【現代表記】福沢諭吉「西洋事情」(1787年議定せる合衆国の律例 第1条 第10類) 

底本には小泉信三監修『福澤諭吉全集』第一巻(再版)所収の「西洋事情󠄁」を使用した。


第十類

国内一州の権を以ては、外国と条約を結ぶべからず。強償の令を出すべからず。貨幣を造るべからず。金銀の手形証書を出だすべからず。逋債を払うに金銀貨幣を除くの外、他物を用ゆべからず。縉紳の爵位を人に与うべからず。

一州の権を以ては、輸出輸入品の税を収納するに、唯収納の雑費を取るのみにて、税金は精密に会計して合衆国の金庫に納むべし。是等の法則は議事院にて再校改正すべし。

一州の権を以ては、頓税
”船の入津するとき其大小に従て収納する税銀”
を取る可らず。又太平のとき兵卒を養い軍艦を備う可らず。此州彼州と徒党し或は外国と約束を結ぶ可らず。兵を起す可らず。但し現在敵の襲攻を蒙り或は危急の事変有て猶予す可らざる時は此例に非ず。


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