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「宇宙の力」

まだオーストラリアに住んでいるときに、友人が「マーフィーの法則」について書かれている本を貸してくれた。

20年以上前のことなのでほとんど覚えていないが、「ずっと願い続けていれば、宇宙の力が作用してその願いを叶えてくれる」というような主旨であったと思う。
そして、「叶えたいことを紙に書いて、いつも携帯するとよい」と書いてあったので暇だった私はいくつかの願い事を書いて財布に入れていた。

3つくらい書いたと思うが、その中に「自動車の免許を取る」というのがあったのは覚えている。

オーストラリアの運転免許は、教習所に通うのではなくて、自分で勉強して筆記試験に受かるとLライセンスをもらえる。
Lライセンスは、運転免許証を持っている人が助手席に乗っていれば公道でも運転することができる。
そうして運転ができるようになれば実技試験を受けて免許証取得という流れになっていた。

しかし、留学生であった私には運転を教えてくれるようなベテランドライバーの知り合いや親せきはいなかった。
お金を出して運転を教えてもらうことはできたのだが、人見知りで面倒くさがりの私はどうしてもその一歩が踏み出せなかったのだ。

結局、免許証を取得したのは帰国後のことであり、数万円で免許証が取得できるチャンスをたっぷりと時間をかけて逃してしまった。
「でもまあ、最終的には願いが叶ったじゃん」とも言えるが、宇宙の力なんぞまったくもって作用していない。
高いお金を払って、仕事のあとにせっせと教習所に通って免許証を取得しただけの話である。

まあ、そもそも「自動車の免許を取る」なんてただのTo Doリストだ、馬鹿だなぁ、自分。

それならば。
あのとき何を書くべきだったのかと考えるとなかなか難しい。

昔なにかの4コマ漫画で、山に登ってはゴマ祈祷を繰り返し、「どうか私を○○大学に合格させてください」と願う男に「さっさと家に帰って勉強しろ」と神様がつっこむ話があった。

そういうことである。

思いつくことはほとんどが自分の行動次第で叶うものなのだ。
純粋に「宇宙の力」が必要なこととはなんだろうか?

そういえば、ジャニス・ジョプリンの曲で「神様、私にメルセデスベンツを買ってください。友達はみんなポルシェに乗っているから見返してやりたいんです」という歌詞があった。
大きい車をもらってもなぁ、税金高くなるし維持費がなぁ。

うん、かなり脱線してしまったし、これはちょっと違うな。

まあ、とにかくこういったことを何も考えずに「自動車の免許を取る」とか書いてしまう二十歳そこそこの自分が情けなくもあり、愛おしくも感じる。
生まれた時からこういう性格なのかと思ってしまうが、やっぱり年齢を重ねるたびに変わってはきているのだな。

46歳になった今、また新しく願い事を書いてみるというのもいいかもしれない。

今度はもうちょっと宇宙の力が作用しそうなことを考えてみようと思う。


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