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ドイツ歌曲の話 詩人の恋 Dichterliebe #7 涙は苦いかしょっぱいか
4.
Wenn ich in deine Augen seh,
So schwindet all mein Leid und Weh;
Doch wenn ich küsse deinen Mund,
So werd‘ ich ganz und gar gesund.
君の目を見れば
悩みは消えてしまう
君に口づけすれば
すっかり元気になってしまう
Wenn ich mich lehn an deine Brust,
Kommt’s über mir wir Himmelslust;
Doch wenn du sprichst : ich liebe dich!
So muss ich weinen bitterlich.
君の胸に寄りかかれば
天にも昇る気持ち
「愛してる」と言ってくれれば
僕は泣いてしまう
Langsam ゆっくりと
ト長調。前曲の下属調。調性の関係で見ていくと流れるように進みますね。
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前奏は..あると言っていいのか、ないと言っていいのか。ジャーンと主和音がなり、その第三音で語り出す。こういう音型の時は、歌は歌うのではなく、語るのです。少し自由度が高くなります。
次のフレーズで和音はヘ長調ーハ長調に移り変わります。「すっかり元気になる」というところでハ長調、というのが分かりやすい。やはりハ長調は健康的です。私はこれも全音下げて歌ってるから変ロ長調になるわけですが、許容範囲?ということにしておきましょう。
で、次、その健康的なハ長調から、ロ長調に。シャープ5つ。ハ長調からはものすごく遠い調です。甘く、エロティックとも言える描写。君の胸に寄りかかると天にも昇る気持ち。確かにこれは健康的なハ長調から遠い遠いところに行かなければいけませんね(笑)
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そして減七の和音の下降アルペジオ〜非和声音〜解決。彼女が「好きよ💖」と言ってくれるところ。彼女の言葉だと強調せんばかりに、歌のオクターブ上をピアノがなぞる心憎さ。とどめにリタルダンド!
「いいわねえ、お若い方は!」と大阪のおばちゃんである私は詩人の肩をバシバシ叩きながら言ってしまいそう。
和音が詩を語ってくれる、そんな曲です。
そして最後。So muss ich weinen bitterlich.
「君が好きよだなんて言ってくれたら、ぼく、号泣しちゃうよぉ!」ってところなんですが、このbitterlich という言葉。激しく、という意味です。よく、泣くとか、嘆くとかいう単語と結びついて使われます。これ、うれし涙の時にも使える言葉なんだろうか。bitter、苦いという言葉が入ってるじゃありませんか。なんか不吉な予感がしてしまうのは私だけでしょうか。
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