【第3話】 どんより雲が広がった夕方の空は、大人になっても変わらない
「先生には僕の気持ちはわからないと思います」
最近様子がおかしいからと放課後教室で話しを聞こうとした男子生徒にそう言われ、本村はドキッとした。それは自分が高校時代、教師に対して思っていたこととまったく同じセリフだったから。
こういう時、だいたい次にどう言われたかも覚えている、そして今度は自分がそのセリフをなぞってしまいそうな気がして、ギリギリのところで踏みとどまる。
「俺も高校の頃はそんな風に思ってたから、無理にとは言わないけど」そう前置きをして、窓の側に立っている生