魔族会議中止から現在までの経緯
(こちらは、何が起きたのかを詳細に記録しておこうっていうやつで、短編演劇まつりのテンションにそぐわない真面目な文章です。必読な文章ではないです)
(簡潔にまとめるつもりが、どうしても熱が入ってしまって長くなってしまいました。必読な文章ではないです(二回目))
4月23日 23時過ぎ。
駅前劇場から連絡を受けた制作さんから、ラインが来る。
緊急事態宣言のために、有観客での公演が中止となることが言い渡された。
協力依頼ではなく、要請であったため、やむを得ず。
この時点では実感がなかった。
考えていたから、というわけではなかった。今まで僕は、運が良くて、公演を中止にしたことがほぼなくて、今回もきっとできるに違いない。そう信じて突き進んできていたから。
それだけでなく、有観客が中止、じゃあどうするんだ?という、ここから何をどうするんだということを考えないといけなかったから、自分と向き合う時間はなかった。
無観客での配信公演なら行っていい、とのこと。
この時点で中止の選択肢は僕の中にはなかった。まだ作品を作ることができるんだ、と。
そのまま深夜、劇団員と制作さんとの協議一回目が行われ、翌日の稽古の中止が決まり、さらなる協議を重ね、客演さんへのヒアリング、協議を重ね、そして、さまざまな事情により「無観客での配信公演」の中止が決まる。
さまざまな事情は、本当に様々で、決して長い時間ではないけれど、配信公演ができる道筋がないかを探し尽くしたと言って過言ではないと思う。
苦しかった。もうここまで来るとどうしたってエゴのぶつかり合いになる。
でも喧嘩がしたいわけじゃないんだ、演劇がしたいんだ。
できない理由だって全部わかるものだった。環境も、立場も、経済面も、想いも、本当は言いたくないことだってたくさんあっただろうに、たくさんのことを話し合った。劇団員だけじゃない、客演さんも正直な気持ちを語ってくれた。みんなわかってると思うけれど誰も悪くない。誰かを責めるなんてこともなかった。
劇団として、主宰として正しい判断をしたのか。それだけはこれからわかってくることだと思っている。責められることもあると思うけど、それは、この立場の人が担う物だと思っている。
「それでも、何かやりたい。」
ここを掘り下げることは今はまだ出来ない。とても複雑で、やる選択もやらない選択も、貴賤はない。
そう判断したし、その判断に異を唱える人がいなくて、恵まれていると思ったことだけ言っておきます。助けられている。
そして急遽新企画が立ち上がる。短編公演を、配信公演でやれないか。
夕方のあたりで、頭を回しすぎて、血が回りすぎたのか、治療中の歯が痛み始める。深夜まで通話やリモートで色々しながら、痛みどめは効かないけど集中したらいけるなって気持ちになっていた。
(ちなみに、週に一回歯医者に行く、を二ヶ月続けていた状態でした。)
25日
朝。めっちゃ痛いな歯。かかりつけの歯医者が休診日。日曜日だしやってるところも少ない。悩むより病院だ、と思ったんだけど、日曜だから予約は取れないし、かかりつけがあるなら見れないって断られたりした。痛くても仕方ねえ、って覚悟を決める。なんかほっぺたが腫れ始めたな?って気がし始める。
無観客の配信公演の中止と、短編を配信することを説明する会が日中に行われる。そして夕方に、一部の出演メンバーで稽古を行う。
稽古というよりも、台本選定を手伝ってもらう、だった。ひたすら、人数や時間や、現実的に可能かどうか、など。
今までたくさん短編やってきててよかった。
稽古後、劇団員でまたリモートでミーティング。台本の確定、配役の相談に乗ってもらう。
希望の光は見えてきていた。完全に中止にしないで済む。
魔族会議は終わってしまったけれど、新しいものを産み出せるんじゃないか、と希望が出てきた。
この時点で痛みがすごくて息も絶え絶えになり、劇団員がすごい頑張ってくれていた。申し訳ない。
やるからにはやりたいってことをやりたい。結果、7本の短編を作ることになる。正直まじか、って思ったけど、安全策を取るよりも突き進んでいくエネルギーを信じることにした。
