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記憶

知らない場所のはずなのに、
どこか懐かしい気がして立ち止まる。


最近よくこのようなデジャヴが起きる。
でも今回はいつもとは違う懐かしさなのだ。
いつもは「来たことあるかも」というぼやっとした雰囲気でしかなかったものが、今回は「来た事ある!」と確定したもので、無いはずの記憶を思い出す。
大事な人との外出のようで、私はとても楽しそうにしている。
食事や服などの買い物を楽しんだり
靴底を汚せば汚す程記憶が溢れかえってくる。
思い出すとは言ったものの、隣にいる大事な人の顔だけはそこだけ切り取ったように思い出せなくて、なのに出会った事があるような。何だか心に黒い靄がかかったようだ。
記憶はそれ以上出てくる事はなく、日も暮れてきたので帰宅。
疲れた身体をベッドに投げ込み、大事な彼へとメールを。
彼は少しファンタジーな考えをする人で、それでいて現実的。
彼ならもしかしたら今日の出来事の形が分かるかもしれない。
鮮明すぎる記憶の話にはすぐ返信が来た。

『もしかしたら前世の記憶かもね。』
彼らしいファンタジーな答えだ。
ありがとうとだけ返し、記憶の整理をしてみる。
記憶の2人は自分達とよく似た雰囲気を出していたことに気付いた。
本当に前世の記憶としたら、顔の分からないあの人は彼なのだろうか。
もしそうなら次に記憶が出てくる時は
前世の記憶を完全に思い出したい。
そして出来ることなら彼にも前世を思い出して欲しいのだ。

前世の記憶同士が今世の身体で

また会えますようにと願うほかないのだ。

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