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【取材後記】京都市観光協会さんに「地域のデジタル化を推進する方法」について伺いました。

皆様、こんにちは!SELECK編集部の吉井(@meru_y1996)です。

そろそろ外出したくなってきた今日この頃。先日、友人の一人から「うちの会社の20代の女の子2人、一人暮らしなんだけど鬱になっちゃってさ。大丈夫?」という連絡がきたのですが、やはり在宅は向き不向きがあるのだなあと実感…。

自分は良くも悪くも、環境に適応してしまうタイプなので、4月は毎日散歩に出ていたのが、今は1週間家を出なくても平気になりました(笑)。とはいえ、やはり適度な息抜きは大事ですね。

さて今回は、なんと!「京都市観光協会」さんに取材させていただきました。長らくSELECKをご愛読いただいてる方は「驚き!」なのではないでしょうか(笑)。

学生時代に地域活性の事業に少しだけ関わっていた身としては、DMOとして活躍されている方のお話を聞けるなんて!と、取材前からワクワクが止まりませんでした(笑)。

1.取材の背景

新型コロナウイルスの影響で、大打撃を受けた「観光産業」。オリンピック開催も踏まえ、つい最近まで「インバウンド」での観光振興を推進していた日本ですが、国外からの観光客数は激減

観光庁は6月に令和2年版の「観光白書」を公開し、2020年4月には前年同月比で99.9%も訪日外国人旅行者数が減ったと発表しました。

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(参考:観光庁が令和2年版「観光白書」発表、新型コロナの影響が浮き彫りに

そうした中コロナの状況を鑑みて、いち早く対策に講じたのが、今回取材させていただいた京都市観光協会さん。京都市観光協会さんは会員数1500を超える、国内最大規模のDMO(※)です。需要回復後までを見越した長期的な戦略で、3月ごろから様々な施策を行ってきたといいます。

DMO…(Destination Management/Marketing Organization)…観光庁が認定する「観光地域づくり法人」のこと。

ヒアリングでは、コロナ禍におけるITを活用した様々な取り組みに対し、事業者を巻き込むために各人の「デジタルへの慣れ具合」に合わせてアプローチをしているとのこと。

例えば、あまりデジタルに慣れていない人に対してはなんでも相談できる窓口を設置し、電話などのアナログな方法でもアプローチ。対し、すでにITを活用している層に対しては情報提供やクラウドファンディングをまとめたサイトの開設などで事業スピードの加速化を支援。

そこで今回は、その「関係者の巻き込み方」が、多種多様なターゲットに向けて事業を展開する読者のみなさまの参考になるのではないか、と思い取材をさせていただく運びとなりました。

2.「DMO」とは何か

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少しだけ豆知識として。「DMOって名前を聞いたことはあるけれど、実際どんな組織なの?」と感じられている方も多いのではないでしょうか。

DMOとは、先述しましたが「Destination Management/Marketing Organization」の略で、観光庁が認定し、官民の幅広い連携によって観光地域づくりを推進する法人のことです。

マーケティングやマネジメント、ブランディング、データ収集・分析などを通じて、地域の観光業者を取りまとめ、地域経済の活性を図ることが主な目的です。

DMOは元々2007年に世界観光機関「UNWTO」が定義したことで世界的に知られるようになりました。国内では人口減少・少子高齢化などの社会的背景から「地方への人口流入を増やすため」(いわゆる「関係人口」的な思想ですね。)に、DMOの活躍がより一層求められるようになりました。

▼参考記事

では、なぜDMOのような存在が必要なのか?

