実践:催眠をかける時の姿勢について

催眠と姿勢

催眠にかける際の姿勢は、結構軽視されがちなのですが、催眠を成功させるのに非常に重要なファクターの一つです。

詳細に関しては、術者のみが知れば良い知識であるため、詳細は触れませんが、よく使う座位について、何点かポイントを説明していきます。成功率にどこまで影響するかといった定量的なデータはありませんが、被験者の安心感などが格段に変わりますので、気にしてみてください。


通常の催眠を行う姿勢

椅子などを使用する場合には、できるだけキャスターなどの無い、しっかり固定できるものを使用します。また、催眠時に色々な運動を起こさせる都合上、肘掛けは無い方を私は好んで使います。

そして、被験者が座った時に気を付ける点としては、足の角度と足の裏の方向・位置です。技法により異なるのですが、まずはきちんと座った時に、両足の裏が床にぴったりつく高さの椅子であることが好ましいです。また、足の裏がぴったりとついた状態で膝の角度を90度ぐらいで維持してもらい、座面に足が入り込まないよう座り方を誘導します。足が座面より内側に入ってしまうと、頭などが前に倒れた場合に、一気に倒れかかってしまう危険がありますので、これは必ず守るようにしてください。


弛緩系の催眠誘導の場合

誘導初期
誘導初期の場合には、"足"はしっかりと床につけるようにしてください。催眠状態が浅い時には、身体がふらふらした場合に身体をしっかりと自重で支えられるだけのしっかりした踏ん張りが必要です。その状態の時には、被験者は背もたれに接触した状態が望ましいです。これは、余計なふらふらを防止すると共に、被験者が体重に思考する必要がなくなるからです。手に関しては、太ももの上に置くことが一般的ですが、私は手の平を上にしています。手の平が下を向いていると、身体の力が入りやすくなってしまうのです。

誘導中期以降
誘導がある程度進み、何度も弛緩を入れるような状態になったら、本格的に弛緩を全身にいれるために工夫が必要です。
まず、第一に"お尻"の位置は、座面の少し前側に移動させ、背を丸めてるような形で背もたれに寄りかかってもらいます。第二に"首"ですが、催眠誘導した時点で、頭は完全に前に倒しておきましょう。催眠状態に正しく入っていれば副交感神経優位になっているので、あわせて首の筋肉も弛緩していて、速やかに前に倒れると思います。第三に"足"ですが、弛緩が進行しているのであれば、前に放りだして足の裏を正面にしておきます。なお、この後に身体を大きく前に倒すのであれば、足の裏は床にぴったりとくっつけておく必要があります。
  ※余談ですが、催眠覚醒時にぴょこんと飛び上がるのは、
   自律神経が復帰したときのサインです。

また、身体を大きく前に倒す場合には、手は速やかに両足の脇に降ろしておきます。身体が腕の自重によって前に倒れやすくする効果もあります。


自動運動系の催眠誘導の場合

自動運動を起こすような誘導を起こす場合には、足はしっかりと床につけるようにしてください。これは身体が前後左右などに揺れた場合に、足の自重で身体を支える必要があるためです。
そして、お尻の位置は、座面の少し前側に移動させ、背もたれに寄りかからないようにしてもらいます。背もたれに背がついていると自動運動の失敗確率は非常に高くなるため、必ず守るようにしてください。


座位ケースの催眠姿勢について、ポイントでした。

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