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新幹線には形状記憶合金を使用した自動油量調整装置が採用されている

東洋電機製造(株)は、新幹線に形状記憶合金を使用した自動油量調整装置を提供している。

潤滑油の温度によって弁が作動し撹拌する油量を最適に調整するもので、潤滑油温度低減や軸受部への潤滑性能の向上に大きく役立っている。

新幹線

新幹線の高速化実現に向けてのもう一つの重要課題が、歯車装置の温度上昇を抑えることであった。

新幹線のような高速車両では大歯車の回転速度が大きく、潤滑油がかくはんされて歯車箱内の温度が上昇しやすい。

歯車装置の温度が上昇すると潤滑油粘度が低下し、潤滑油の寿命や潤滑油膜の形成に悪影響を及ぼすこととなる。

新幹線相当の速度においては、歯車箱内温度は100℃を超えることも想定される。

東洋電機製造(株)では、歯車装置の温度上昇を抑制する手段として「油量調整装置」を開発した。

歯車装置は、所定の温度を記憶した形状記憶合金を利用したばね(ニッケル-チタン合金ばね)を用いた装置で、歯車箱下部の仕切られた一室に設置され、仕切り壁にはバイパス穴が開けられている。

この穴は約40℃を超えると自動的にふさがる仕組みになっており、仕切られた空間に一部の潤滑油が溜まる。

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低温時には軸受を潤滑するために充分な量の潤滑油が必要であり、高温時にはかくはんに寄与する油量を必要最小限に制限し、かくはん熱を低減することが理想的な潤滑である。

東洋電機製造(株)が開発した油量調整装置が理想の潤滑状態を実現し、高速走行時の温度上昇を抑制している。

油量調整装置を使用することにより、最大10℃以上の温度低減が可能なことは試験結果からも分かっており、油量調整装置と並行して歯車箱の形状を真円に近づけて潤滑油のかくはん効率を高める研究も進めており、300系新幹線で初めて油量調整装置が実用化された。

以降、国内新幹線の500系、700系やN700系の他、海外向けの高速車両にも採用されている。

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