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2021年を象徴するナイジェリアのアフロビーツ50曲&3大トピック(AFROBEATS 2021 Best 50)

新年あけましておめでとうございます。
アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキです。
いきなりですが、新年1発目はナイジェリアのことわざを1つ。

環境変化がもたらすこういう進化って結構ありますよね。
例えば私は金属加工の町工場を経営してますが、潰れそうだった父の会社を立て直すべくアレコレもがいてきた結果、Metal Butterflyという独自の商品が誕生しました。お金も仕事もないところから始まった会社の再生は本当にハードモードでしたが、そこから身につけたスキルや能力によって、今は面白いことを仕事にしていく術を身につけられたかなと思ってます。
また、Metal Butterfly誕生の流れからアフリカを訪れることになり(事の顛末はこちら)、行った結果アフリカの音楽にハマってしまって今はこうしてアフリカ音楽のキュレーションをしています。人生とは行く先のわからない旅のようです。

アフリカ音楽もまた同じです。激しく変化する時代に自らを適応させ、勝ち上がるためのスキルを磨き、世界の頂点に挑み続けているのが現代のアフリカのアーティスト達。そんなわけで益々進化し続けるアフリカ音楽の魅力に触れる旅を、今年も皆さんと存分に楽しんでいきたいと思っています。
その前にまずは2021年の総括。昨年私が聴いたナイジェリアのAfrobeatsの中でも、特に印象に残った50曲をSpotifyのプレイリストにまとめてみました。

2021年はAfrobeatsシーンにおいてかなり重要な年だったように思います。かつてない程のスケール感で世界的な注目を集めているアフリカ音楽、特にナイジェリアのAfrobeatsシーンですが、今日は2021年に大きな話題となったトピックを3つご紹介します。

Afrobeatsトピック① Burna Boyがグラミー受賞!


まず2月の第63回グラミー賞においてBurna Boyが5枚目のアルバム「Twice As Tall」で見事グローバルミュージック賞を受賞しました。単独アーティストとしてナイジェリア人初の快挙であり、アフリカから世界に向け拡大を続けているAfrobeatsが、世界最高峰の音楽賞で評価された歴史的瞬間でもありました。

前年の2019年、グラミーでグローバルミュージック賞を受賞したベナン出身の世界的アーティストであるAngélique Kidjo(アンジェリーク・キジョー/ユニセフ親善大使としても有名)が、同じくノミニーとしてその場に出席していたBurna Boy(前作African Giantでノミネート)を見つめながら語った伝説のスピーチが、翌年まさに現実となった瞬間でもありました。

私は4年前のグラミー受賞時に、これからアフリカの新たな世代がこの場に立つだろうと予測しましたが、今まさにその時が来ました。これからはバーナボーイの時代です。(私が受賞した)このトロフィーは彼に捧げます。 ~アンジェリーク・キジョー 2019年のグラミー授賞式にて~

またWizkidもBeyoncéとのコラボ曲「Brown Skin Girl」でベストミュージックビデオ賞を受賞しています。こうしたアワードでの輝かしい栄光をひっさげ、2021年9月からはBurna Boy・Wizkid共に北米とヨーロッパ各国を回るツアーを開催。WizkidがロンドンO2アリーナで開催したコンサートでは、わずか10分たらずでチケットが即刻ソールドアウトになりました。


Afrobeatsトピック② Wizkidの「Essence」がBillboardチャートで快挙!


いまや世界中で人気を誇るWizkid、2020年10月末にリリースされた傑作アルバム「Made in Lagos」からの4thシングル「Essence」が、なんとアメリカBillboard HOT100においてTOP10内にチャートイン(最高順位は9位)。これはアフリカのアーティストとして初の快挙となりました。
さらに同じくBillboardのAdult R&B Airplay Chart1位Hot R&B / Hip Hop Songs Chartでは3位を獲得。更に更にソウルトレインアワード2021ではベストコラボレーションを受賞し、アメリカの音楽メディアRolling Stoneが選ぶ「2021年のBest Song 50」においては見事1位に選出されるなど、もはや止められない勢いでアメリカの音楽シーンを爆走しているWizkidです。


Afrobeats Topic③ Amapianoがナイジェリアシーンを席捲!

