報、IRなどの場面で、オンラインとオフラインを問わず、多数のタッチポイントを持っています。

それを踏まえると、僕たちのアクセシビリティ向上の取り組みは、Webアクセシビリティだけに留まらず、より広く、ステークホルダーの皆さまにとってのアクセシブルな状態を実現していく取り組みであるべきだというように考えています。

ーマネーフォワードが目指すアクセシビリティのあり方について、どのように考えていますか?

アクセシビリティに関しては、先行して素晴らしい取り組みをされている企業がたくさんいらっしゃるので、それをめちゃくちゃ参考にさせてもらいながら、今も考えています(笑)ただ、セミナーに参加したり、個別にお話を聞かせてもらったりするなかで、マネーフォワードのアクセシビリティ向上の原点になっているのは、初めて作ったサービスである『マネーフォワード ME』なんだな、と改めて感じました。

『マネーフォワード ME』は、様々な金融サービス上に散らばった自分のお金に関する情報を、安心・安全かつ簡単に把握できるようになったら良いよね、という想いで作ったサービスです。言い換えると、個人のお金に関する情報へのアクセシビリティを向上させるためのサービスなんですね。

お金に関する情報は秘匿性の高いものですし、介助者など、ユーザー本人以外の方からのサポートを受けづらい情報だと思います。障害の有無や年齢に関わらずアクセスしやすい状況を実現するのは、アクセシビリティの最も本質的な取り組みですし、金融情報へのアクセシビリティ向上に取り組んできた、というこれまでの経験は、マネーフォワードならではのものだと思っています。

様々な情報にアクセシブルなサービスを作っていくためにも、原点にある想いは常に忘れずにいたいですね。

今回のアクセシビリティステートメント策定にあたっては、『アクセシビリティ委員会』という組織を発足させました。
マネーフォワードはBtoC、BtoBを問わず50以上のサービスを提供しています。先ほども少し話題に上がりましたが、それだけ、多種多様なステークホルダーの皆さまと関わる機会があります。

そのため、あるべき状態を様々な視点で考えられるよう、僕のようなデザイナーに加え、エンジニア、カスタマーサポート、人事、法務・コンプライアンス、広報といったメンバーで構成されています。

6名の男女の集合写真
アクセシビリティ委員会のメンバー

ーステートメントはスタート地点かと思いますが、今後はどんなことに取り組んでいきますか?

マネーフォワードのサービスには、まだまだ改善できるところがたくさんあると思っています。

一口にユーザーの声を聞くと言っても、問い合わせ窓口にたどり着けていない方もいらっしゃるかもしれませんし、法人向けサービスの場合、窓口になっている代表の方と実際のユーザーの方が異なる場合もあります。障害のある方からフィードバックをいただく機会も、もっと増やしていかなければいけません。顕在化していないユーザーの要望を見つけることは、重要なテーマだと思っています。ユーザーから頂いた声を、すぐに開発に活かせるような社内の体制整備も必要ですね。

アクセシビリティ向上に取り組むための輪を、社内外にさらに広げていけたらと考えています。