2022年2月に読んだ本まとめ

2022年1月に読んだ本を多少の備忘録とともにまとめるやつです。


八目迷「ミモザの告白2」

男子の体で女子の心を持つ汐を中心にした、三角関係の物語。
星原たちに推薦された汐と、そして咲馬は文化祭で「ロミオとジュリエット」を演じることとなります。
複雑な心の事情を抱える汐にとって、ジュリエットという役は様々な意味を持つものでした。
ジュリエットを演じるのを後悔しているという汐と星原は徐々にすれ違っていくのですが、この汐の後悔の意味に気づいたときには衝撃を覚えましたね。
この巻で咲馬が苛まれる汐との関係の歪みのようなものは、自分にも覚えのあるもので、深く共感してしまいました。


伊坂幸太郎「SOSの猿」

引きこもりの相談を受けた男が悪魔祓いで治そうとする「私の話」と、株の誤発注事件を調べる男の「猿の話」と、ふたつの章から成る物語です。
まるで御伽噺のような掴みどころのない物語展開に、序盤は困惑させられました。
しかしそのふたつの視点の物語が交わる後半戦からは、一気に物語がひとつに収束していき、おもしろかったです。
物語の構成が明かされてからも御伽噺のような雰囲気は残り、最後までどこかふわふわとした読み心地の作品でしたね。
漫画『SARU』と対になる作品とのことでしたので、そちらを読んでまた新たに感じるものがあるかもしれません。


ハミタ「目つき悪い子かわいい子 第1巻」

目つきが悪いせいでクラスのみんなから距離を置かれている女の子、水野さん。
果たして彼女はヤンキーなのか? それとも天然なかわいい女の子なのか? というラブコメで、彼女に近づく田中くんとの距離感が素敵でした。
ヤンキーヒロインはめちゃくちゃ好きなので、期待通りのヤンキーが読めて嬉しいです。
物語としてはヤンキーのイメージを払拭しつつクラスに馴染む……、という王道展開なので、安心して読めるという感じです。
正味なところ作画的な面は今後に期待といったところですが、水野さんのヤンキーっぽい言動の描写は気に入っています。


暁佳奈「ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバー・アフター」

物語本編のその後のお話。
ディートフリート。郵便社の同僚たち。そしてギルベルト。様々な人との縁を繋ぎ、始まりと終わりの中で成長していくヴァイオレットの姿が愛おしかったです。
「旅と自動手記人形」では嵐に閉ざされた郵便社の中で一夜の時を過ごす4人が描かれ、日常系のようなのんきなやりとりと、その延長線上にある時間とともに変わっていくものが表現された素敵な作品でした。
ディートフリートとの歩み寄りの物語「夜と自動手記人形」も好きです。
この作品は、愛情というものの力を120%の破壊力で描き切った作品だったと思います。
殺伐とした背景を持ちながら、読んでいて顔が熱くなるような恋物語として最後まで貫いていった作品でした。とても良かったです。
ふたりの未来に、いや、ヴァイオレットと関わったすべての人に、幸ありますように。


時雨沢恵一「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインXII ―フィフス・スクワッド・ジャム〈中〉―」

視界の効かない濃霧の広がるフィールドで、バラバラに散らばったプレイヤーたちが時に手を組んだり時に不意打ちしたりと大暴れ。
特殊なステージ設定のため、普段では見られない組みあわせでの共闘が見れるのがとても楽しいです。
大得意の雪原ステージで暴れまわるシャーリーは、とても楽しそうで良かったですね……。
そしてなんといってもここまでのSJ5、自爆チームDOOMの活躍が光ります。
巻き込まれたらすべてが終わる自爆野郎たちが戦況を引っ掻き回していて、まさしく彼らの本懐通りの大活躍でしょう。
そして中巻も終わろうかというタイミングで、またしても追加される新ルール……。
まだまだ、まだまだまだまだどいつもこいつもかき回してくれそうで下巻がとても楽しみです。
……下巻、だけで終わるんでしょうか?


