【現代表記】 福沢諭吉 「ライフル操法」 (教授の順序)

底本には小泉信三監修『福澤諭吉全集』第二巻(再版)所収の「雷銃操法」を使用した。


第2編

教授の順序

第1章

 生兵すで小隊プラトーンの教練を心得れば、すなわち又これ小銃ライフルとり扱いを教ゆ。その順序左の如し。

第2章

 小銃ライフルとり扱いははなはだ大切なるものにて、反覆丁寧に注意せざるべからず。雷銃ライフルを兵卒の手に渡すは敵を殺さんがめなり。わが兵卒生命の安危も雷銃を用ゆるの巧拙にかかわるものなれば、何程他の諸術を鍛錬するとも、雷銃の用法につたなるときは百事みなやくなし。陣列の運動を調練するも畢竟ひっきょう雷銃の功用を為さしめんが為めなり。これを要するに発放の法を知らざる兵卒は、陣中において無用の長物といって可なり。

第3章

 雷銃ライフルの教練をわけて二段と為す。すなわた稽古と試験となり。

第4章

た稽古の箇条左の如し。
 第1条 手銃ライフルの掃除
 第2条 手銃の論説
 第3条 狙いの稽古
 第4条 身構えの稽古
 第5条 雷管打ち
 第6条 空発
 第7条 遠近の見はから
 第8条 銃包の製作

第5章

 試験の箇条左の如し。
 第1条 一人立ちの放発
 第2条 同列の放発
 第3条 後狙いバーカシャイトを用いずして急発すること
 第4条 戦列の放発
 第5条 遠近見はからいの試験

第6章

 左にるせるものは、た稽古ならびに試験の箇条を示したる表なり。この箇条を経ざる間は少年の士官は稽古所を脱するを得ず。生兵も練兵の中に加わることを許さず。かつすでに熟練したる士官、兵卒もこれを勉むるものなり。


↓は挿絵の画像リンクです。

慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション
雷銃操法. 一
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第7章

 生兵たる者、実発を為すに至るまでには、必ず右の表に記せるた稽古の数を経ざるべからず。この数を経てお実地に用い難きものは、再び本にかえって稽古を始むし。

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