ジェイラボワークショップ第63回『公式量産マシンΓ&B』【数学部】[20230904-0917]#JLWS

はじめに

今回のWSは、Γ関数とB関数について取り扱ったものになります。高校数学でもよく取り扱われる1/6公式や1/12公式にも絡んでくるトピックなので、高校数学を一通り学んだ方であれば読むことができると思います。是非、ご一読下さい!

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DAY1

★Hiroto

こんにちは!数学部のWSの時間です!二週間よろしくお願い申し上げます。

さて、今回のテーマは『公式量産マシーンΓ・B』です。

...わけがわからないと思いますので、少し説明します。

高校数学にて、「1/6公式」やら「1/12公式」やらをやった記憶がある方も多いのではないかと思います。二次関数や三次関数によって指定される特定の部分の面積を求めるときの時短テクニックですね。

これはもう少し一般化できるものです。その一般化された公式を示すこと自体は直接できるのですが、今回は一見関係のない「Γ(ガンマ)関数」「B(ベータ)関数」を定めてその性質を探ることで、一般化された1/6公式を含む様々な公式を導いていきたいと思います。

数学では、得たいもののために、もっと高等で関係のなさそうなものから始め、得たい結論を得る以上に豊潤な結果を得ることがよくあります。ABC予想なんかも、そのシンプルな問題提起からは考えつかないほど高等な「IUT理論」によって解かれ、ABC予想よりもはるかに深遠な結果が得られています。

そういった数学の思考様式を皆さんに体感していただくのが今回の目的であります。

明日から部員の皆さんが資料を投下いたします。楽しんでいただければ幸いです。

DAY2

★イヤープラグさざなみ

毎度の如く、まずは定義からです。ここが出発点です(Def1.2)。
Prop1.3 はガンマ関数、ベータ関数それぞれがもつ性質の一部です。証明は高校で習う部分積分、置換積分の内容を知っていれば理解できると思うので、ぜひ一度ご自身で追ってみてください。

明日は、私の担当分で「演習」として課されたProp1.3(ⅰ),(ⅵ),(ⅶ)の解説をします。

DAY3

★イヤープラグさざなみ

積分の式をここに直接書くと見づらいので、手書きの資料を投下しました。
私の担当分は以上になります。面白いのはこれからです。
では、明日、明後日の担当者であるゆーろっぷさんにバトンを渡します。


DAY4

★ゆーろっぷ

ゆーろっぷです。僕の担当範囲では、ガンマ関数とベータ関数の関係および、そこから導かれる諸公式を扱います。
定理2.1がガンマ関数とベータ関数の基本関係式です。非常に簡潔な形をしていて美しいですね。証明については2変数関数に対する重積分や広義積分の知識が必要なのでここでは省略していますが、気になる方は調べてみると良いでしょう。
定理2.2は定理2.1から得られる諸公式です。特に ⅲ の結果が基本的でしょうか。これは実際頻繁に使います。
例2.1は俗にウォリス積分と呼ばれるものです。高校までの数学の知識で計算するなら積分漸化式を立てて解く必要がありますが、ここではしっかりと抽象論を準備してきた分、計算は公式にちゃちゃっと値を入れるだけで終わりです。ガンマ関数・ベータ関数の威力を実感できる例の1つであると言えるでしょう。
例2.2はガウス積分と呼ばれ、正規分布の正規化定数の計算などで出てくる極めて重要な積分です。極座標変換を用いるやり方が有名ですが、これもガンマ関数の性質を用いればすぐに計算することができます。
例2.3以降は明日に解説を投下します。

DAY5

★ゆーろっぷ

続きの解説です。
ガンマ関数・ベータ関数という道具を用いることにより得られる結果の1つが、いわゆる「1/6公式」の一般化公式です。例2.3はそのための準備で、変数変換(置換積分)により、積分を本質的な部分(ベータ関数の部分)とそうでない部分に分けています。
この結果をもとに、被積分関数の指数を非負整数に置き換え、基本関係式やガンマ関数の性質を用いれば、めでたく一般化公式が導かれます。今までガンマ関数・ベータ関数の性質をやっていたおかげで、面倒な発想や計算を必要とすることなく公式を証明することができました。
これまで見てきたことを振り返ると、ガンマ関数・ベータ関数の理論を用いれば、1/6公式の一般化だけでなく、他にも様々な積分計算を1つの枠組みから捉えることが可能であると分かります。こうしたことを踏まえれば、数式を追っていなくとも、なんとなく抽象論の強みを感じることができるのではないでしょうか。

