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遺伝子ってこわい。

昨日は息子の園の発表会だった。数年前までは先生の服の裾を引っ張り、もじもじしていたもじもじくんも、昨日は立派にダンスを踊っていて胸がいっぱいになった。同じクラスの子どもたちも赤ちゃんの頃から知っている子どもたち。感慨深いものがあり、みんな大きくなったなとしみじみ思う。
Aちゃんは今日の発表のために、大嫌いなピーマンを頑張って食べてきた。BくんとCくんはいつも喧嘩してるが、今日は仲良く手を繋いでいる。Dちゃんはいつも同じところで振り付けを間違えていたのに、本番ではバッチリ決まっていた。そんな妄想をしていたら、涙がどわっと溢れてきた。なんとも言えないタイミングで泣き出した私を隣に座っていた夫が蔑んだ目で見る。

そういえば数年前の発表会で、先生の服の裾を掴みながら隣のグランドピアノのをじっと見ていた息子。あとで先生が言っていた。
「◯◯くん、グランドピアノにうつった自分の顔を見てずっとニヤついていました」

ああ、遺伝子は恐ろしいなと思った。

私が子どもの頃、祖母が横になっているところへ頭の方から顔を覗き込んだことがあった。反対から見た祖母の顔は、いつも知っている祖母の顔ではなかった。そこにいるのは紛れもなく祖母なのに、祖母の目が「鬼太郎」に出てくる子泣き爺の目にしか見えなかった。当時「鬼太郎」を見まくっていた私は、突然眼下に子泣き爺が現れたものだから奇妙な笑いに包まれていった。じわじわ笑いが込み上げてくる。けらけらけらけら笑った。そのうち祖母の普通の顔を見ても笑いが堪えられなくなった。顔ってなんだか、でっぱったりひっこんだりしてて面白い。祖母を見るたびに笑った。あまりにいつも笑うものだから、さすがに怒られた。

「めちこ、いい加減にしなさいよ。人の顔見て笑うなんて失礼でしょ」。だって面白いんだもん。そんなことは口が裂けても言えなかったが。ホント失礼な話である。

恐らく息子も同じ類のおかしみを感じたのではないか。
自分の顔って面白い。あちこちでっぱたりひっこんだりしてる。踊るのやめて顔、見てよ。

遺伝子ってこわい。

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