沈む

母から電話がきた。

何かとおもえば「お母さん帯状疱疹になったの!」

へぇ…で?

「あれって水疱瘡の菌が関係してるのね!」

あぁ…で?

「最初は何だかピリピリしたのね、でも発疹が出ないから帯状疱疹って言ってもらえなくて。数日したら発疹が出たのね!だからまた病院に行ったの。嫌よね〜痛いのって!すごく不愉快ね」

何故もこんなに私がこの件に苛つくかって数ヶ月前に私も帯状疱疹の症状が出たから母親に私は水疱瘡になった事があるのか尋ねたのだ。その時の反応が何を調べようともせず「そんな昔のこと忘れちゃった…母子手帳にでも書いてあるかもねぇ…兎に角お母さんは知らない」

私の事は全部綺麗さっぱり忘れ去ってくれる母親。

赤ちゃんの頃の写真に写っていたぬいぐるみが欲しくてその時の写真を見せてくれと頼んで見たら見事に弟の写真しか残っておらずぬいぐるみも「昔のこと過ぎて覚えていない」挙句「お母さん結構オシャレだったわね」

確かに写っている母親は真っ白のワンピースにハーフアップのヘアスタイル。耳にはピアスまでつけて笑っている。おかしい…この頃母親は毎日お金が無い、お前にお金が掛かりすぎて気が狂いそうだ等となじっていたではないか。体調が悪くて奉仕は歩くのが厳しいとも。

ホントに私って母親が言っていた通りの人形でしか無かったんだな。私は勿論息をしていたけれど見た目を傷付け無ければ何をやってもいいと本気で思っていたんだね。

帯状疱疹如きで何度も病院に行くなんてアホらしい。私は特に何もせずに自然に任せた。嘔吐しようが40度の熱を出そうが全て仮病と放置され続けたお陰で私は痛みに強い。そんなの神話に近い話なんだろうけど体の痛みなんてそのうち治る。黙って耐えればいい。母親はキレイさっぱり私にしてきた事を忘れている。私がどんな赤ちゃんでどんな幼女だったのかすら宗教を絡める事でどうでもいい存在にしたのだろう。

1度…分かっていても母親に聞いてみた。私が産まれた時どう思った?と。

「そりゃあ長女だから可愛かった」

浅い。どうしようもない感想。

「神経質で寝てくれなくて悩んだ」

それは散々聞かされて知ってる。赤子の私にどうしろと。

聖書を勉強している人間でもこの程度。当然エホバって愛の神様なのよ?なんて言葉がポロポロと滑り落ちるのは当然の事。

宗教に縋らずとも余程まともに教育している母親も多いでは無いか。


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