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クロナガアリとの出会い(1994年)

1994年、小学校2年生(8歳)の時、図書室にあった『クロナガアリ(偕成社)』という本を読んでクロナガアリという蟻を初めて知りました。

種子を貯蔵する事、地下4~5mの巣を作る事など興味深い生態で、クロナガアリを飼ってみたくなりました。

クロナガアリは秋に種子を収穫して貯蔵しますが、秋以外は巣の中に籠って暮らします。そのため、秋にならないと巣の場所が分かりません。

しばらくはクロナガアリを忘れていましたが、ある秋の日、たまたま友人達と原っぱで遊んでいると足元にクロナガアリの巣を発見しました!

後日一人で原っぱに行き、さっそくクロナガアリの巣を掘ってみる事にしました。しかし、掘っても掘っても女王アリは出てきません。

クロナガアリの巣は 地下4m以上もあるので、とても小学2年生が最後まで掘り進める事はできません。

仕方がないので、掘って捕まえた働きアリを土が入った飼育容器で飼育してみました。しばらくは巣作りの様子が楽しめましたが、1匹1匹と働きアリが死んでいき、巣の人口はどんどん減っていきました。

アリは女王アリのみが産卵できるので、働きアリだけで飼育してもどんどん減っていくだけなのです。クロナガアリの本来の生態を観察するには、女王アリを捕まえないといけません。しかし、巣が深すぎるので女王アリを掘って捕まえる事は不可能でした。

そこで、もう一度『クロナガアリ(偕成社)』を読むと興味深い事が書いてありました。クロナガアリの結婚飛行です。

クロナガアリは秋にしか活動しませんが、例外的に春に巣口を開けて羽の生えた新女王アリとオスアリを送り出します。新女王アリとオスアリは空中で交尾しオスは死にます。

交尾後の新女王アリは、自分で自分の羽を取り、1匹で巣穴を掘って卵を産み子育てをします。

もし、結婚飛行直後のクロナガアリの新女王を捕まえる事が出来れば巣作りの様子を観察できます。クロナガアリの新女王を捕まえる事を目標にしました。とはいっても、インターネットも発達していない当時(1994年)は、誰に聞いてもクロナガアリの新女王の捕まえ方は分かりませんでした。

しかし、小学校の遠足で立ち寄った寺院の境内で、偶然にもクロナガアリの新女王アリを捕まえる事ができました。友達に内緒でそっと女王アリを捕獲し、大切に自宅に持ち帰りました。

数日後に新女王アリは産卵し、子育てしていく様子を観察できました。女王アリの子育ての様子をリアルタイムで観察でき、とても面白かったです。

最終的には、働きアリのふ化まで成功し本当に感動しました。
そのまま、しばらく飼育していましたが、当時は蟻の飼育技術が確立されておらず、数ヵ月後に女王アリは死んでしまいました。女王アリは10年以上の寿命があるとされていたのでとてもショックでした。

小学校2年生の時に蟻の世界の奥深さに触れましたが、その後、クロナガアリの新女王とは巡り合う事は無く、月日は過ぎていきました。