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ドイツ歌曲の話 詩人の恋 Dichterliebe #11 ハ長調バンザイ
7曲目 Ich grolle nicht の続き。
まずは歌の繰り返しを反映した詩がこちら(日本語訳)
僕は恨まない
心が張り裂けたとしても
永遠に失われた恋!
僕は恨まない 僕は恨まない
ダイヤモンドで飾ってみても
その輝きはおまえの心までは届かない。とっくに知っていたさ
僕は恨まない
心が張り裂けたとしても
夢で見たのだ
おまえの心の闇を
おまえの心を喰らう蛇を
おまえのみじめな姿を
僕は恨まないよ
僕は恨まないよ
ハ長調、四分の四拍子、なんて、小学校の教科書に出てきそうな、ド直球。
一点の曇りもない晴れやかな心を装ってこの歌は始まる。しかし、突き刺すような右手のアクセントが気になる。
〈nicht zu schnell 速すぎず〉という速度表示があるが、そもそもこのアクセントを表現したければ高速で演奏することは出来ないだろう。この八分音符の連打は形を変えながらも最後まで貫かれる。
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その後、上に太字で書いた「僕は恨まない」と歌うたびにこのハ長調に戻ってくるわけですが、そこに至るまでの、無理矢理に解決を拒むような和音の進行。四行目の太字のものなどは途中に減七の和音まで使っている始末(笑)僕はうら..... まで、恨むのか恨まないのか分からなくて、「まない」でやっと分かる、みたいな。メロディーだけ見ればきれいにハ長調だけど本当はIch grolle nicht のnichtでやっとハ長調。ここ、好き(笑)
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歯を食いしばって、不自然な笑顔で「僕は恨まない」と言っているよう。目は笑ってないでしょ
いくらハ長調で歌ってみても、その途中の和音を見れば心が透けて見えますよ、というお話。
そもそも、詩だって不自然。「僕は恨まない」以外の場所は彼女のことボロクソに言ってるじゃないですか。お前、黒いやつめ!って。
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