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イコール「書評の書店」

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深呼吸書店は雑誌「イコール」の書評頁と連動しています。編集部に参加した人たちは自分で読んだ本の書評をアーカイブしてください。
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2016年1月の記事一覧

佐藤優「人間の叡智」(文春新書)

通勤の往復を中心とした移動中に6時間弱のオーディオブック「人間の叡智」(佐藤優)を聴き終わった。読了というのかどうか。これは聴読という。 メッセージは頭に入ったが、大事なところに線を引いたりメモを書くことはできないので、kindleで電子版を買って、気になったところに線を引く作業を終えた。このスタイルは復習にいい。結局、紙の本は買っていない。 佐藤優という稀有な能力の持ち主の知的生産性は極めて高い。その能力で現在の読書界を席巻している。 鈴木宗事件の国策捜査に関連して背

宮家邦彦「語られれざる中国の結末」(PHP新書)

現代中国を東アジア・西太平洋の新たなパワーシフト(力関係の変化)という観点からとらえて中国の将来シナリオについて大胆に予測した本だ。米中衝突の可能性とその結果としての中国の結末はどうなるのか、、。 中国発展モデルの4類型。こうした欧米式政治学的アプローチ分析には限界。 繫栄は民主化を促進する:熟柿モデル。希望的観測。このシナリオは早晩、破たんする。 繫栄は独裁を強化する:反中派唱えるモデル。中国軍事大国モデルと現状継続モデルに分化、共産党独裁の統治能力に過大評価はできな