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『シン・仮面ライダー』などの考察のまとめ,2024年5月29日

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注意

これらの物語の重要な展開を明かします。

特に、PG12指定の映画『シン・仮面ライダー』及びその漫画版にご注意ください。

特撮映画

『シン・ゴジラ』
『シン・ウルトラマン』
『シン・仮面ライダー』

漫画

『真の安らぎはこの世になく シン・仮面ライダー』

『シン・仮面ライダー』について

 『シン・仮面ライダー』の前日談の漫画版『真の安らぎはこの世になく』の展開が、いよいよ本編に迫って来たので、最後に向けてどう変わるか考えます。
 『シン・仮面ライダー』序盤で仮にルリ子が眼をクモオーグに潰されていた場合、本編で最大の危機であるハビタット計画がどうなったか考えますと、ハビタット計画をルリ子が止めるのにも、イチローがハビタット計画を「完璧」なものにするのにも、ルリ子のデータが必要だったとされるものの、あくまで手からそのデータを読み込むようなので、眼が必須か分かりません。
 この辺りに、「災い転じて福となす」のカオス理論の考察の余地もありそうです。
 また、「完璧にならない」というのが、全員の魂=プラーナを回収出来ないという意味なのか、全員の魂のいずれかが統一されず消滅してしまうという意味なのか、人数ではなく持続時間の問題なのかがよく分かりませんでした。
 イチローが計画の「完璧なプログラムの構築」を目指して直ぐに行わず、結果的に本郷達に止められたのは、何の欠陥を気にして「角をためて牛を殺す」状態になったのか分かりません。
 ルリ子が、「ハビタット世界では嘘をつけない」と、「政府の男」達に直接言わなかったようなのは、すでに取り込まれた機動隊員の知る情報がイチローに掌握されていることを、政府に知られたくなかったのかもしれませんが、すでに政府の監視あるいは「見守る」対象であるルリ子が隠したとも断定出来ません。
 『シン・仮面ライダー』について、漫画版を踏まえて判明したのは、チョウオーグが決して強さをきわめてはいなかったことです。
 本編で「エネルギー補充を絶ってもかなり強い」と言われていたチョウオーグ=イチローは、漫画版で、10年間戦いをやめて鍛錬していなかったと判明しました。クモオーグにより再開してから、本編まであまり経過していないようです。
 すると、仮に「強くなりたい」という「幸福」を目指す構成員がおり、イチローのような「アルティメットオーグメント」になれば、『シン・仮面ライダー』の続編がある場合、さらなる強敵になるかもしれません。
 漫画版のハチオーグ=ひろみが保育園で負傷したときに、「救急車」を一般人の職員が呼ぼうとして、事情を知る人間が「手配した」と言ったものの、救急車に偽装した車やその乗組員をどう手配するのか、どこから来てどこに運ぶのかなどが非常に難しく、漫画の図式で分かりにくくなっていたとも考えられます。
 ハチオーグは、変身解除したとき、「私に銃弾は効かない」と言ったものの、変身したはずのサソリオーグが銃弾の連発で力尽きたことから考えて、あくまで「情報機関の男」が持っていた銃一丁では耐え切れるということだったかもしれません。
 『シン・仮面ライダー』では、本郷の仮面ライダーが、元々人間を洗脳しただけの下級戦闘員を残酷に殺す場面がありましたが、本郷の魂を宿したマスクを一文字が装着した第2+1号が、今後「優しさを感じるマスク」でどう戦うか気になります。
 皮肉にも、仮面ライダー第0号であるチョウオーグが、人間に外傷を与えずに魂に当たるプラーナを奪い殺しています。
 情報機関の男がサソリオーグの毒を利用したように、チョウオーグの能力で、2+1号が下級戦闘員を、外傷なしに、命も奪わずに、一時的にプラーナを奪い戦闘不能に出来れば、かなり穏やかに解決出来るかもしれません。
 あるいは、コウモリオーグのヴィルースやハチオーグの洗脳も、相手を殺さずに取り押さえる意味では転用の余地がありそうですし。
 『シン・仮面ライダー』の一文字隼人の両親は、クモオーグにより、イチローの戦いを目撃させられたことで、暴走したイチローに殺されたと判明しました。
 しかし、それならば何故イチローが隼人を迎え入れたのか、何故「面倒な役目」を任せるようなことをしたのか気になります。イチローは隼人を含めた抵抗に「しつこい」、「こざかしい」と言っています。少しは申し訳なさそうな態度になるべきでないのか、とも言えます。
 本郷猛の父親の警察官の死にも、ショッカーやイチローはかかわっているかもしれません。
 ショッカーのオーグメントは、頭2文字で、バッタオーグは「BAA」、サソリオーグは「SAA」と略されるようです。1文字ではクモオーグ、コウモリオーグ、K.Kオーグの区別が出来ません。
 しかし、新しいコブラオーグは、K.Kオーグが、本来CであるべきカメレオンをKにしていることから、「KOA」にしてしまうと、コウモリオーグと区別が付かず、その辺りが気になります。