ということで、僕の担当は以上です。明日明後日の担当はあんまんさんになります。

DAY6

★あんまん

おはようございます。あんまんです。私の担当はΓの微分とlogΓの凸性です。logΓの凸性からΓの新たな形が生み出されました。(ガウスの公式)さらにその形によって定義域が拡張されていく流れが非常に美しくて感動しました。凸関数という一見関係なさそうなところから新たな一面が見えてくるところが、そんなん普通思いつかんやん。と思うのですがそれが論理的にうまくいっているので気持ちがいいです。明日、解説の資料を投稿します。

DAY7

★あんまん

凸関数に成り立つ不等式の証明、苦戦しました。形から平均値の定理でも使うのかと試行錯誤しましたが、凸性を上手く回収できずに失敗しました。そこで凸関数の方から攻めて線分abをu:1-uに内分するイメージでtをおくと、あら不思議。凸関数の定義そのものの式になってしまいました。つまり関数gが凸関数であることとあの不等式が成り立つことは同値なわけですね。

明日はイスツクエさんの担当になります。

DAY8

★イスツクエ

本日は以下の資料の投下日となります

DAY9

★イスツクエ


前回の最後(Def3.3)にて、Γ関数の定義域がℝ\ℤ≦0まで拡張されました。その拡張されたΓ関数について成り立つ性質について挙げています。Prop4.1(iv)では、Γ関数がx>0では正、x<0では幅1ずつごとに正負が入れ替わることが分かります。

1/Γ(x)はℝで連続なことが分かり、その具体的な形も分かりました。とても複雑な形をしています。

さらにΓ関数を含んだ等式、1/2公式というものが成り立ちます。これはProp4.3の事実から導くことができます。

以上になります。明日、明後日の担当はていりふびにさんです。

DAY10

★ていりふびに

ていりふびにです。
僕の担当範囲は相補公式、オイラーの公式、ウォリスの公式の説明、証明になります。
1日目は相補公式になります。主張の内容は証明の詳細はPDFを確認してください。
主張の概要としては「ガンマ関数の積をSINを含む単純な関数での表現できる」です。
よくある証明はちまちま展開 and 積分を繰り返すものが多いですが、今回紹介する方法はトリッキーです。
φ(x) = Γ(x)Γ(1-x)sinπXの性質(周期性、導関数)を利用していきます。

明日は相補公式を利用するオイラーの公式、ウォリスの公式の投稿になります

DAY11

★ていりふびに

ていりふびにです。
本日はオイラーの公式、ウォリスの公式の説明、証明になります。
証明自体は先日の相補公式を用いるand計算で簡単に導けます。
ありがたみとしては、sinを積のフォームで得られることですかね。

ガンマ関数やベータ関数は統計の文脈でも出現頻度は高いですが、
今回初めて公式の証明をしっかり確認しました。
本質的な意味がこれら関数に意味があるというよりも、
あくまで「道具」としての印象が強いからですかね、、

私の担当パートは以上になります。
ありがとうございました。

DAY12

★チクシュルーブ隕石

こんばんは。チクシュルーブ隕石です。
私の担当は、Γ関数とスターリングの公式の関係の説明とその証明になります。
本日の資料では、スターリングの公式に入る前の準備段階として、重要な命題(定理)を示すということをしています。
後にμ(x)と定められる関数の収束について議論をしていますが、詳しい式操作などはpdf資料の方を確認していただけると嬉しいです。

明日は、本題であるスターリングの公式とΓ関数の関係について述べていきます。その際、ウォリスの公式について復習をされているとスムーズな理解ができると思います。

DAY13

★チクシュルーブ隕石

こんばんは。チクシュルーブ隕石です。
本日は、前回に引き続きスターリングの公式を取り扱うことを考えていきます。今回の大雑把な目的は、階乗の挙動を把握することです。
演習では、f(x+1)=xf(x)を示す事でしたが、f(x+1)とf(x)の比を取ることにより進めました。μ(x)がeの肩に乗っていることに注目するのがポイントとなっています。

詳しい説明はpdf資料に託すとして、最終的にΓ(x)やn!の挙動を具体的な関数に似ているという事ができ、目標を達成することができました。

以上で私の担当を終了致します。
2日間ありがとうございました!!

DAY14

★Hiroto

発表してくれたみなさん、受け取ってくれたみなさん、本当に本当にありがとうございました。

1/6公式はいわゆる「釣り」で、Γ・Bがもっと豊潤な内容を含んでいることがお分かりいただけたと思います。

おそらく次回からはWSの形式も刷新されると思いますので、内容だけではなく形式面の変化もこれからお楽しみいただけると幸いです。

二週間お付き合いいただきありがとうございました!!!

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以上がWSのログとなります。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

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