紙メディアの役割についての再考
●パナソニック、紙の社内報を2年ぶり復活●
パナソニックは今月、紙媒体の社内報を2年ぶりに復活する。経費削減の一環で2012年に廃止し、イントラネットでの配信に切り替えていた。カラー写真をふんだんに使い読みやすくした社内報で成長戦略などを解説し、社内の求心力向上を目指す。季刊の「パナソニック ヘッドラインズ クォータリー」として復刊し、毎号9万部を配布する。紙媒体の廃止以降、社内報を読まなくなった社員が増えた。(2014/11/8 日本経済新聞 朝刊)
◇これは出版印刷業界としては、なかなかの朗報だ。社内報やPR誌で食ってた編プロは、この10年間で、収益の柱をどんどん失っていたからね。それはそれとして、ここにはもうひとつ大事な問題が隠されている。
◇311の夏に、僕は友人であり弟子の青山一郎くんと一緒に、南三陸の新聞関係者を訪問した。そこで僕は新聞の本当の役割を教えられた。それは、ただ情報を伝える、ということだけではなく、「同じ情報を地域なりコミュニティの内部の人間が、同時に見る」ということであった。確かに電子化すれば、いつでも好きな時に情報を受信することが出来る。しかし、同じ情報を共有とするという意識は薄れる。
◇南三陸の藤田新聞店の藤田さんは、震災で新聞社からの新聞が届かなくなり、避難所をまわって、そこの壁に貼られている各種情報を書き写し、コピー印刷のミニコミ新聞を作って、震災後も連日、新聞配達をした。そのことによって、同じ情報を同じ地域の人が共有することによって地域の連帯感が生まれたのではないか、とおっしゃっていた。
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