vs変態科学者2

リリーは、ハクにステッキを向けた。その先端から、光の玉が発射する。
それは真っ直ぐ直進し、彼に命中した。

(やった!このまま…!)

運動場は、瞬く間に砂煙に覆われる。
リリーは攻め時と判断し、そのまま何発も追加で発射した。

(反応がない。倒したのかしら?)

20発ほど打ったところで、ようやく攻撃をやめた。
そして、土煙が晴れるのを待つ。その時だった。

「なっ…!?」

突如、足元が光り出す。そこから植物のように鎖が生え上がると、あっという間にリリーを拘束した。
両手は無理矢理、上でバンザイの状態になっている。

「何で…倒したはずなのに!」
「浅はかだね。そんなところも可愛いけどさ〜」

やがて視界がクリアになると、無傷のハクが立っていた。
その横には、彼の背丈ほどある大きな全身鏡が置かれている。それは黒色の宝石で装飾され、どこか禍々しい雰囲気を纏っていた。

「ここに君の攻撃を全て吸収してある。今からそっくりそのまま、お返しするよ!」
「そんな…!は、放しなさいっ!」

どうにか脱出しようと、鎖をガチャガチャと動かす。が、全く解かれる気配はない。

「僕たちの仲間になるのなら、解放してあげるけど〜?」
「誰が!誰があなた達の仲間なんかに!」

その言葉を待ってました、と言わんばかりに、彼はニヤッと笑った。
そして鏡から、一つの光の玉が発射された。

「はぁっ…!」

それはリリーに直撃する。
自分が想像していた、何倍もの激しい衝撃と痛みが襲った。
たった一発で、この威力。リリーの体からは、焼けたような煙が出ていた。

「どうだい?仲間になる?」
「私は仲間になんて…ならないっ」
「そうかい。じゃあお仕置きだね〜」

今度は、玉が一気に二発。腹と右足に打ち付けられた。

「がはあっ!」

しばらく、煙がもくもくと舞っていた。それが晴れるまでハクが攻撃を待っていたのは、リリーの苦しむ顔をきちんと見たかったからだ。

「さあ!まだまだあるよ!もう一発いってみよ〜!」
「ああっ!」
「あははは!いいねえ!」
「んはっ!」

10数発が打たれたところで、リリーの体力はすでに大幅に削られていた。
コスチュームはところどころ破れ、焦げて煙が上がっている。鎖のおかげで辛うじて立っていられるだけで、半分項垂れた状態になっていた。

にたにた笑いを浮かべ、ハクは鏡と共に近づいてくる。
リリーは荒い呼吸をしながらも、その瞳には決して負けないとでも言うような気高さと可憐さが残っていた。

「あはは、苦しそうな顔!かわいいねえ〜!」
「触ら…ないで…!」

頬に触れられ、息絶え絶えながらに口だけで抵抗をする。
鎖に縛られた体では、相変わらず動けない。

「仲間になる?どう?」
「……っ」
「断ればまた攻撃されるもんね。しかも今度はこんな至近距離から。痛いだろうねー?どう?仲間になる?」
「……私は、仲間になんて……ならないっ」
「そう、じゃあ一気に打っちゃうね」

鏡が眩い光を放つ。残りの玉が、次々と飛び出した。
しかも、手を伸ばせば届くような至近距離からだ。先ほどとは威力が桁違いである。

「ああああっ!!」
「あははは!苦しい?痛い!?」
「ぐはっ!くっ…!」

抵抗できないリリーの身体を、容赦なく打ちのめす。
歯を食いしばり、ひたすら耐えることしかできない。

「かはっ…!つっ…ぐう…!」
「まだあるよ〜!」
「がはっ!あああっ…あ…!」

やがて、最後の攻撃が終わる。
自分の攻撃を跳ね返されたこと、縛られて抵抗できないこと、力の差がありすぎること。
その全てが屈辱的だ。

リリーはがっくりと完全に項垂れ、その生気は今にも消えそうに思われた。
顔色は真っ青になっている。

「あーあ。終わりかあ」
「う……」
「じゃあ、君の学校をぶっ潰しちゃおうかな!」
「やめ…て…。やめて…!」

力を振り絞り、顔を上げる。そして、キッと彼を睨みつけた。
窮地に立たされても、なお諦めない。

「あっ…!?」

突然鎖が消え、彼女は地面にうつ伏せで倒れた。
鎖のおかげで無理矢理立たされていた状態だ。既に体力は限界で、立ち上がることさえ難しい。

「ぐぅっ!…うう」

うめき声を上げながらも、残りのわずかな力を振り絞り、ゆっくりと立ち上がる。途中で力尽きそうになり、ガクンと肘を着くも、決して諦めない。
やがて彼女はふらふらと立ち上がった。

「私は…負けない…っ」
「いいねえ、いいねえ!そのひたむきさ!かわいいねえ!そろそろクライマックスにいこうか!」
「なっ…」

突然、ハクの姿が消えた。
かと思えば、瞬時に自分の前に現れた。彼の右手が、素早く動く。
ガードしようと身を屈めたが、間に合わなかった。そのアッパーを諸に受けてしまう。

「はがあっ!」

弱った彼女の身体は、上空に吹っ飛んだ。一瞬、意識が飛ぶ。

「いやぁっ…!」

コンクリートに身体を叩きつけられ、痛みで目を覚ました。
自分の身体は、屋上にまで吹っ飛ばされていた。

(一体何のつもり…?)

やがて、ハクが後を追って来た。
しかしリリーは立ち上がれず、その場で呻き声を上げることしかできない。

「さあて、今から君にはショーの主役になってもらうよ」

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