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地方や個人のオリジナリティは作れるものではない

こちらは7月21日に宮崎で開催された「地方×編集力」と題した講演会の書き起こし記事です。

技術によって地方が盛り上がる

司会:箕輪さんはなぜ「地方がアツい」と思ったんですか?

箕輪:いろんな背景はあると思うけど、あらゆる現象が起きる裏には技術の進化が絶対にある。技術が変化するから世の中が変わるっていうのは、今の時代において必然なんだよ。

5Gっていう技術があって。今テレビ会議とかってぶっちゃけめんどくさいじゃん。「回線が途絶えた。もう面倒くさいから1回会いましょう」みたいな。資料とかもその場で見ることはできない。でも、5Gによってそのストレスがなくなる。スムーズにテレビ電話ができて、タイムラグが生まれない。そうなると、どこにいても仕事ができるし、わざわざ東京へ出勤する必要もない。

それと、自動運転だよね。自動運転が始まると「移動」っていう概念がなくなるんだよね。寝てても、ご飯食べてても移動できるから。「遠い」っていう概念もなくなる。その2つの進化があるから、地方の価値が高まっていく。

そうなると、当たり前だけど人は住みやすいところに住むんだよね。景色がよかったり、ご飯が美味しかったり、気候がよかったり、その土地が好きとか。わざわざ東京に住む必要がないって人が増えると、地方の価値が上がるというのは間違いない。田舎で過ごす時間の方が楽しいって再発見されると思うんだよね。田舎いいよねみたいな。

ホリエモンとかも田舎で最近よく遊んでるけど、根源的に「田舎の方が楽しい」っていう感覚がみんなあるじゃん。今までは、そういう点で東京には勝てなかったけど、これからはそのままでも勝負ができるようになってくる。だから、いい感じの地方は盛り上がってくるだろうなって思う。

司会:地方の人たちって自分たちの土地で、なかなか熱狂することが見つけられないと感じてます。地方はどうしたら熱狂していくと思いますか?

箕輪:いや、別に熱狂する必要はなくてそのままでいいんだよ。地方が盛り上がるっていうのは、東京の人とかが訪れるってことじゃなくて、今まで地方で仕事してた人たちが不自由じゃなくなるってことだよ。

要は、田舎だとできる仕事も限られていろいろ不自由があったんだけど、これから何の不自由もなくなって地方にいることを言い訳にする必要がなくなる。だから、ポジティブなことが今後起きていくんじゃないかな。

地方の魅力をアピールして、観光客を呼ぼうとか考える必要がなくなると思う。わざわざ「こんなにいい場所ですよ」って媚びる必要も、観光客にお金を落としてもらうことを狙う必要もない。みんなが住みたいところに住んで、やりたいことができる時代が来るってだけ。

じゃあ、その時代において問われるのは、何か提供できる価値があるかってことだけだよ。遠くても仕事ができるようになるから、この人と話すことや技術に価値があると思われる存在にならなきゃいけないって感じだよね。

小さな熱狂からブランドは生まれる

司会:いいイベントや企画に共通するものって何だと思いますか?

箕輪:やっぱり明確な目的を主催者が持っていて、それに対してものすごい入れ込んでいるかどうか。この人マジで本気すぎるなって最初は鼻で笑われるかもしれないけど、話してるとどんどん巻き込まれちゃうみたいなことってあるから。

大体うまくいく企画とかって僕が夢中になりすぎてる。最初の打ち合わせとかで相手は笑ってても、協力したくなってどんどん味方が増えて、気づいたら謎の現象になってるみたいな。小さい火種って大事。逆に、何億円かけてプロモーションしても、誰1人本気じゃなかったら誰の心も動かさない。

でも、みんなが本気で夢中になって楽しくてしょうがないみたいなプロジェクトは、気づいたら日本全国で話題になってたりする。周りは「箕輪さん上手いことやりますね」って言うんだけど、上手いことやろうって思ったことない。本気で思うから伝わるってことなんだよね。

本気で頑張っているだけで、テクニックとかじゃないと思うんだよね、本気でいいイベントにしようと思ったら、テクニック的なことは勝手に調べて学んでいるから。マイクはこうやった方がいいんだなとか。大事なのは、この人たちにこういうこと伝えたいんだ! っていうことだよね。

司会:場数を踏むことは大事ですか?

箕輪:絶対大事だと思う。場数こそが命だよ。僕はモデレーターをほぼ毎日やってんだけど、上手くなろうと思ってやったことはない。単純に毎日やってると自分のスタイルができる。今は忙しいから開始5分前ぐらいに着いて、ゲストとその瞬間に会って「じゃあ、よろしくお願いします」みたいに始まる。

そういうの得意なんだろうなって自分自身で思ってたんだけど、この前自分の会社の机を掃除してたら、初めてモデレーターした時のカンニングペーパーみたいなのが出てきた。「初めまして、箕輪と申します」みたいに質問とかめっちゃ書いてあって、ちょっと感動した。

会場:(笑)。

箕輪:真面目だなと思って。多分それが初めてのモデレーターで朝からずっと考えてたんだと思う。最初はそういう感じだったの。今は頼まれすぎて毎日やるようになった。でも、昼間の仕事が溢れているのに、夜のモデレーターのために準備とかしようがない。場数を踏むうちに上手くなるっていうか慣れるんだよね。

司会:自分のスタイルを築くってすごく大事ですよね。

箕輪:スタイルは大事。モデレーターが上手い人はいくらでもいる。だから、「箕輪さんの回はぐちゃぐちゃになって、聞きたいことが聞けないけど楽しい」みたいに言われようと思ってやってる。それが嫌な人は来なければいい。お客さんが選り好みするものがブランドって呼ばれるから。毎回そこそこ上手くこなすってのは単なる機能だもん。

XJAPANのコンサートで、ドラムが途中で気絶して中止になったりするじゃん。でも、誰も文句言わないのは、あれがブランドになってるから。待ってました! みたいな。世の中はオリジナリティを求めている気がするんだけど、それは嘘。世の中でヒットしているものは定型だからね。『水戸黄門』や『ドラえもん』もパターンがあるじゃん。

司会:オリジナルを求めたものを出した時は、失敗することが多いんでしょうか?

箕輪:分かんないけど、完全なオリジナルってないよ。例えば、僕が喋っていることも誰かが言ってることだからね。狙ってオリジナリティなんて出ないの。「僕はこれが好きだから、これ以外無理です」って単純に好きなことを突き詰めて、その人らしさが出たのをオリジナリティって言うんだと思うよ。

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テキスト 塩谷麻友 壁井裕貴
編集 橘田佐樹
写真 Ogawa Yukie

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