log:007 30歳のサラリーマンが5万人規模の海外フェスでDJをした話【中編】

前回、UKについてからのレポートはまた次回まとめます!!と息巻いたはいいものの、前編・後編の二部構成では纏まる気がしなかったので今回は中(チュン)編です。それでも纏まらない可能性はあるので中中(チュントイツ)編や中中中(チュンアンコ)編が開幕するかもしれません。

これが揃うと強いというのは風来のシレン2で覚えました。最果てへの道は未だにクリアできません。

Back in the U.K.

表題の曲を歌ってるScooterさんはドイツ人だし僕は日本人なのですが、音楽遍歴的にOasis生まれHappy Hardcore育ちの人間なので「来たぞ!」というよりは「帰ってきたぞ!!」と言いたい気持ちでした。
8年前の年末年始に「UKのパーティ行くなら今しかない!!」と発作的にUKに行ったことがある、というのも相まって感慨深かったです。

8年前に遊びに行ったパーティがこちら。こうしてみると後日に日本にブッキングしてバリ仲良くなって今でも偶にメッセージのやり取りをしてるHellsystemを始めとして、日本で共演する機会のあったGammer、Cally、Joey Riot、Brisk、Al Stormもこの時にUKで体感してたんだな~と思わず遠い目をしてしまいますね。人生って不思議。

緊張の入国審査…だったはずが

さて、感慨にふけるのはいいですが、まずは正式に入国しなくては話になりません。8年前は簡単な質問と宿泊先・帰りの航空券を提示して難なく入国できましたが、今回はどうなるかとちょっと不安なところもありました。
というのも、しばらく前に「またUK行きたいな~」と暇な時にいろんな方の海外旅行blogや記事を読んでいた時に、ちらほらと「ヒースロー空港で入国審査に引っかかり、強制送還された」という記事を見かけたことがあるからです。気になる人は「イギリス 入国拒否」とか「イギリス 強制送還」とかで調べて検索してみてください。
「意図せず変な事言ってしまわんかな…」などと結構心配していましたが、2019年5月より特定の国籍を対象にeGatesなる電子式ゲートがバリバリ稼働しており、基準を満たす人にとってはそもそも入国審査という儀式が消滅していました。

「UK・EU加盟国か、画像の国のIC付パスポートもってる12歳以上の奴は入国スタンプ無しで入れるねん」と言ってくれてます。
かか゛くの ちからって すげー! 
よく言われている「日本のパスポートは世界的に強い」っていう記事等を見てもほんまかいなと思っていましたが、こうやっていざ海外に出るとその有難みを感じられますね。せっかくのパワー、使っていきましょう。
でも、パスポートにスタンプがないのはちょっと寂しいなあと思うのは僕がアナログ好きだからでしょうか。
それはそれとして便利なのは良いことです。

ロンドン~ウィンチェスター

拍子抜けするくらい平穏無事に入国手続きを済ませ、しばらくしてから一足お先に入国していたB45Hと合流し、まずはロンドンからやや南西に位置するウィンチェスターへ向かう事に。
事前に買ったSIMカードを挿して準備万端かと思いきや、そもそも自分のiPhoneのSIMフリー化が国内オンリーの端末だった事を知り無事に死亡するという微笑ましいハプニングもありましたが(IQが1しかなくて全然原因が分からずSIMを2枚買った)、なにはともあれB45Hが事前に予約してくれていたウィンチェスター行のバスに乗り込みます。
この時、同じターミナルから僕らがたどり着く予定であるBoomtown会場行きのバスに乗客がめっちゃくちゃ乗ってて「うわ、本当に大きいフェスやん」とビビッていました。空港直行という事で、本当に各地から人が来るんだなと改めて実感しました。
ロンドン~ウィンチェスターはバスで1時間半くらいの距離だったのですが、道中の景色がひたすら「野」と「森」というキック・ハイハットが延々と続いて偶に家が声ネタとして入ってくるようなテクノ風味だったので「Star GuitarのPVみたいだな」なんて勝手に感心していました。

