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ノルウェイの森を読んで

ノルウェイの森に登場する、主人公の大学の知り合い兼恋人のような友達のような存在、緑ちゃん。

緑ちゃんのイカれ具合が好きだ。

主人公のことを勝手に振り回すのだけど、それが不思議と嫌らしく感じない。

緑ちゃんは何度も主人公に訊く。
「私のこと好き?じゃあどれくらい好き?」
すると主人公は、気まぐれで雑だけど実は深いところから滲み出ている、そんな彼女の愛情欲求に答えてあげる。
「春のクマくらい好きだよ」
と。

なんてユニークで愛しい返答なんだろうな。

「私のこと好き?ねえ、どれくらい好き?」
「世界中の森が全部倒れるくらい好きだよ」

「ねえ私のこと好き?どれくらいか言って」
「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好きだ」

私が、例えば親友のことを、どれくらい好きかっていうことを考えてみた。

雨の日の公園の香りくらい好き。
上野動物園のパンダもペリカンもキリンも突然檻から大脱走して東京中を自由にかけまわって隅田川でナイトプールするくらい好き。
イチョウ並木がある日全部桜になってしまった時に覚えるであろう衝撃とおかしさのミックスジュースくらい好き。


私のこと好き?どれくらい好き?


いわゆる「女の厄介な質問あるある」に思えるような質問だけれど

それを軽やかに受け取って自分の中で料理して素敵な回答を繰り出せてしまう、主人公の変換能力もとてもいいなと思う。一見面倒な外部刺激も、自分の調理の仕方次第で楽しいものにできるって思わせてくれた。


私のこと好き?

どれくらい好き?



春のクマくらい好きだよ。



最高のアンサーだと思う。

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