小満、萌え上がるような

スマートフォンを急にどこかに置き忘れるようになった。物や事や人の名前を覚えなくなった。背景を知りたいと思うようになった。ささやかな面倒ごとをえいっと取り掛かることが少しだけできるようになった。

 本当は今日皮膚科に行くことにしていたけど、恋人と久しぶりに少し長く、過ごせる日だったので、予約の時間ちょうどになんとか起きて電話をして、嘘をついてキャンセルした。ごめんなさい。二度寝もした。

 こないだ買ってきた好きな器で思うようにごはんを食べて、手に取った2冊は、今の自分にぴったり正解だったと思う。
これから明日の気温を気にして服を決めてお弁当を詰めて、お風呂に入らなくちゃいけないけど、最近のうまく生きようとせかせかした疲れから解放されるような。やっとひと息、もとの自分を取り戻した。

うちの母は「べき事」をたくさん積み重ねて働いて(それはちょっとの頑張りで後を楽にするという性分からのものだけど)、腹ぺこでやっとごはんにありついた時、「ああやっと少し人間にもどったー」とよく言う。心からその気持ちで本を読んでいる、今のわたし。

健康や人らしさや可愛らしさのために、切りつめる項目がどんどん増えてきている。心の為になることがあるのも知ったけど、本来は放り出したいことも多い。

白湯を飲むようになった。体にいいらしい。手間もない。沸かしたてをカップに入れて、ちょうどよく冷めたかな、というタイミングで飲む。めんどくさがって水を適当に入れたり、他のことを始めたり、放っておきすぎてぬるかったりする。
本を読みながらなんの気なしに「ふーふー」してみた。ら、なんと丁度いい温度か。心底びっくりした。
誰にもどんな評価も得たくなくて「ふーふー」を避けていたらしいことに思い至る。生きづらかったのかなあ。こういうことの積み重ねが効いてくる時期である。
まあその割に元気に生きてきたので、また少し楽になれた自分にバンザイをあげようと思う。

人からもらってきた鰻弁当を半分だけタッパーにあけて包んでいく。というストロングスタイルのお弁当で、明日も職場から香りテロだなんだとブーイング間違いなし。

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