Amapianoは南アフリカ発祥のダンスミュージックで、これまでもnote記事やラジオ出演の際に何度か取り上げてきました。また、昨年一緒にJ-WAVE「SONAR MUSIC」に出演した日本人Amapianoトラックメーカーであるaudiot909さんのnoteでも詳しく取り上げられていますので、そちらもぜひお読み頂けたら嬉しいです。

本当に凄いんですよ、Amapianoの威力。
ナイジェリアでは2020年7月にRemaがリリースしたシングル「Woman」が、おそらくAfrobeatsにAmapianoを導入した最初の曲だと思います。

「Woman」はMavin Recordのインハウス・プロデューサーであるOzedikusBurssBrainのプロデュース作品。Ozedikusは過去にRemaの初期の名作である「Dumebi」「Corny」「Iron man」などでもプロデュースを担当し、BurssBrainはKorede Belloのヒット曲Do Like Thatなどを手掛けてますね 。

これ以降、ナイジェリアのアーティストがこぞってAmapianoのリズムパターンや音色を積極的に楽曲へと導入するようになっていきます。得に最近顕著なのがDavidoですね。冒頭で紹介したYoutube動画の楽曲「Champion Sound」では南アフリカの人気DJ/プロデューサーFocalisticを起用。Focalisticとは2021年2月に「Ke Star(Remix)feat. Vigro Deep」でもコラボしています。ちなみにこの「Ke Star」の2分ぐらいのところでDavidoが「アリガトウ~」と歌ってる箇所があるので、気になった方はチェックしてみてください。
WizkidやBurna Boyとは違った角度からアーティストとしての独自性を発揮するDavidoは嗅覚が抜群。またショーの魅せ方とパフォーマンスの熱さという点においてもナイジェリアで彼の右に出る者はいないような気がします。今年のDavidoの展開に期待!

他にも私のプレイリストからAmapianoが感じられる曲をピックアップすると、

Davido feat. Adekunle Gold "High"
Ayra Starr "Bloody Samaritan"
Bella Alubo feat. Niniola "Location"
Reekado Banks "Ozumba Mbadiwe"
Joe Boy "Sip(Alcohol)"
Lojay feat. Sarz "Monalisa" 

などが挙げられます。
Reekado Banksの「Ozumba Mbadiwe」などはもはや「カレーうどん」並みのローカライズですね。
この曲は後半のギターソロも聴きどころです。またプロデューサーのP.Priimeがこの曲の音作りを事細かく解説してる動画があるので、こちらもぜひチェックを。BanksにとってはMavin Record脱退騒動後のスマッシュヒット。色々とメモリアルな曲です。

またSpotifyにはNigerian Amapianoのプレイリストがいくつかありましたので、その中からひとつ選んでみました。

本国南アフリカと比べると、Afrobeatsというスープの香辛料やトッピング的にAmapianoを利かせてる印象のNigerian Amapianoですが、今後この融合がどんな新しい音楽を作っていくのか非常に楽しみです。

さて。

そんなわけで突然ですが、いつもお世話になっているJ-WAVE「SONAR MUSIC」の1月4日の放送にリモート生出演させて頂きます!!!

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今回のテーマは、

「SOANRファミリーが選ぶ!今年注目のアーティスト〜洋楽編〜」

ということで、私アオキシゲユキは23時台にアフリカの注目アーティストを1組ご紹介させて頂きます。ちなみに1月4日に紹介する予定のアーティストも、私の50曲のAfrobeatsプレイリストの中でセレクトしていますので、ぜひそちらもドンと見据えて!!(Don't miss it!!)


本来であればこの50曲の中から何人かのアーティストをピックアップし詳しくご紹介したかったのですが、3大トピックだけでも結構なボリュームになってしまったので、続きはまた次回ということで。

最後までお読み頂きありがとうございました。
アフリカ音楽キュレーターのアオキシゲユキでした。
本年もどうぞよろしくお願い致します!!


今回の参照記事はこちらです。


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