円が一時112円に、新型コロナウィルスの感染拡大で日本に懸念向かう

20日午前のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下げ幅を広げ、一時は112円23銭近辺と2019年4月以来ほぼ10カ月ぶりの円安水準をつけた。
市場予想を上回る米経済指標が相次ぎ、ドル買いが強まった。一方、日本での新型肺炎の感染拡大が景気を冷やすとの観測から円を売る動きも出ている。

中国と隣接する日本、クルーズ船も懸念

20日朝発表の米経済指標は強い内容が目立った。
2月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数は36.7と前月から19.7ポイント上昇し、市場予想(8.0)を大きく上回った。
1月の米景気先行指標総合指数は前月比0.8%上昇と市場予想(0.4%上昇)を上回り、0.3%低下した前月から大きく改善した。2月に入って良好な米経済指標の発表が続いており、景気の強さに着目したドル買いが続いている。
一方、日本で新型肺炎の集団感染が発生したクルーズ船の乗客2人の死亡が判明し、20日の米市場でも日本の感染拡大に警戒感が強まった。
中国と地理的に近く経済的なつながりが強い日本の企業活動が滞り、景気に悪影響が及ぶとの観測から円を売り、新型肺炎の悪影響が相対的に小さいとみられる米国のドルを買う動きが広がった。
19日の米市場で市場参加者が下値支持線とみていた1月の安値の110円30銭近辺を下に抜け、円売り・ドル買いに勢いづいたとの指摘もあった。

WHO、感染拡大鈍感もなお慎重な姿勢

世界保健機関(WHO)は20日、中国本土で新型コロナウイルスの新たな感染の伸び鈍化は心強いとしつつも、この状況が今後も継続するとの判断は時期尚早との認識を示した。

中国国家衛生健康委員会は19日時点の中国本土での新たな感染者が394人だったと発表。18日の1749人から減少し、1月23日以来の少なさだった。
テドロス事務局長は「この(減少)トレンドは心強いが、気を緩めているゆとりはない」と述べた。
さらに中国以外での感染者数がなお少ないと指摘しつつも、「この状況が長く続くとは限らない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

韓国ではこの日、新型コロナウイルスの感染者で初の死者が出た。また新たに22人の感染が確認され、感染者数は104人となった。
テドロス事務局長は、韓国での感染者数は「制御可能」な水準とし、「初期の段階」で流行を食い止めたいとの考えを示した。WHO幹部のオリバー・モーガン氏も「数字がかなり高いようにみえるが、大半はすでに感染が確認されているケースに関連している」とし、「世界の疫学上の目立った変化を示唆しているわけではない」と述べた。

WHOはまた、3週間以内に新型ウイルス治療2種類の試験結果が明らかになる見通しとした。

総括

円は安全資産とされてきたが、中国からの感染拡大とダイアモンド・プリンセス号の乗客解放により新型コロナウィルスの感染拡大が懸念され、売られている。

新型コロナウィルスの滞在期間は2週間といられているため、2週間後、つまり3月に結果が出る。
WHOの試験結果も3週間以内に出るとされており、3月に終息に向かうか、まだ未知の状態になるかが見えて来るだろう。

経済的影響も、企業決算から徐々に見えてきており、4Q及び来期1Qに影響が出るだろう。

個人にできることは、とにかく手洗いうがい。
これを徹底したい。

出典

日本経済新聞 2/21 円、112円台に下落 NY市場で10カ月ぶり安値

ロイター 2/21 中国の新型ウイルス感染鈍化、心強いが予断許さず=WHO

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