26日の朝一で歯医者の予約が取れたので、踏ん張る。寝坊しないように、時間に余裕?のある劇団員にリモートで作業とか雑談とかをしてもらう。
この頃、頬はすでに4倍くらいに腫れ上がっていた。思わず写真も撮ったけどひどくて載せられない。左目が開けにくくなるくらいになっていた。
26日
元々のラストオフ。それでも、各劇団員や制作さんは、短編の準備に向けて奔走してくれていた。
朝一で歯医者にいき、口の中を切開、膿を出すことをした。この時が一番痛い。でもこれで大丈夫のはず…と思い込んでいた。
病院の紹介状を渡される。
正直嫌な予感はしていた。昨晩から熱がある気配はあった。でも腫れてるからだ、って言い聞かせていた。
歯が弱いらしくて虫歯になりがちな自分なので色々調べたことがある。
でも、そんな、まさか。
歯科口腔外科に11時に着く。
診察を前に、顔を見られて、血液検査とレントゲンをしてくるように、と言われる。
いろんな部署をたらいまわしにされる。
早く公演のことがしたい。
血液検査の結果がPCに表示される。
「あー、これは・・・(笑)」
そんなわかりやすいPC表記にしないでほしかった。
いくつかの数値が赤文字で、「H 緊」って出ている。
この2文字から良い方向を連想するのが無理だった。
なのにほったらかされて遠くで数名で話し合いが続けられている。待ってて、とも言われていない。談笑もしてる。こっちには色々なものがかかってるんだぞって思ったんだけどそんなこと知らないし関係ないもんね。病院柄仕方ないんだけど、すごいたくさんの人が見にきたし患部に触ってくる。
ここで、今すぐにでも入院したほうがいい、と告げられる。
予想できていたので「嫌です」と答えたら病状を説明された。
頬の腫れから菌が血液に入り、全身に巡っている。
血液の炎症の数値が通常の100倍以上、白血球の数も3倍以上出ていて、飲み薬ではもうどうしようもできない。点滴を打ち続けなければならない。
菌が臓器や脳に達した時に活動を停止してしまうかもしれない(調べたことのあるやつだった。敗血症のやつですね)
そうなった時に、外だと間に合わないかもしれない。
最短でも退院に一週間かかる。
入院したほうが・・・ねぇ・・・?って言われる。
しなさい、とは言ってくれないんですねこういう時。確か強制できないんじゃなかったっけ、とか色々考える。
とにかく一度点滴を打つからと、横にされて点滴を打たれる。
打たれながら色々なことを考える。
ここで初めて、
魔族会議が中止になったんだ。配信もできなかったんだ。
新企画を立ち上げて、みんな頑張ろうとしていたんだ、ってことが頭をよぎり始めて、そして、その全てをぶち壊してしまうことを思って、絶望していた。
劇団員と制作さんと家族にライン。
逆の立場でもそう言ったと思うけど、「体を大事にしろ」と言われる。
緊急入院することになる。
そこからはもう色々。
劇団員と制作さんとで作業を割り振って、方々に連絡をとって、目崎がいなくても公演を行おうとしてくれて、さらに奔走。
新企画参加者にも改めて意思確認。全員に何度意思確認させてるんだ、って思う。
病院にWi-Fiがないことを知り、一時帰宅の後、できることを短時間で行い、準備をして入院する。入院前にPCR検査もする。やったことない鼻からの奴でしんどかったけど関係ないくらい心が折れていた。
公演の詳細や、目崎の状況を劇団が明かすかどうか、発表の準備、が整ったのが、29日の朝。
どれだけたくさんの人に迷惑をかけ、支えられているのか。
27日からは通信料がやばいことになりながら、身体を労りながら、リモートで稽古をしてみています。
全方位に感謝しかない。
こんな状況なのに笑って楽しんで稽古して、力を添えてくれているキャスト・スタッフ。発表を様々な形で受け止めたり反応してくださった皆さま。
ありがとうございます。
30日現在、快方に向かってきているとのこと。
退院日はまだ決まらず。一刻も早く退院して現場に戻りたい。
でも焦ってもいけない。みんなを信じてできることをしよう、としています。
ここまで含めて、自分は運が良いのかもしれない。人に恵まれているのかもしれない。
こんな事態になってまで、演劇やれてるんだから。