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俳優演出-日本人はハンデを背負っている?②

まず、大前提として伝えておきたい事があります。

それは、日本にも素晴らしい役者さんは沢山いるということです。

では高等教育機関が無い日本でどのように素晴らしい役者さんが出現しているのか?

それは、善くも悪くも役者さん自身の努力によって役者に必要な条件を身につけてらっしゃるのです。また、一部の良質な俳優演出学校や劇団がきっちりと俳優の基礎を教えている所もあると思います。

もちろん海外の高等教育機関で学ぶ事にも努力が必要です。そもそも、試験に受かるのも、卒業するのも日本と違って、容赦なくガンガン落とされる海外の大学で は、努力無しにまともに卒業する事は叶いません。だからこそ、映画学校や俳優学校を卒業したというだけで、ある程度の尊敬の念を受けます。善くも悪くも、 海外では映画に携わる人間は難関校を卒業した“エリート集団”という認識が大変強いのです。

日本における問題は俳優教育の基準が制定されていない事。
例えば欧米で監督や俳優がコンスタンチン・スタニスラフスキーを知らないと言えば “あ、 こいつは演技を知らないな” と思われます。スタニスラフスキー自身を知らなくても、彼の確立した俳優理論は全ての人が知っています。なぜなら、これが演技を勉強する上での基本中の基本。彼の著書はエイゼンシュタインの “モンタージュ理論”と並ぶ、映画監督ならば1度は通らなければならないメソッドの1つです。

さて、欧米の様 にきちんと確立された俳優の基準が無いと言う事は、演出側には大変厄介です。前回説明した『読解』と『共通言語』が通用しないのです。これは【演技指導における会話が出来ない】と同義語です。日本では大きな役を得ている人でも、演技は素人レベル…などという状況は日常茶飯事です。

特に自主制作の現場では素人さんをメインとして使う事も多いでしょう。

しかし、いくら素人さんでも事前の準備によって十分に素晴らしい演技をする可能性を秘めています。もし、あなたが役者さんに『読解』の方法と『共通言語』を教える事が出来れば?それだけで、その俳優は良い演技へと一歩近づけるのです。

その為にはあなたが、きちんと “演技” を知る事が必要です。
これから徐々に解説していきますが、まずは以下の書籍を読む事をお勧めします。日本でも読める海外の良書です。

こちらは先ほども紹介した、全世界で使用されている俳優教育システムです。舞台に関する記述ですが、それらは映像においても採用されている重要な内容となっております。


次の一冊は大変ハリウッド色の強い1冊です。この中には演技指導の基本 ”動詞による指示“ について詳しく書かれています。

入門編としてはこちらをお勧めします。

こちらのnoteでも更に俳優演出について言及していこうと思います。

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