まだこれの方が景色のバリエーション豊富だったと思う。

B45Hはどうもイギリスのバスの乗り心地に対して決定的かつ致命的に相性が良くなかったらしく、乗ってる間「ぎぼじわるい」と定期的に唸るオブジェになっていましたが、無差別テロをかます前になんとかウィンチェスターにたどり着きました。

おじさん(多分偉い人)も歓迎してくれています。なんで正面から撮らんかったんやろう。
ほどなくして、先にウィンチェスターに着いていたカメラマンのUMAさん(https://twitter.com/iinuo)とも合流!異国の地なのに日本語で初めましてってなんだか不思議な感じがしますね。

イギリスでおじさんからのベストアンサーを得る

Boomtownは郊外の牧場をベースとする野外フェスなので、お客さんも出演者も開催期間中はテントを張ってそこで寝泊まりをします。
だったらとりあえず寝袋がないと話にならんねという事でキャンプ用品店を探す事にしました。先行組であるSavage Statesのkakeponより「少し離れたスーパーマーケットに売ってましたよ」との情報を頂いたので調べてみると、現在地より4kmとの表示が。
「4kmか…」「4kmか…」と3人とも「出来ればそんなに歩きたくない」を無理やり変換したような調子の声を絞り出します。
歩けなくはない距離ですが、なにぶん14時間くらい飛行機に乗ってさらにバスで1時間半。直接体を動かしている訳ではないのですが疲労は30代男性3名のHPを確実に奪い取っていました。出来る事ならそんなに歩きたくないし、近場で探したい。でも土地勘がない。
地元のショッピングモール的な所を散策してみましたが、服はあれどキャンプ用品はなさそうです。
こういう時は地元の人に聞くのが一番だという結論に達し、第一村人こと優しそうなおじさんに声をかけます。

僕ら「寝袋とかのキャンプ用品を買いたいのですが、お店をしりませんか?」
おじさん「どうかなあ…。俺、ウィンチェスター出身じゃないから分からないんだよ」

ちがうんかい。

おじさん「いや、待ていい方法がある。iPhoneのMapアプリを開いて、camping storeと打つんだ」
成程、これがブリティッシュジョークですかと思いつつも打ってみると、出た!徒歩30秒じゃん!逆になんで気づかなかったんだろうと思いましたが、優しいおじさんは僕らが無事に店にたどり着けるよう一緒に着いてきてくれました。ただの良い人でした。
寝袋・上着等を確保した後はスナック菓子等を調達し、タクシーでいざBoomtown会場へ!ここでもB45Hは永遠に吐き気と限界バトルしていました。南無。

Boomtown会場に到着!

20分ほどのドライブを経てBoomtownのアーティスト専用ゲートにたどり着きました。

誇らしげなWELCOME ARTISTという看板と、何らかのアーティストであろう知らないおじさん。

「アーティスト専用ゲートって要するに裏口でしょ!ここさえ抜けたらすぐじゃん!」と楽観的に考えていましたが、甘かった。
夏休みのテーマパークかと思うほどの行列行列行列。
ここで並んでいる人達みんな出演者って事?嘘でしょ…と思っていましたが、冷静に考えるとそりゃそうです。

まずフライヤーの時点でこれですもん。どんだけおんねん。しかもこれに加えて100s More To Be Announcedですからね。全国各地で活躍中のand moreさんが過労死するレベル。
アーティスト通路での受付をなんとか済ませ、前入りしていたJAPAN INVAISONチームとも無事に合流!
無事につってもキャリーケースを持ってプチハイキングしてようやく根城となるテントにたどり着いた感じです。あまりにも会場がデカすぎる。

そもそもBoomtownって?