犬村小六「プロペラオペラ3」

表紙は一体何事かと思ったら、ノリノリでコスプレを楽しむ白之宮殿下であられましたか。
これまでずっと同じ飛行艦で戦っていたリオと別れ、イザヤ、クロトは新型飛行駆逐艦「東雲」へ。
そして迎えたソロモン海空戦は、今までとはまた違った緊張感のある戦いでした。
イザヤたちと別れて行動するリオの、国のための献身的な行動には鳥肌が立ちます。姫様、どうか。
空戦の模様は今までと違い、日之雄を舐めていない冷静な将官シアースミスが相手とあって、最後の最後まで手に汗握る激戦でした。
読んでいると兵たちと一緒に姫さまーと叫びたくなる作品ですね。


風見鶏「さよなら異世界、またきて明日II 旅する轍と希望の箱」

めちゃくちゃ好きなお話でした……。
今回ニトとケースケが訪れたのはとある廃村で、そこに暮らす数少ない人々との交流の物語になります。
それぞれ別々の人生を歩んでいるかに見えた住人たちは、実は少しずつ繋がりがあって、1冊の物語の中で全員が関わっているきれいな物語構成でした……。
ゆっくりと進んでいく物語は滅び行く世界だからこそのペースで、その寂しさに胸を打たれると同時、希望を抱くことのできるやさしい物語にも感動しました。
派手さの無い異世界モノですが、丁寧に紡がれるやさしい物語はとても好きです。


五箇野人「続・つかれたときに読む海外旅日記」

ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中南米など世界中を歩き回ってきた五箇野人さんが、現地で出会った方々とのエピソードをまとめた作品。
外国の素朴な方々とのやり取りを見ていると、ほっこりします。
日本が堅苦しいところもあるとは思うのだけれど、それにしても外国人に対してフレンドリーすぎるゆるさ……。
巻末にはエピソードの元ネタとなった現地の方々の記念写真が収められていて、本当にこの空の下で繋がったところにいる方々のお話なんだなあと感じました。
早くまた外国に気軽に行けるようになるといいですね。


野上武志「はるかリセット 第2巻」

小説家の春河童先生が仕事の息抜きをするだけ。
いい大人が心ゆくまで遊んでいるさまは、見ていて楽しいですね。
今回のエピソードでは、フィンランドサウナ、うどんを食べるためだけに香川に行く、東京国立博物館、が自分の息抜きにやりたいことと似ていて楽しかったです。
香川のうどんは本当に美味しいので、あれを食べるためだけに寝台特急に乗るのも、有りですね……!
献血のお話は、自分は未体験なので、新鮮でおもしろかったです。


Vivy Score,山高守人「Vivy -Fluorite Eye's Song- 第1巻」

アニメがとてもおもしろかったため、漫画も読んでみました。
アニメのストーリーを忠実に再現していて、絵柄もすごくきれいなので、ファンは必見の1冊でしょう!
ヴィヴィがときおり見せる不満げな表情はアニメではあまり無かったもので、漫画的表現でかわいかったです。
1巻目では相川議員編となりますが、相川議員の小物感がよく出ていてよかったです。


衣笠彰梧「ようこそ実力至上主義の教室へ2」

D組の問題児、須藤がまたしてもやらかしてしまうお話。
暴力事件の発端がC組か須藤かがお話の争点ですが、どうあれ殴ってる須藤は普通に駄目でしょう……。
事件の目撃者として絡んでくる新キャラの佐倉愛里ちゃんが、地味でおとなしいのに本当は……というキャラでかわいかったです。
今巻でB組、C組という今後争っていくこととなる他クラスの面々も登場してきたので、これからの盛り上がりも楽しみにしつつ。
個人的には人の温もりを知った堀北が、早くもデレを垣間見せつつあるのが良かったと思いますね。
綾小路と櫛田は、その実態が未だ未知数で木になるところです……。



個人的な今月のお気に入り作品トップ5

第1位/さよなら異世界、またきて明日II 旅する轍と希望の箱

第2位/ヴァイオレット・エヴァーガーデン エバー・アフター

第3位/プロペラオペラ3

第4位/ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインXII ―フィフス・スクワッド・ジャム〈中〉―

第5位/ミモザの告白2