まず前提として、観光においても「誰をターゲットとするか」「町としてどのような観光地域を目指すか」「観光を通じて来訪者にどのような体験をしてもらいか」など、マーケティングやブランディングの視点は本当に重要ですが、それを一元的に担える人がいないことも多い。

「みんなでやろう!」と、声をあげる人もいるけれど、地域って「人間関係」がやはり濃いんですよね。「◯◯さんの考えには同意できないから参加しない」なんてこともザラにあります。

仮に、町の観光業者で何人か集まった組織ができたとしても、後継者の問題や、資金不足故に「入り口」として機能しているだけで、大きなプロジェクトができない、なんてこともあるんです。

では、「よそ者」が「みんなで頑張ろう!」と言えば成り立つか、というとそれも難しい。「よそ者だし、どうせいつかいなくなってしまうんだろう」とか、「あいつは町のことを何もわかっていない」と批判される場合もあります。

「やはり行政がやったらいいのでは?」と思うけれど、どうしても「公平性」が求められてしまう行政ではなかなかスピーディーに動きづらい。

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こういう状況でどのような存在が必要なのか? というと、「『町』という組織を経営する」視点をもち、地域の「ハブ」になれる存在。

そのような存在になるために必要なのは、まずは、客観的に町の魅力を発見し、地域の事業者同士の関係を俯瞰的に見ることができる「鳥の目」。

さらに、「頑張る人」と共に事業を推進していきながらも、既存の人間関係をできるだけ壊さないようにする関係調整能力

そして、世界や国内情勢を踏まえて戦略的をたて、ヒト・モノ・カネを動かすマーケティング力

そうした役割を果たし、事業者と行政の間をとりもっているのが「DMO」なのです。

3.本事例のポイント

本事例のポイントは、主に2つ。

まずは本記事のメインテーマである、「デジタルの慣れ具合」に合わせた関係者の巻き込み方。この巻き込み方のノウハウは是非記事本編をご覧いただけたらと思います。

そして二つめは、京都市観光協会さんのDMOはあくまで「プラットフォーム」という考え方

実際、1,500社に及ぶすべての事業者を、私たちだけで直接的に支援することはなかなか難しいです。最終的には、事業者同士でも新しい取り組みやビジネスが生まれていく形が理想だと思っています。

そのためにも、事業者の方には「京都市観光協会に所属していてよかった」と感じてもらうことが一番だと思いますね。(本文より)

国や自治体に頼らず、問題が生じた時は自ら解決できるような仕組み作りが大事だと、今回取材させていただいた小笠原さんはお話されていました。

DMOの失敗例でよく言われているのが、DMOが率先して取り組んだ結果、周囲の人がついていけずに活動が「形骸化」してしまうこと。

地域観光づくりの究極の理想は、間を取り持つ人がいなくとも、行政と民間が一体となり、町の中の情報をうまく循環させて、「一緒にやろう」「新しいことやろう」という動きが出てくることですよね。

そのためにも、いかにDMOが地域の「潤滑油」になれるか。その思想的な部分も今回の取材でお伺いしたので、是非記事でご覧ください。

4.最後に

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私たち消費者が「観光」というワードを聞くと、やはり「キラキラした世界」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

しかし、「観光」はその地域の文化を継承するために必要なもの。確かに、事業継続のために稼ぐことも必要ですが、「町としてどのような観光を目指すか」を決めないまま観光を推進してしまっては、「お金を稼ぐこと」の数字だけに目がいってしまうのも仕方がないことだと思います。

観光においてもSDGsという考え方もだいぶ普及してきましたが、人口減少・小子高齢化を踏まえると、今の観光地域づくりで重要なのは「持続可能」であること。

私個人としては、その町に暮らす人々が活きいきとしていることが、結果として町の文化継承・魅力発信につながるのではないかと考えています。

他の地域が成功しているからといって無理に「ゆるキャラ」を作ったり、大型施設を誘致する必要もない。

「こういうことがしたい」「こうなりたい」と理想を掲げ、行動をおこしている人たちをサポートする存在が地域には最も必要なのだと思います。

ということで、今回はこの辺りで!

今回取材させていただいた京都市観光協会さん、本当にありがとうございました!

また、SELECK編集部noteでは、引き続き様々なコンテンツを出していきますので、是非フォローしていただけると嬉しいです!

では、またお会いしましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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