さて、先ほどのフライヤー画像を見ていただくとなんとなく規模の大きさがわかっていただけると思うんですけど、そもそもBoomtownってどんなフェスなのよという所を全く説明していませんでしたし、ぶっちゃけ僕も実際に行くまでしりませんでした。

そもそも、Boomtownというフェスの始まりは2009年。
イギリスで(というか世界で)もっとも有名なフェスの一つであるグラストンベリー(1970年)や、日本で開催されているフジロック(1998年)やサマーソニック(2000年)に比べるとだいぶ後発のフェスですね。
"town"という言葉通り町を作り、開催年ごとにその町のストーリーが進行していく…というモチーフみたいです。町の発展という事で回を重ねるごとに規模が大きくなっている人気フェスです。

町の全体図はこんな感じなんですが、メインとなるステージの隙間を埋め尽くすように様々な催し物や物販ブースがあって、下手な町より大きいっていうか僕の住んでる町より人口多いわこれ。
https://www.boomtownfair.co.uk/stage/
こちら、ステージや催し物についての解説がされているんですがマジで追いきれない。そもそも自分はどこのブースでDJやるんだ…!?
とめちゃくちゃ混乱していましたが、今年から新設されたブース、Broken Coreというステージでやるのは何とか把握していました。
「新しいステージって事は小さいところなんかな?」と思ってましたがみんなに聞くと「そうやね~だいたい500~600人くらいの規模ちゃうかな」というお返事。そもそもの規模が大きすぎるので感覚がマヒしてますが、それだって結構な人数です。大丈夫か自分。なにはともあれ、会場にたどり着いてひと段落。僕にとってのBoomtownが始まりました。

Boomtown 初日(木曜日)

Boomtown初日とは書いたものの、あくまでもそれは僕にとってというだけでBoomtown自体は水曜日から始まっています。
15時くらいに到着したのですが、自分たちがDJする予定のBroken Coreステージを含め、クラブミュージック的なステージは夕方までは開いていないみたいなので、ひとまずは町並みをぶらぶら歩いて観光したり、適当に音の流れている方へ向かってみたり…というのを繰り返していました。
「サイケ流れてる森ありましたよ!!」という証言をもとに山を越えていくと確かにPsychedelic Forest(略称:Psy森)というめちゃくちゃ分かりやすい名前のステージがあってそこで予想以上に踊ってしまったりと、一応は自分なりに考えていた「この時間帯にこのDJは観たいな~」というプランが全部めちゃくちゃになりました。まあフェスってそんなもんですよね。最高!

まさにこんな感じでしたっていうか、今思うとこれ過去のBoomtownでの映像じゃないかしらと思う。場所に見覚えがありすぎる…。

さて、2~3時間ほどウロウロした後に、自分たちがやる予定のBroken Coreで踊ったりこれまたハードな音がメインのScrap Yardで遊んだりしているうちに、22時ごろにとうとう体力が終(つい)になってしまったのでテントへ避難。
よく考えたら朝8時から動きっぱなしだしそりゃそうです。
外はいつの間にか雨模様に。イギリスは天気がコロコロ変わると聞いていましたが会場は山の上なのでなおさらかもしれません。
これから日曜日までテント暮らしか…。やっていけるかなあ…と心配した30分後に爆睡していました。テント生活の素質がありそうです。

Boomtown 2日目(金曜日)

「あれ、寒くない?」
いきなり何を言っているんだという感じですが、起きた時の寒さにびっくりしました。さすがイギリス、ジャパンとは気候が全く違うぜということでiPhoneで気候を確認すると見たことのない風のマークが現れててウケました。

一番上のやつですね。生きてるうちに竜巻マークとかに遭遇しないことを祈ります。

さて、いよいよDJ当日…という事でATSKクルーのMike、B45Hと「どんな感じでやろうかしらね」と軽く話し合う事に。
昨日一日だけ色々なブースでお客さんの反応を見た結果、共通したのは
・ずっと四つ打ちよりもamen多めの方がよさそう
・踊り続けたい人が多いようなので、あんまりブレイク大きい曲を連発しないほうがいいかも
・ガバ・ブレイクコアの人気が凄いので、結構ハード目でも大丈夫そう
というところ。

