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Dot Homesのミッション・ビジョンをリニューアルしました。その裏側と、これからについて

2022年4月、3年ぶりに、Dot Homesのミッション、ビジョン、バリューをリニューアルしました。
新型コロナウイルスによる市場の劇的な変化に加え、Dot Homes自体が組織として急拡大をしているフェーズなので、今回のリニューアルは大きなターニングポイントとなるんじゃないかと思ってます。
そこで、まだ公にはしていなかったリニューアルの裏側や、今まであまり触れていなかったDot Homesのこれからについてなんかを書こうと思います。

観光産業の課題解決を掲げていたが・・

まず、リニューアル前は「観光産業をおもてなしに集中できるようサポートする」というミッションを掲げていました。このミッションを作った当時は、まだインバウンドブームが続いており、増える観光需要に対する人材不足が観光産業の大きな課題でした。その観光産業で働く人は65万人という非常に労働者数が多い業界なんですが、業務の大半がアナログに行われてる事や、過剰なサービスを行うことによって、業界全体として労働生産性が低かったんです。平均賃金も低く、離職率は33%。採用して教育してもすぐ辞めていく。という大きな課題がありました。
(参照元:https://www.mlit.go.jp/common/001408385.pdf

そのため、Dot Homesでは、「観光産業の労働生産性を改善すること」をミッションとしていました。
具体的には、
①人が絶対にやるべき、人にしかできないサービスや施設の魅力をつくる企画の仕事
②機械の方が得意としているデータ連携(情報の集約化)、発注や在庫管理
といったルーティン業務の自動化と、仕事の性質によって2つに区分して、
②の仕事を徹底的にデジタル化してなくしていこうとしていました。

そこで生み出されたのが、PMSタブレットとスマートロックの連携で宿泊者が自分でチェックイン業務を行う”セルフチェックイン”方式の宿泊施設「Commune」でした。(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000019614.html
そこから約80施設の無人で運営できる施設の開発や運営支援などに携わりました。

コロナ禍によって状況が一変。真逆の課題が生まれた

しかし、コロナ禍になり供給が逼迫していた状況から一変、「人手不足」という課題を吹き飛ばすどころか、「人が余ってしまう」という真逆の課題が生まれました。

宿泊施設の経営やコンサルティング行うDot Homesの売上も一時期は9割減少まで落ち込み、事業戦略を大きく見直さないといけなくなりました。
色々と検討をした結果、コロナ禍でも唯一、売上が成長していたグランピング領域にまず当面は会社のリソースを全集中させることにしました。
グランピングはコロナ禍の3密回避の流れや、施設内で旅行が完結する体験型宿泊、そしてもともとDot Homesが得意としていた非対面・非接触のオペレーション手法など、様々なピースが揃って好調に売上が伸びていきました。

売上高は2020年8月には前年比100%まで回復し、2021年にはコロナ前と比較して200%成長となりました。グランピング施設の経営は、少ない従業員数でホテルと同等の機能を全て担わないといけないため、スタッフの多能化や、ITシステムによる業務効率化を推進する必要があり、幸いにも目指すべき山は変わってないが、山の登り方は変えることで再成長のギアをいれることができました。コロナ発生時には15名程度だった従業員数も70名まで増加しました。

リニューアルプロジェクトのスタート

このように、新型コロナウイルスによる市場の変化、急激な会社規模の拡大など、自社を取り巻く状況が大きく変わり、既存のミッションでは企業としてのDNAを形成することが困難となったため、改めて、自社の「存在意義」と「ブランド(=提供する価値・約束する品質)」を見直し、リニューアルをすることを決心しました。先述の通り、Dot Homesにとってターニングポイントとなるリニューアルのため、社外アドバイザー、プロデューサー、広報戦略室などを巻き込んでのプロジェクトとして開始し、何度も議論や修正を重ねてようやく完成させました。

