【米国市場】S&P、ナスダックは最高値更新、実態経済より金融政策

米国株式市場はS&P総合500種(.SPX)が続伸し、最高値を更新した。上昇は過去10営業日で9回目。朝方発表された全米民間雇用報告の伸びが予想を下回ったことを背景に、ディフェンシブ銘柄やバリュー株が上昇を主導した。

ナスダック最高値も雇用統計は予想下回る

ナスダック総合(.IXIC)も最高値を更新。コロナ危機前の水準を約23%上回った。ダウ工業株30種(.DJI)も2月に付けた最高値に迫った。
株価は午後に入り勢いを増し、取引終了前30分にかけこの日の高値を更新した。
アリー・インベストのチーフ投資ストラテジスト、リンジー・ベル氏は、投資家の間では2%超のインフレを容認する米連邦準備理事会(FRB)の新戦略がなお消化されつつあると指摘。「前日の好調な動きを受け、この日は一部ローテーションの動きとなり、バリュー株や景気循環株の買いが膨らんだ」と述べた。
FRBはこの日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は8月下旬にかけて小幅ながら拡大し、雇用はおおむね増加したものの、成長は一部地域で引き続き停滞したとの認識を示した。
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが2日に発表した8月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数の伸びが42万8000人と、ロイターがまとめたエコノミスト予想の95万人を大きく下回った。
S&Pバリュー株指数(.IVX)は1.8%、グロース株(.IGX)は1.4%高。
公益(.SPLRCU)、主要消費財(.SPLRCS)、不動産(.SPRLCR)の上昇が目立ち、2─3%強上昇。ヘルスケア(.SPXHC)も2%、金融(.SPSY)も1.5%上昇した。
情報技術(.SPLRCT)も0.9%上昇。朝方に値を下げたことで、安値拾いの買いが入ったという。
個別銘柄では半導体大手エヌビディア(NVDA.O)が3.8%高。同業マイクロン・テクノロジー(MU.O)の新しいメモリー技術を使って設計したゲーム用の高性能半導体チップの新シリーズ「GeForce RTX」の発表を受け、複数の証券会社が目標株価を引き上げた。
ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.91対1の比率で上回った。ナスダックも1.56対1で値上がり銘柄数が多かった。

今日の私見

雇用統計が良くなくても株価は上昇。
これは、市場が実態経済よりも金融政策に反応している証拠だ。
また、これまでは恐怖指数が高すぎて機関投資家が市場に参入しにくい状況だったが、徐々に参入しているとも言われている。
規格外の金融緩和状態に加え、機関投資家の資金が流れてくれば、まだまだ市場は上昇の余地があると予想できる。

しかし、油断は禁物。
テスラなど大きく売られているものもあり、ボラリティの高い展開が続くだろう。

今は売買テクニックではなく、以下に信じて保持し続けられるか、が重要だ。

出展

ロイター 9/2 米S&P・ナスダック最高値、ダウ年初来プラス回復 ハイテク主導