Jリーグ改革案⑦~クローズドリーグにした場合の戦略~

2023年に、Jリーグは30周年を迎えた。
だが、そんな年でありながら、インターネットで話題になりやすいのは、サポーターの不祥事や、専用スタジアム建設によるJリーグと自治体の衝突といった悪いニュースが多く見える。

この30周年という節目を期に、Jリーグそのものの在り方を変えてもいいのではないかと思っている。

※私自身は、プロスポーツ観戦をしたことが無く、ニュースや他のサイト等で興味本位で見たり、リーグ構造を調べたりする程度である。
そんな素人の意見の為、あまり鵜呑みにはせず読んでいただければと思う。

最後は、もしJリーグをクローズドリーグにした場合の戦略と、NPBとどう差別化するか、自分なりに考えた。
また、改革案のまとめも併記しておく。




Jリーグをクローズドリーグにした場合の戦略

仮に、チームを厳選したうえで昇降格のないクローズドリーグにしたとしても、必ず収益が増えるわけではないし、リーグを存続出来る訳でもない。
その為、どのようにしてリーグを運営し、倒産しないようにするか等の戦略を立てていく必要がある。


シングルエンティティ制度

アメリカのサッカーリーグであるMLS(メジャーリーグサッカー)が採用している方法である。

これは、リーグとチームを一体化させ、単一の事業体とみなす方法である(リーグを会社とするならば、チームは部署といったイメージ)。
そのため、選手はチームの所属ではなく、リーグそのものの所属となり、年棒もリーグから支払われる。
チームにもオーダーが存在せず、リーグ所属もしくはリーグの株主となる。

また、放映権料のみならず、スポンサー収入やチケット収入といったものもリーグが一括して管理し、分配することになる。

このシステムのメリットとして、

  • 経営規模を均等化させやすく、結果的に戦力の均衡につなげられる

  • 意思決定を早く行える

  • 複数の事業者ではなく単一体であるため、独占禁止法での訴訟は難しくなる

といったものがある。
勿論デメリットも存在し、

  • 年俸が上がりづらく、選手との軋轢が生じる可能性がある

  • 訴訟大国といわれるアメリカで形成されたシステムの為、そのまま取り入れても日本には合わない可能性がある

ことがあげられる。


シングルエンティティは採用すべきか

しかし、このシステムを採用したとしても、収益を上げることができなければ無意味となる。
MLSの手法から学べることはあるだろうか。

例えば、リーグの一番の収入はチケット収入だが、MLSでは販売の為に電話セールスを利用し、しかもそのスタッフが非常に多い。

チケット収入を重視せず、無料券招待を利用して観客を増やしていったJリーグ、それどころかNPBでさえも、この手法を真似するのは難しいと思われる。

また、アメリカのプロスポーツリーグ自体がそうなのだが、親会社がチームを持つだけでなく、個人オーナーもチームを持つことで投資額を大きくし、リーグ全体の価値を高めている。

最も、こういった点はプロスポーツビジネスにおける考え方の違い等で割り切れる部分はあるので、下手に真似をするのではなく、日本独自の強みを押し出していくのが得策だろう。

また、その新リーグが成長すれば、いずれはシングルエンティティを撤廃する必要も出てくるだろう。
年俸が上がりづらいというのは、選手の競争意欲を削いでしまい、世界を舞台に戦える選手が捻出されづらくなる。
そうなれば、今までと比べてもリーグ全体のレベル上昇が緩やかになってしまう可能性がある。

もしシングルエンティティを採用するならば、リーグの収益構造を明確にしたうえで、経営が安定してきたら撤廃、といった形のほうがよいだろう。
勿論、そのシステムを採用せずに、NPB同様の経営手法を取り入れても問題はないとは思われる。

※日本では、新リーグ創設を目指すハンドボールリーグが、このシステムを採用する予定だった。

上記の場合は、新リーグ創設の際にチームを厳選しようとしたが為に、危うくリーグ分裂まで行きそうになったが、結果として現行のチーム全てが新リーグに参加する形となっている。



NPBとの差別化は可能か

そもそも競技が違うのだから、別段差別化などしなくても問題はないのだが、クローズドリーグにするにあたっては、一大コンテンツでもあるNPBとどのように違いを生み出せるだろうか。

サッカーの競技特性上の問題を除き、現在NPBが行っていないことを行えれば、今までのJリーグのようにNPBとの差別は可能だと思われる。


放映権等の管理

既にJリーグで行われていることだが、NPBではリーグ機構が一括して放映権を管理していない。

今までのように独占配信をさせるのではなく、全国のテレビやローカルテレビでも放映できるようにしておく。
もっとも、CMを入れられない問題はそのままの為、放送局側が断る可能性はあるし、第一クローズドリーグにしたところで視聴率が上がるかは不明だ。


サラリーキャップ制度等の導入

クローズドリーグには、多くの戦力均衡策が必要だが、NPBではドラフト制度とFA制度しか存在しない。

それを、サラリーキャップ制度やラグジュアリータックス制度も導入し、より戦力を均衡化させる方向に重点を置く。

ただし、その場合は規定を細かく決めていく必要があり、ルールが煩雑になる可能性がある。
また、それらを導入しても資金力が豊富なチームは強引に解決することもある為、本当にそのシステムを導入すべきかは、議論が必要だと思われる。


リーグの時期をずらす

NPBとの競合を避ける為、2026年からJリーグは秋春制(秋に開催し、春に終了する)を採用する。
新リーグにした際も、これを維持する。

その場合冬季はプレイできないが、アリーナを借りたうえでフットサルを行う、といったことも不可能ではないと思われる
(余談だが、日本には既にフットサルのリーグであるFリーグが存在する)。

ただし、クローズドリーグにしたところで0円移籍問題が解決出来るわけではない。
また、秋春制そのものが日本の気候や文化と合致するかもまだ分からない。



まとめ

最後に、自分の考えた改革案をまとめておく。

  1. クローズドリーグを採用し、戦力均衡と興行を重視させる

  2. クローズドリーグにする場合、厳格な方法でプロチームの厳選を行う

  3. 稼働日数を増やす為の工夫を捻出し、スタジアム周辺の賑わいを創出する

  4. 人工芝の解禁を行う

  5. スタジアム使用料の減免を撤廃し、全て自腹にて支払う

  6. 迷惑サポーターの締め出しを厳格化し、安心して観戦できる環境を整える

  7. 可能であれば、独占放送を撤廃する

  8. 秋春制へ移行する場合、冬季の空白期間を埋める

その他細かな点はあるが、上記のような改革を行えば、リーグとしてさらなる発展が出来るのではないかと考えている。

ここまで変わったらJリーグではないと考える人物もいるだろうが、今までのやり方を良しとせず、より発展する方向へ進めようとしなければ、閉じたコンテンツとなってしまう。
そうなれば、ただ衰退を待つだけだ。

本当に今のJリーグで存続が出来るのか、さらなる発展をさせるためにはどのように変えていくべきかというのは、Jリーグのファンやそれに携わっている人々といった関係者らが考えなければならない。

このJリーグ改革案は、あくまで素人が考えたものである為、強引な点もあるだろう。
しかし、こういった考え方もあるのだということを念頭に入れていただければ幸いである。

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