初めてCEOストーリーを作成

ミッションは創業者である僕の原体験が元となるため、初めてCEOストーリーを作成しました。 なぜDot Homesが旅の体験にこだわるのか、なぜ僕が旅の領域で勝負するのか、その理由がここに集約されています。

新ミッション・ビジョンについて

次にリニューアルした「ミッション」「ビジョン」についてです。
まず、Dot Homesではそれぞれを以下の定義で定めています。
♦︎ミッション:実現したい世界
♦︎ビジョン:日々果たすべき使命
♦︎バリュー(行動指針):業務における行動指針

【新ミッション】
新ミッションは、Dot Homesの創業時から変わらない思想をもとに定めた、「最終的に実現したい世界」となっています。

新ミッション

【新ビジョン】
新ビジョンは、新ミッションの実現のために「中期的に成し遂げることを定めたもの」となっています。

新ビジョン

ビジョンを作る上では、目指したい姿を言語化する中で、自分達の強みとなる部分も同時に定義することを意識しました。

ここで、その「Dot Homesの強み」についてまとめたいと思います。
(まだまだのところもありますが)ITを駆使していたり、宿泊業界としては異質というか、これまでの業界の常識には無い、面白い強みなんじゃないかと思っています。

Dot Homesの強み①「データ経営」

弊社の強み(強みにしていくという意志も含めて)は3つあるかなと思っていて、まずは「データ経営」です。

実は、Dot HomesではITシステムを自社で開発しています。ホテル業界のいわゆる運営会社で、運営に関わるITシステムを自社開発している会社はあまりないと認識しています。

オペレーション変革を目指す中で、その変革に制限をかける、または可能性を解放するのはITシステムです。やりたいことがあっても全てアナログに「人の力」で解決するとコストが全然見合わずにやれない。ってことがめちゃくちゃあります。顧客体験をリッチにするサービスを実現するには、裏側にある処理を最小限にする必要があり、ITシステムによる自動化がその解決策となるケースが多くあります。

但し、オペレーションを自動化する上では、各ITシステム同士が連携されている必要あるのですが、これが宿泊業界ではなかなか実現できていません。
データ連携しているシステムは多少はあるのですが、すごく高価だったり、使用するシステムが限定されているので、オペレーションに合わせて自由にカスタマイズすることができません。

運営者が自分達でシステムを開発することが、Dot Homesの大きな強みになると思っているのはまさにこの点で、現場とシステム開発の距離が近く柔軟性が持てるので、自社のオペレーションに合わせてシステムを継続的にアップデートできるんです。Dot Homesでは、現場でしか得られない情報(データ)を可視化して、顧客体験と収益性が最大化されるようにオペレーションやITシステムを継続的に改善するサイクルを組んでおり、これを「データ経営」と呼んでいます。

Dot Homesの強み②「マーケティング」

2つ目は「マーケティング」です。

まず、宿泊業界ではほとんどの企業がOTAやリアルエージェントと呼ばれる代理店からの収入で成り立っています。しかしDot Homesでは、約80%の収入が公式HP経由からの収入となっており、コロナ禍で地域全体の集客力が低い中でも一定の稼働をキープすることができています。
OTAの予約の場合、基本的には先に旅行先の候補がきまり、その中でユーザーが興味を持ち、かつコストパフォーマンスが高そうな施設が選ばれます。
ただし、これだとどうしても施設のブランド力がないうちは、その地域自体の集客力に依存しますし、地域内のライバルと比較してある程度リーズナブルに販売する必要があり、最終的には価格競争に巻き込まれやすくなります。

この課題に対してDot Homesでは、施設のターゲットユーザーがわざわざ行きたいと思うようなコンテンツ(設備、食事、サービス、アクティビティ、プランなど)を開発して集客する「コンテンツ・マーケティング」に力を入れています。

