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「うつ」と診断されたらこの制度を使おう

おそらく「うつ」と診断されてしまった方は長い文章を読むことにさく余力がないと思うので端的に。

=== 自立支援医療 ===
「自立支援医療」をご存知でしょうか。
病院側から積極的に教えてもらうことはなかなかないけれど、この制度はうつと付き合っていかなければならなくなった人には大変重要な制度です。
通常であれば医療費の負担は3割、しかしこの制度を使うと原則1割の負担で済みます。
原則、というのは所得により月の負担額に上限が設定されるため、その上限を超えるとそれ以上の負担が発生しない、ということです。

=== 申請するには ===
申請したい時はまず、かかっている医師に「自立支援医療を利用したい」ことを告げましょう。
そうすると申請に必要なフォーマットに沿った診断書を出してもらえます。
診断書は病院にもよるので一概には言えませんが、おそらく3〜5千円程度でしょうか。
診断書を出してもらったら、自分の住んでいる自治体の役所の福祉課へ行きましょう。
その際、利用する病院・薬局の名称・住所がわかるもの(手続きの書類に記載する為)、マイナンバー、身分証明となるもの(健康保険証、運転免許証など)と印鑑を持っていくことを忘れずに。
所得の証明も必要ですが、何せ役所に出向いて手続きをするので、そんなものは同じ日に用意可能です。事前に準備はしなくても良いでしょう。
福祉課に行ったら、これまた「自立支援医療を利用したい」と伝えましょう。
すぐに必要な書類を用意してくれるはずなので、その場で書類の必要箇所を記載して指定の箇所に印鑑を押せば、結構あっさり手続きはすぐに終わります。

手続きが終わってから「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」が実際に手元に届くまでは1ヶ月ほどかかりますが、受給者証が届く前でも、手続き書類のコピーを役所の人がくれるので、それを病院の受付で出せば大体の場合問題はないです。
※受診する病院によって対応が違うので確約はできません。診断書を出してもらう際に受給者証が届くまでの間は手続き書類のコピーで問題ないか確認しましょう。

3割負担でも、毎月通えば結構馬鹿にならない金額がかかるし、処方される薬の中にはジェネリックの出ていない割と単価が高めなものもあったりするので、この制度を利用するかしないかで金銭的な負担は大きく変わってきます。
金銭的な負担が少なくなれば、精神的な負担も多少は減らせるというものです。

=== 利用時の注意点 ===
以下は、「自立支援医療」を利用するにあたっての注意点などを書いていきます。

<指定医療機関でなければ利用できない>
面倒ではありますが、全ての病院・メンタルクリニックで絶対利用できるわけではありません。
この制度は都道府県が定めた『指定医療機関』でのみ適用されます。
病院選びの段階でまず自立支援医療が利用可能な病院かを確認しましょう。
そして、申請の段階で、受診する病院と利用する薬局を指定する必要があり、申請した病院・薬局以外では制度が適用されない点も要注意です。

<どの病院で治療を受けるか決めないと面倒くさい>
上述の通り、制度が適用されるのは申請時に指定した病院・薬局に限られます。
しかし、うつの治療は医師との相性が大変重要となってきます。
この先生とやっていこう、と思える先生を見つけられて治療を継続する準備が出来てから申請しましょう。

<申請時には病院と薬局の名称・住所を書かねばならない>
名称はともかく、住所って意外と把握していませんよね。
しかし、申請時には名称も住所も記載が必要です。
更新時には変更がなければ省略できます。

<受診時には毎回受給者証と管理票の提出が必要>
受診の際は必ず受付に「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」の提出が必要です。忘れると通常通り3割負担です。
払い戻しの手続きも可能ですが、そんな手間をかけるよりは忘れないで持っていくよう心がけたほうが手間がないです。
私は受給者証・管理票・診察券・お薬手帳をひとまとめにしてパスポートケースに入れています。
これも受診する病院によりますが、たまに忘れても制度を適用してくれることもあります。しかしこれはケースバイケースです。
忘れないで持っていくのがベターです。

<毎年更新が必要>
年に一度、更新手続きが必要なのですが、更新のたびに(年に一度だけれど)役所に出向かなければならないため、これが私としては実は一番面倒だと思っています。
ただ、診断書は毎年ではなく、1年おきなのでそれだけは助かるポイントですね。
更新手続きは受給者証の期限が切れる3ヶ月ほど前から可能となります。
病院によっては更新の時期が近づいたら、いつから手続きができるか・何が必要かなどを教えてくれることもあります。

<そもそも知らないと使えない>
私は職業柄、「調べる」ということが習慣付いており、処方された薬についていつも通り調べていたところたまたま早い段階でこの制度を知り、利用するに至りました。
もっと病院側から積極的にこのような制度について周知してくれればと思いますが、このような制度は基本的に「知らないとそもそも使えない」というあまり優しくない仕組みになっています。
現在別に疾患があるわけではないけれど、たまたまこのnoteを読んでくださった方。身近なところにもし助けが必要な人がいたら、この制度を知っているか訊いてみてください。
もし知らないのであれば、こんな制度があるよ、と教えてあげてください。

=== 最後に ===
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
うつは一度発症すると寛解はしても完治はしない、そんな些か以上に厄介な代物です。
調子が良い日が続いても、何かのきっかけで人より調子が狂いやすくなったりもします。
私は6年ほど前に会社で受けたパワハラがきっかけでうつになりました。
現在は至って元気で普通にフルタイムで会社勤めをしていますが、今でもたまに、目が覚めたはいいもののどうしてもベッドから起き上がる気力が湧かないことがあります。

たぶん、うつになったあなたは真面目な努力家なんだと思います。
(私自身は努力家かどうかはともかく結構完璧主義ではありました)
どうしても起き上がれない時は、どうか無理をしないでください。
たまに一日や二日くらい、休んだっていいじゃないかと思います。自分を守れるのは結局自分だけなのだから。
食欲がない時は、無理に食べなくてもいいです。脱水に気をつけて水分さえ摂れていればなんとかなります。

なんとか、生きのびましょう。

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