日商簿記範囲外のEX論点【暗号資産②】~暗号資産による期末評価~

日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。

今回は、暗号資産の論点から「暗号資産による期末評価」を紹介します。
※今後、取り扱いが変わる可能性があります。




1.暗号資産の評価

概要

期末に暗号資産の評価が行われますが、活発な市場の有無で評価方法が変わってきます。

  • 活発な市場がある場合 ⇒ 市場価額に基づいて計上

  • 活発な市場がない場合 ⇒ 取得価額処分見込価額のいずれか低い方

ここでの市場価額は、自己の取引実績の最も大きい仮想通貨取引所・販売所における取引価額となります。
また、付随費用は含めずに算定します。

時価評価を行った際は洗替え法を適用することが一般的ですが、切放し法を適用することも可能のようです。
ただし、活発な市場がない場合の評価減に関しては、切放し法を適用します。


仕訳

期末時の仕訳

暗号資産  XXX  / 暗号資産評価益  XXX
         or
暗号資産評価損  XXX / 暗号資産  XXX

暗号資産の帳簿価額と時価の差額により、暗号資産評価損益勘定(営業外費用・収益)を計上します。


2.活発な市場の有無の変更

概要

何らかの理由で、暗号資産の活発な市場の有無が変わることがあります。

仕訳

活発な市場のない暗号資産への変更時の仕訳

暗号資産  XXX  / 暗号資産評価益  XXX
         or
暗号資産評価損  XXX / 暗号資産  XXX

活発な市場のない暗号資産から、ある暗号資産へ変更になる場合は、暗号資産を、最後に観察された市場価額に基づく価額で計上します。
期末時に、活発な市場のない暗号資産と同じように処理します。


活発な市場のある暗号資産への変更時の仕訳

仕訳不要

活発な市場のない暗号資産から、ある暗号資産へ変更になる場合は、会計上の処理は不要です。
期末時に、活発な市場のある暗号資産と同じように処理します。


3.例題

(1)暗号資産の期末評価

以下の取引について、仕訳を示しなさい。

①期末日を迎えたので、A社が保有している暗号資産B(平均価格:@100千円、8単位分保有)の評価を行った。
決算日レートは、@108千円である。
なお、この暗号資産は活発な市場があるものとされる。

暗号資産  64 / 暗号資産評価益  64

評価益64千円 = (決算日レート@108千円 - 平均単価@100千円) × 8単位

②期末日を迎えたので、A社が保有している暗号資産C(帳簿価額:450千円、4単位分保有)の評価を行った。
決算日レートは不明であったが、処分見込価額は420千円であると見積もられた。
なお、この暗号資産は活発な市場がないものとされる。

暗号資産評価損  30 / 暗号資産  30

評価損30千円 =処分見込価額420千円 - 帳簿価額450千円


(2)暗号資産の市場の有無の変更

以下の取引について、仕訳を示しなさい。

①上記(1)の仮想通貨Bについて、X2年6月30日に活発な市場が存在しなくなった。
この時点での暗号資産のレートは、@105千円だった。

暗号資産評価損  24 / 暗号資産  24

評価損24千円 = (現時点のレート@105千円 - 決算日レート@108千円) × 8単位

②上記(1)の仮想通貨Cについて、X2年7月2日に活発な市場が存在するようになった。
この時点での暗号資産のレートは、@130千円だった。

仕訳不要


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