コンテンツ・マーケティングのメリットは、ユーザーが施設の特徴に興味を持って来てくれるので、宿泊の満足度が高くなり、リピーターになったり良い口コミをしてくれる傾向にあります。満足度が高いユーザーの割合が増えてくると、次第に近隣施設の価格変動の影響を受けづらくなるため、価格を自社でコントロールしやすくなってきます。その結果、コロナ禍でもRevPAR(1室あたりの収益性)がYoY200%成長となりました。

Dot Homesの強み③ 「ワンストップのプロデュース」

3つ目はDot Homesが施設の開発から運営までを「ワンストップ」でサポートしている点です。

運営会社の多くは運営に特化して他の業務は外だしするケースが多いのですが、Dot Homesでは、用地選定、設計、デザイン、採用・育成、Web制作・マーケティング、システム開発といった施設の開発から運営まで全ての機能を自社でハンドリングしています。それぞれの専門チームと連携がすぐ取れるので、用地選定や設計の段階からマーケティングチームが売上最大化の視点で意見したり、オペレーションチームが運営業務の効率化や顧客体験の視点から意見したりと、多角的な視点を考慮して施設がつくりあげられていきます。

「それって当たり前のことなんじゃないの?」と思う方も多いかと思いますが、実はホテル業界では完全な分業制で、オペレーションチームに引き継がれる時には設計からデザイン、事業計画まで決まっていることがほとんどです。Dot Homesでは、この強みを実現するために、採用条件にホテル業界の経験を必須としておらず、幅広い業界から個性ある人材を集めています。

このチーム作りも、既存の常識やルールの枠で考えるんじゃなくて、顧客価値の最大化・Dot Homesにしかできない価値の提供という目的から逆算し、より多角的な視点を持つチームを形成できるように考えました。(なので、うちは個性があり、それをお客様やチームのために発揮できる人がめちゃくちゃ活躍します)

「Fantastic!」って?

次に、ビジョンにある「Fantastic!」という言葉に込めた意味についてです。

ビジョンに入れる言葉としては砕けている方で、これもDot Homesらしいと思ってるのですが、まず、「Fantastic」で辞書で引くと以下のように翻訳されます。
空想的な, 風変わりな, 異様なすばらしい すてきな
Dot Homesでは意訳して「新しい価値を生み出し、自分も周りもワクワクさせ、ヤバいもの」と定義しています。 (「周りも」というのは一緒に働く仲間はもちろん、お客様やクライアント様も全て)

僕は昔サッカーをしていたのですが、ファンタジスタという漫画を読んで、イタリアの名門ACミランにスカウトされた主人公に憧れを強く持ったことを覚えています。サッカーの世界では、閃きや創造性のあるプレーで観客を魅了するスーパースター級の選手に対してファンタジスタ(Fantasista)と呼ぶ伝統があります。

Dot Homesが世の中に増やしていきたい施設というのが、常識に囚われずに閃きや創造性によって新しい価値を生み出し、人をワクワクさせる施設です。

Dot Homesのこれから

最後に、Dot Homesのこれからについて。

前段では会社の強みについて列挙しましたが、実態としてはまだまだ課題だらけのベンチャー企業です。70名近い従業員になってやっとまともな人事評価制度ができたり、未だに入社研修や教育体制は整備されておらず、会社のルールも可視化されてない上に誰に何を聞いたらいいのかよくわからないという声もあったり...

課題をあげだすとキリがないけど、そういった課題をみんなで1つ1つクリアして、日々成長を続けています。

会社としてはいわゆる1→10のフェーズかなと思っていて、属人的に立ち上げた事業をいかにチームの力で大きく飛躍させるかが求められているなと日々感じています。

今期 (2023年3月期)は、約20施設のプロデュース、ホテル特化型MAツール(マーケティングオートメーション)やCRMツールの開発、フランチャイズ事業やメディア事業の立ち上げなど、難易度が高くチャレンジングなプロジェクトが多数あります。

リニューアルしたミッション、ビジョンのもとメンバーと力を合わせ、成長を続けるのはもちろん、何よりお客様とクライアント様に誠実に向き合っていきたいと思ってます。


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