不毛

不毛会議 #19

「間違ってる可能性があるから内線しろ!!」

この会社には館内放送というのがあった。電話の受話器をとりボタンを押すと「キンコーン」とスピーカーから全社屋に向けて合図が鳴り、その後1階から3階まで響く社内マイクアナウンスが利用できるというわけだ。
これで、どこにいるかわからない人を呼んだり、外線に出ることを促せたりする。

そんな館内放送を使い、自らスタッフを呼び出したアズナブル。
キンコーン「内線、鈴木社長室まで」
という塩梅だ。
呼ばれた鈴木という社員は社長室にダッシュする。1階にいれば3階までダッシュで1分位だ。
すると社長室を開けるなり怒声で食らった発言がこれ。

名前を呼ばれたから行ったにも関わらず、「お前じゃねぇ来る前に確認しろ」という理不尽さ。考えられるだろうか。

呼ばれたら社長室に内線をして「本当ですか?」とでも聞けというのだろうか。間違いなく殴られてもなお、お釣りが来るだろう。

立川談志師匠が修行とは「理不尽を受け入れる事だ」と言ったとか。だとするとこれは修行かもしれない。
例えばラーメン屋で

「おやじ、チャーシュー麺」
「はいよ、チャーシュー麺お待ち」
「バカ違う、確認してから作れ」

と言ってるようなもんだ。
これが理不尽で無いはずない。

この発言で学びがあるとしたら、アズナブルの脳の構造は非常にシンプルにできていると言うことか。
彼はきっと、過去なんてつまらんものは振り返らないんだろう。来たことに現実的に対処するだけだ。そう、アズナブルには落ち度なんかあるわけないのだ。

つづく


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