【現代表記】福沢諭吉「増訂華英通語」(原著者凡例)

底本には小泉信三監修『福澤諭吉全集』第一巻(再版)所収の「增訂華英通󠄁語」を使用した。


 凡そ伝うる所の英語は、我が漢書に或は此の音無きに因りて、故にま未だ能くことごとざる者有り。然れども英字の考う可き有れば、亦悟る所に難からず。蓋し神にして之を明かにするは其の人に存するのみ

 凡そ漢字の内に小さき字有るは、務めて牙舌唇歯喉の五音に於いて、弁別すること清楚ならば、まさに英語と相ん。然らずんば、是れ之にたがうこと豪釐にして、之をあやまること千里なり矣。

 凡そ漢字の内に、倪の字有る者は、須らく華人の正音を以て之を調うべし。

 凡そ相問うの語は、必ず此の了字を用いて煞尾さつびす。

 凡そ漢字を用いて註脚する内に、ふたつの小さき字の相連なる有るは、須らく急口に合して之を読むを要すべし。此れ一定不易の法なり。学ぶ者其れ心を究めよ焉。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?