 『シン・仮面ライダー』のオーグメントは、落命すると体が泡になって消えます。
 下級戦闘員がどうなるかの描写はないのですが、コウモリオーグなどの描写から、少なくとも死の直前までに負傷して飛び散った血液は泡にならないようです。
 すると、仮面ライダーの戦いでは、特に下級戦闘員やコウモリオーグの血液だけが現場に残り、仮面ライダーが殺害したという形跡になります。皮肉にも、仮面ライダーの敵が殺害した人間の跡は残らないことが多く、いずれ仮面ライダーの方が殺人犯として、事情を知らない人間に誤解されるかもしれません。空中戦などで、いずれ一般人にみられる可能性もありますし。
 K.Kオーグが「裏切り」に憤り、「敵討ち」にこだわる動機も見えず、イチローとクモオーグの件も、どちらが「裏切り」をしたか曖昧です。
 綾小路や亨など、まだ顛末の分からない人物もいます。

『シン・仮面ライダー』の科学的考察

 『シン・仮面ライダー』は、『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』に続く映画作品として、科学的な考察がされていると言えます。
 『シン・ウルトラマン』はネロンガの眼球の透明化の限界、ザラブのにせウルトラマンの見分け方、ウルトラマンの体重、ゼットンの火球の威力などの考察など、『空想科学読本』を踏まえている可能性があります。
 『シン・ゴジラ』の、核反応を起こして活動するゴジラがその熱を処理し切れないのもそうでしょう。
 『シン・仮面ライダー』では、『空想科学読本』の『仮面ライダー』に関する「変身出来るのなら強くも弱くもなれるが、弱くなれることに何のメリットがあるのか?初めから強くすれば良い」という趣旨の記述を踏まえているとみられます。クモオーグに「ヒトに戻るのは愚か」と言わせて、その異形を受け入れる彼の特殊な精神、そして漫画版で異形故に飛行機に乗るなどの隠密活動に向いていないデメリット、ヒトに戻れるメリットが示されています。
 また、コウモリオーグ以外、本編の敵は本郷に変身解除させておらず、あまりその「弱くなれる」ことのデメリットを活かしていないとも言えます。

『シン・仮面ライダー』の「高火力の通常兵器」

 また、仮面ライダーシリーズのような等身大のヒーローの場合、どうしても、何故爆弾や戦闘機や戦車やミサイルなどの大規模な兵器を使わないのか、という疑問の余地が出て来ます。
 これを『シン・仮面ライダー』では、クモオーグやサソリオーグやコウモリオーグは、自らの手や武器やヴィルースで人を殺すことにこだわる「少数の幸福」を追求する組織故の非合理性として描かれています。
 また、クモオーグは「邪魔者」や「裏切り者」に死をもたらす、あくまで暗殺専門で、大規模な大量破壊兵器を使わないものの、すでにルリ子をさらっていたので、政府や仮面ライダーも大規模な攻撃がしにくかったと言えます。
 それ以降のコウモリオーグやハチオーグやチョウオーグは大規模な破壊兵器を持つので政府の物量でも被害を広げる可能性があり対処が難しい、サソリオーグは物量で押し切れた、などの、現実的な物量で解決しにくい理由付けがなされています。
 漫画版で、「高火力の通常兵器」を使えない理由として、組織の秘密が外部に知られる危険が説明されていましたが、すでに本編では、ショッカーも政府も完全に隠す気があるとも言い切れませんし。

『シン・仮面ライダー』の少数派なりの「他者の尊重」

 『シン・仮面ライダー』漫画版の死神グループの幹部は、「ショッカーが罪を負わずにいることは不可能」、「暴力が必要なら恐れずに使うべき」、「敵を増やし、私の絶望を上回る絶望が世界を変えるなら、その絶望の糧になるなら本望だ」と独特の主張をしていました。
 少なくとも言えることは、ショッカーの中には、自分という少数派の感情にこだわる人間はいるものの、自分とは別の感情を持つ少数の人間がいる事実を認識する人間もいることです。


参考にした物語


特撮映画

庵野秀明(総監督・脚本),2016,『シン・ゴジラ』,東宝(提供)
樋口真嗣(監督),庵野秀明(脚本),2022,『シン・ウルトラマン』,東宝
石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映

漫画

山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社

参考文献

柳田理科雄,1996,『空想科学読本』,宝島社


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