見出し画像

宮島達男「Time Train」展Six(大阪・心斎橋)

宮島達男さんの作品、「Time Train」展を観に行った。

Six(大阪・心斎橋)はコム デ ギャルソンのビルの2階。

 

このとってもお洒落な感じの現代アートを観に行きたいと言い出したのは、

実は81歳の義父。

新聞記事の紹介を読んで、見てみたいと思ったらしい。

 

なので、私と主人は何の展示なのかよく知らずにお供したので、

会場に入ってみて・・・・最初、戸惑った。

 

心斎橋の東急ハンズの裏手、

お洒落なファッションビルの二階に上がると小さな入り口。

入場料は?とキョロキョロしてみたけれど、人影はなく、(入場無料)

低い入り口をくぐってみると、

中はがらんとした薄暗いスペースで、ビックリ。

 

コンクリートの打ちっぱなしの密閉されたスペースに傘のついた裸電球がふたつ、

橙の暗い灯り。

 

部屋の壁を這うように長く組み立てられたレールの上を模型列車が静かに走っている。

シャーシャーと響くモーター音は、まるで雨音のようで物悲しさが増す。

 

列車はいくつもの貨車を引いており、

その車内には、たくさんの四角いLEDが詰められていて、その一つ一つがそれぞれに青い数字を点滅させている。

 

……模型列車が走る光景というのは、もっと楽しいものだ。通常。

この暗さは何なんだろう??

 

英字で書かれたテーマ名を読んでみる。

「Time Train to Auschwitz」

 

そうか、なるほどーーーー

アウシュビッツへ向かう列車なのだ。

 

この空間を満たしている静かで悲しい寂しさが、急に重い意味を持ち始める。

そうして、9から1まで数字をカウントダウンさせていくLEDの青い光が何なのかが見えてくる。

 

狭い車内にすし詰めにされ運ばれていく人たち、一人一人の命の光。

 

青く美しく、物悲しく、弱く光りながら、やがて「1」の次は…光が消え、黒くなる。

車両の中で身動きもできず、

逃げ出すことなど、できるはずもなく、長い長い線路の上を運ばれていくのだ。

 

非常にシンプルなつくりのように見えたが、

模型好きの義父によると、

列車を同じスピードで長時間走らせ続けるのは簡単ではなく、

油差しなどのメンテや、電圧の配慮が必要とのこと。

…さ、さすがマニア!視点が違うわ!!

※2010年12月の記事再掲

今朝のNHK日曜美術館「現代美術のスター共演」の対談、とても良かった…。
思わず、聞き入ってしまったわ。

最後まで読んでくださって、ありがとうございます…! 「おもしろかったよ~」って思っていただけたら、ハートマークの「スキ」を押してみてくださいね。 コメントもお気軽に!