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ナイロビから溢れる新たなクリエィティブ。(ケニア最新音楽事情)

現代のアフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキです。
これまで主にナイジェリアのアフロポップを中心に取り上げてきましたが、今回はケニアから、これから大注目のとてもクールで実力派のアーティストをご紹介させて頂きます。

Karun

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Karunはケニア出身のR&Bシンガー・ソングライターです。
15歳の2009年、アーバンスタイルのヒップホップユニット Camp Mulla のシンガーとしてデビューしたのがファーストキャリアで、このCamp Mullaで彼女は一躍脚光を浴びるようになります。ちなみに当時のアーティスト名はMiss Karunでした。僕は今回初めてCamp Mullaを知ったんですが、「キャンプ村」みたいで一度聞いたら忘れないワードですね。

聴いてみたら曲のセンスもパフォーマンスも良く、ド真ん中HIP HOPに対するBlack Eyed Peas的なスタンスを感じます(当時はよく比較されたらしい)。全体的にトラックの作りもゴリゴリではなく程良くメロウでいい感じですね。

その後、Karunは2013年にグループを脱退、アメリカはボストンにあるバークリー音楽大学に留学し、そこからソロキャリアをスタートさせていきます。そしてバークリー在学中の2015年には、タンザニア出身のシンガーJoseph Kiwangoと共作したEP「Indigo」をリリースします。

割と実験的な音作りだったので色々調べてみたら、もうこの時点でEA WAVEがプロデュースに加わってました。EA WAVEというのはナイロビを拠点に活動するクリエイティブ集団で、彼らについてはこの後で詳しく紹介しますね。

そして2016年には音楽的にもプライベートでもパートナーであったJoseph Kiwangoとの子供を授かり、翌2017年に出産。Karunは当時父親の名を公表していなかったそうです。なぜならKiwangoもまたタンザニアで人気のアーティストだったからという話がいくつかのWEBメディアに記事として掲載されていました。

出産後は2018年頃からアーティストとしての活動を再開。そんなKarunの作品で僕がまず最初におススメしたい曲がこちら。
Karun "Roses" (Live at the Glow Sessions Ep.1)

この独特のしっとり感。声の艶っぽさと湿度がたまらないですね。アフリカ色が感じられる曲ももちろんありますが、こうした本格的R&Bスタイルで攻めてくるあたりがKarunの特徴でもあり、他のアフリカの国とは違った今のケニアの音楽シーンならではの幅の広さかなとも思います。
そして今回もう1曲紹介するのは、つい最近リリースされたこちら。

この曲は、アフリカの10代の少女たちが自分の価値観に正直かつ忠実に生きていけるように支援していくプログラム「SKY Girls」が、ガーナとボツワナに続いて今回ケニアでローンチするにあたり制作されたアンセム曲です。
この「SKY Girls」はビル&メリンダ・ゲイツ財団もサポートしており、ティーン達が動画チャネルなどを使って歌やダンスを発信したり、ティーン世代が感じる様々な問題について公開ディスカッションを行ったりと、バラエティに富んだ活動を展開していく予定で、ウガンダやコートジボワールでもスタートするとのこと。気になる方はぜひチェックを!

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https://skygirlske.com/


EA WAVE(East African Wave)

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Sichangi、Hiribae、Ukweli、Nu Fvnk、Jinkuという5人のメンバーで構成されたコレクティブ、それがEA WAVEです。ハウスやR&B、ヒップホップ、エレクトロニカ、アンビエントといった様々な音楽ジャンルを縦横無尽に横断したエレクトロニックサウンドが特徴的で、音楽制作以外にも「#NuNailobi」という、ナイロビ市内のクラブやライブハウス、アートスペースのキュレーションや、新しいナイロビのシーンを創造していく起業家たちとのネットワーク構築やコラボレーションなどの活動にも取り組むクリエィティブ集団です。また、それぞれメンバー同士が別名義での活動も行っています。
前述したKarunをはじめWanja WohoroAmi Fakuなど国内外の様々なアーティストとも共作し、ボイラールームでのライブ配信や海外のフェスへの出演など、その活動を幅をワールドワイドに広げています。


EA WAVEのようなオルタナティブなクリエーションが生まれてるのもケニアの魅力の一つだと思います。伝統的なアフリカ音楽やアフロビート・アフロポップだけでなく、世界中の音楽シーンとリンクしながら最先端のカルチャーシーンでその個性を発揮するアーティスト達が、世界に向けて新たなアフリカの魅力を発信をしながらその最大の震源地を作ろうとしているかと思うと、これからの彼らの活動に対して自然と心がワクワクしてしまいますね。


Xenia Manasseh

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最後はアメリカで活躍しているケニアンアーティストをご紹介。
母はケニアとマラウイのハーフ、父はウガンダ人というXenia Manasseh。小さな頃からリチャード・クレーダーマン、ホイットニー・ヒューストン、ノラ・ジョーンズなどを聴いて育ち、ピアノは幼稚園の頃から弾き始めていたそうです。
彼女もバークリー音楽大学を卒業していて、現在はアメリカのレーベルに所属しアトランタを拠点に活動しています。
最近ではTeyana Teylor(NYのハーレム生まれ。母はトリニダード・トバゴ人のシングルマザー。カニエ・ウェストの秘蔵っ子として有名)の最新アルバムにバックヴォーカル&ソングライターとしても参加し、その才能をメジャーのフィールドで着々と開花させつつあります。

1曲目に紹介するのは今年7月にリリースされた音源。ゲストヴォーカルとしてフィチャーされた曲でプロデューサーは先程のEA WAVEのメンバーでもあるUkweli & Hiribaeです。

そしてもう1曲はUKサウスロンドンJAZZシーンの重要人物で「音の魔術師」とも言われるMaxwell Owinとのコラボレーション。

いやー、渋いですね。どちらの曲もトラックが最高にカッコいい。こういうエッジの効いた音を出すクリエイターとの作品づくりが続いているので、きっとこの方向性が彼女の目指すスタイルなんだと思います。
Xeniaのボーカルスタイルは声を張って歌い上げるようなボーカルではなく、豊かな中低音域がしなやかに耳に響いてとても心地いいですね。


という訳で、今回はステレオタイプのアフリカとは全く異なる、ケニア発の実力派でクールなクリエイター達を3組紹介させて頂きました。
これまでに取り上げたナイジェリア勢とはまた違った切り口から世界の音楽シーンに羽ばたこうとしている若手アーティストの動向を、ぜひ注目していてください。

各アーティストの音楽配信サービスはこちら!

Karun
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Xenia Manasseh
Spotify Apple Music

EA WAVE
Spotify Soundcloud

最後までお読み頂きありがとうございました。
金属製蝶ネクタイ「Metal Butterfly」プロデューサーのアオキシゲユキでした。

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ありがとうございます!
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金属製蝶ネクタイ「Metal Butterfly」プロデューサー。(有)日青工業専務取締役。 サプールに会うためコンゴ共和国に行ったサプール系日本人。自社プロダクトやアフリカ音楽のことを綴ってます。 https://linktr.ee/metal_butterfly_aoki

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