ごどー

The rest is silence.

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最近の記事

このままではお笑いに殺される

このままではお笑いに殺される。 そう思った私は、今年1年間で聞いてきたラジオ番組をまとめ、来年の私がもうこれ以上聞くラジオを増やさないよう、戒めることにした。 ◆月曜日 ・空気階段の踊り場 ・錦鯉の人生五十年 ・Dr.ハインリッヒのGeneral Earth Radio ・令和ロマンのご様子 ◆火曜日 ・囲碁将棋の情熱スリーポイント ・春とヒコーキのグピ☆グパ☆グポ ・ママタルトのラジオまーちゃん ◆水曜日 ・ほら!ここがオズワルドさんち! ・金属バットのMusic S

    • 金の国・渡部おにぎり&ママタルト・大鶴肥満 ”渡部と肥満の300kg食堂” の話

      生涯孤独死が確定している私のような人間にとって、他人様がつくってくだすった料理をいただく機会はふつうに生きているかぎり、ない。 「外食すれば」と言われればそれまでだが、飲食店の手の込んだ料理というよりもむしろ、素朴で家庭的な料理が食べたいと泣く夜もある。 だから、好きな芸人の手作り料理を食べられるイベントが告知されたときは迷った。 生涯孤独死確定で友人もない私がこのようなイベントにひとり乗り込むのは正直、憚られた。 総じてお笑いファンというものは女性が多いので、私のような人

      • への手紙

        桜が美しいのは桜の樹の下には死体が埋まっているからではなく死体そのものが美しいからだと思っていました。 昨年末に引っ越した部屋は集合住宅の二階に位置しています。 幹線道路から小道へ入った先、建物の前に一本の樹が植わっています。 部屋の窓を開けると、ベランダを挟んでちょうど目の高さに裸の枝々が茂っていました。 「部屋にいながらにして花見ができるかもしれない」と考えると、心が躍りました。 しかし、「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる」という言説に触れたときから、私は桜が好きでは

        • 思い出す。

          神田神保町は世界でも指折りの本の街とされる。 軒を連ねる古書店の数は、優に200を超えるという。 だいたいの店が開くのは、10時や11時である。 したがって、午前中に回ることができるのは、その中でもせいぜい2、3軒であろう。 だから、彼の女が神保町にいると知って、おすすめの書店を伝えたぼくに、「お昼前に寄りました」と返信をくれて、嬉しかった。 古書店めぐりの戦利品としてアップロードされた写真の左隅には、坂口安吾『夜長姫と耳男』の古本があった。 それで思い出すことがあった

        このままではお笑いに殺される

          忘れる。

          大学3年のときだったと思う。講義の終わりに、教授が「来週はゲストが来ます」といった。毎回、課題文として英語で書かれた小説の一節が与えられ、学生たちはそれを次の授業までに和訳してくる。訳文のうち出来のよいものを取り上げて吟味し、反対に出来の悪いものには赤字を入れていくようなスタイルの講義だったと記憶しているが、誰のどのような作品を読んだかは、ほとんどおぼえていない。 教授は翻訳家として名の通った人物で、私がその大学に進学した理由のいくらかを占めていた。だから毎年、講義が期末に

          忘れる。

          言い換えの言い換え、あるいはコロナの時代の愛

          Have a Nice Day!(ハバナイ)はこの5月に毎週連続して新曲をドロップしたが、TOO LONG VACATIONが気に入って、作業中はもっぱらそればかりをエンリピしている。 下世話なハイプ、クリシェのビーチでリズムとソウルの火遊び火遊び とにかくこの歌詞が刺さりすぎ、感情と感傷を共有したくなり、誰か同じようなことを思ってはいないかとネットの海を検索しまくっていたら、作詞を手掛けた浅見北斗自身が自画自賛していたので思わず笑ってしまった。 ちなみに“下世話なハイ

          言い換えの言い換え、あるいはコロナの時代の愛

          さあ土曜日だ

          いま勤めている会社は、福利厚生の一環なのだろう、年間8万円を上限として各種料金を肩代わりしてくれる。 自己研鑽のため、という名目上、何から何まで領収書を切れるというわけではないが、それでもいろいろと役に立つことに変わりはない。 上限までこの制度を利用しないと損をしている気がしてしまう貧乏性の僕は、無理にでも満額を使い切るよう努めている。 毎年、物欲があまりないため苦労している。 いちばん大好きだったアイドルグループが解散する前だったら、あちこちの遠征費で8万なんかすぐ使い切

          さあ土曜日だ

          無題

           エドガー・アラン・ポー。十九世紀アメリカが生んだ、〈怪物〉と呼ぶにふさわしい作家のひとりである。日本では怪奇小説の名手として、推理小説の始祖として、その名をもじって生まれた〈江戸川乱歩〉という筆名によって、あるいは他人の服を着て泥酔した状態で発見され、数日後に死亡するという不可思議な最期によって知られているが、その真価は『大鴉』や『アナベル・リー』といった詩にこそある。『アナベル・リー』は一八四九年五月に書かれ、同年十月九日、ポーの死の二日後に、ニューヨーク・トリビューン紙