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小説「占い師の時代」-----探偵と純喫茶マスターと占い師

マスター橘川幸夫の小説を連載しています。 オンライン純喫茶「キツ」 24時間営業しています。 https://miraifes.org/kitsu/
樹喫茶「キツ」に客がこないので。この部屋は、マスターの物語生成工房にしようと思う。
¥2,000 / 月
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#新宿の父

橘川幸夫の小説

橘川は雑誌的な人間なので、人類のタイムラインと一緒に疾走していくのがロックだと思っていたので、立ち止まって過去を振り返ったり、自分を客観的に眺めて描写したりする小説が嫌いだった。嫌いというのではないかもしれないが、方法論的に違うと思っていた。そういう余裕はないと思っていた。 大手出版社には、雑誌部と書籍部があって、仲が悪い。それは方法論が違うからだろう。 そんな橘川が突然、小説を書いてみたくなったのは、50歳を越えた時だ。50歳で自分の人生は終わったと思い、生前葬を行って

小説・占い師の時代(4)第四章「占い師になってみて(田岡源太郎の独白)」

占い師になってみて(田岡源太郎の独白) (1)ボイド占い 1980年代後半のバブルの最中に、ボイド占いの大家であった石川源晃さんと知り合った。銀座の交詢社の近くの古いビルの中に事務所があった。その頃、世話になっていた新宿の三大地上げ屋の一つと言われていた小さな不動産会社の社長がボイド占いにはまって、土地取引の日程はすべてボイド占いで決めていた。それで、社長から、石川さんに会って「ボイド手帳」を作れと言われて、接触した。  その頃は、今ほど「ボイド占い」の知名度はなく「知る