フライヤー画像の時点でだいぶ厳ついですもんね。真ん中に申し訳程度にいるスマイリーマーク君を信じましょう。


ハード目の方がウケそうだけど、Happy Hardcoreのパーティクルーだしハッピーなのもかけたいし、まあどうするかは各々の判断でやりましょかという極めてフワフワした着地で落ち着きました。まあいけるっしょ。つーかこれからっしょ。
お昼過ぎまではぶらぶらしていましたが、何より今日は自分たちの出演本番なので少し早めにBroken Coreステージへ。
今回の運営の方々ともここで初めて挨拶を行う。みんな気さくでいい人たちばかりでした。
これだけ大きいフェスでのステージだけれども、ステージの設営からほぼ全部自分たちでやっているとの事で、DIY精神というのがなによりも大切なんだなあと思い知らされました。

居てた時は当たり前のように受け入れてたけれども、芝の上で踊るってなんだか新鮮でしたね。

JAPAN INVASION、スタート!!

今回、JAPAN INVASIONはオープニングアクトで、ATSK CREWがまずは先陣を切るという形でスタート。
渡英してる時点でそうですが、全てがいつもと違うので緊張しているのかしていないのかよく分からないテンションに。いや緊張はしている。
オープンだし、お客さん全くいないとかじゃなかったらいいな~と思いつつスタートを待っていると、kakeponから「凄いっすね、外観てきましたけどオープン待ちで並んでる人らいますよ!」との事。
マジか!嬉しいなあなんて呑気に捉えてたんですが、すいません正直舐めてました。

ええ~マジで!?と思いましたが、嬉しいのには間違いないし何とかこの熱量をキープしたまま後の皆にパスしたい!という感じで今までの経験フル活用してました。ただ、正直自分自身もテンション上がりすぎたのもあってところどころ記憶が曖昧な感覚があります。

最終的にBPMも200程度まで上がりましたが、Broken Coreステージを楽しみに来た人らからすると「これでしょ!!」という感じなのかフロアのテンションもいい感じ(多分)のまま次のSavage Statesへバトンタッチ。
JAPAN INVASIONチームを始め、他の皆からも「良かったよ~めっちゃ盛り上がってた!」との言葉も頂け、なんとか役目を果たせたのかなあと。

いやはや、踊ってくださった皆さんありがとうございました(多分このページは読んでないだろうけど)

結果的に言うと今回もJAPAN INVAISONとしては全員カマしまくれたので、前々からのBangface~Bolterからの流れをそのまま受け継げたのかな~と思っています。
とはいえ、今回楽しくDJ出来たのも関わってくださった方々の努力の上にあるものなので、またこのいい流れを次のステージに引き継げるようにに頑張らないとなと今更ながらに思います。誘って頂いたNMDBさん本当にありがとうございました。

向かいのブースのやべーやつら

さて、何とか出演者としての責務を果たしたので、後は遊ぶぞ~という所で、一か所気になり過ぎるブースがあったのでそこに行くことにしました。
その名もHITECHNICIANS
百聞は一見に如かずという事でこちらをご覧ください。

いやもう誇張表現抜きにずーっとこれ。
なんならこの動画で流れてる曲はBPMがまだゆっくりくらい。
まずこの音だけで巨大フェスに1ブース作れるだけでもおかしいけれども、それがまあまあ盛況なのもおかしい。いやみんな楽しそうだしおかしいのは僕の方なのかもしれない。
それはともかく恐らくBoomtownでもトップクラスに尖ってるこのブースにすっかりやられてしまい、Broken Coreとの距離が近いのも相まって遊びに行くときはBroken Core~HITECHNICIANSの高速反復横跳びを敢行していました。やっぱり早い音楽最高~!

中編ではBoomtown終了まで書けたらいいなって思ってたんですが、さすがに情報量が多すぎましたね。
次回はBoomtown終了~宿に到着くらいまで書けるかな?未完にならないようちゃんとします…。

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