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【4/22】デフォルト騒動再び?欧州各国の財政状況

欧州連合(EU)統計局が21日発表したデータによると、2015年のユーロ圏の財政赤字は対域内総生産(GDP)比2.1%と前年の2.6%から低下しました。

年初に勃発した金融システム崩壊懸念から欧種の財政状況が回復したように思えますが、その中でスペインとポルトガルは財政健全化目標を達成できず、両国には欧州委員会やEU財務相からの債務削減を求める圧力が強まりそうです。


■第2のギリシャ、スペインとポルトガル

スペインとポルトガルはギリシャと同じく過剰債務国です。

そのため、国債不履行(デフォルト)の可能性が潜んでいます。

第2のギリシャとならないように財政改善化が求められていますが、その成果は出ていないようです。

ポルトガルの財政赤字はGDP比4.4%と2014年の7.2%から低下したが、EUから求められていた2.5%は達成できませんでした。

スペインも赤字比率が5.9%から5.1%へ低下したが、目標としていた4.2%には届きませんでした。

目標未達ではありますが、スペインもポルトガルも改善の兆しがあります。


■ギリシャは改善

ギリシャは7.2%と14年の3.6%から2倍に拡大した。

ただ公的債務は3114億5200万ユーロで、GDP比176.9%と前年の180.1%から低下した。

ギリシャの改革の進展状況を見極める上で重要な指標基礎的財政収支(プライマリーバランス、利払い費を除く)がGDP比0.7%と黒字となり、金融支援策で定めた目標0.25%の赤字を大幅に達成しました。

ギリシャは欧州委員会の基本シナリオに沿って順調に改善されているようです。


■ドイツの黒字拡大

世界一位の黒字国ドイツは2015年の財政黒字がGDP比0.7%と前年の0・3%から上昇しました。

年初はドイツ銀行の不振が広がりましたが、ドイツ経済の力強さを改めて証明しました。


■ECB金利据え置き

欧州中央銀行(ECB)は21日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.00%に据え置きました。

据え置きは市場の予想通りでした。ドラギECB総裁は「2015年第4・四半期と概ね同様のペースでの成長が継続していることが示唆されている。景気回復が継続すると予想する。」とし、景気回復に向かっていると発言。

インフレについては「インフレは今後数カ月に再びマイナスとなる可能性があるが、今年下期には上向くだろう。2017年にはさらに加速する見通しだ。」とし、インフレ率の低下の認識を示しました。

とりあえずは様子見ということですね。


■欧州は日本の手本

欧州は産業革命以降、世界を牽引し、いち早く先進国となりました。

そして先進国として成熟段階に突入し、これを突破しようとしています。

先進国として成熟するがゆえの問題である経済成長の維持、労働力の確保、少子高齢化など日本が今直面している問題を先に経験しています。

全てが解決できているわけではありませんがフランスは少子高齢化問題を解決させたなど、成功例もあります。

日本が抱える問題の解決策を見出すには先進国の先輩である欧州から学ぶべきなのです。

米国や中国の影に隠れがちですが、欧州にも注目が必要です。