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記憶する葦(追悼文)

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一緒に時代を生きた人たち
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2022年3月の記事一覧

さようなら、宮澤保夫さん。

 宮澤保夫さんが亡くなった。宮澤さんは、僕の「時代の友」であり「同志」だった。  2008年7月11日帯広商工会議所青年部創立20周年事業「とかちローカルサミット」が行われた。旧友の後藤健市に誘われて、大喜利シンポジウムの司会をやったり、教育のワークショップに参加したりした。  教育のワークショップは、日本各地のベンチャーな教育関係者が集まり熱気のあるものだった。はじめて出会ったのは、その場所である。  写真で見ると、僕の右隣が宮澤さん。左隣りが教育支援協会の吉田博彦さ

さよなら、松村雄策(2)

 松村のサマーキャンプが終わってしまった。  なんだか、何もやる気がしなくて、だるい。  ロッキング・オンが創刊から10年ぐらいが見えてきた時、僕と岩谷さんは、ロッキング・オンを離れた。ロッキング・オンでやろうとしたことを、音楽業界の範囲の中ではなく、追求したいと思ったからだ。渋谷は音楽という枠の中で頑張り、業界ナンバー1の位置を獲得した。  ビジネスを主導したのは渋谷だが、渋谷にとっても、松村は創刊の時からの仲間であり、ロックの魂というようなものではなかったか。  

さよなら、松村雄策。

松村雄策が亡くなった。 1. 2022年3月12日の午後、渋谷陽一からメールがあって、自宅療養中の松村のところに見舞いに行ってくると。今日は行けないので、明日にでも行きたいと伝えてくれ、と頼んだ。  松村が倒れて、渋谷は、高額費用なのだと思うが、最先端の遺伝子治療を松村に受けさせていた。末期癌の人たちに効果があるのだが、松村は副作用がきついといって、やめてしまった。  松村はものすごく強い男だが、同時に弱虫である。松村の親父は、ボクシングの戦後初の世界チャンピオンである