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オカマバーの雛鳥

『あらすじ』
 敦は先輩の平田にオカマバーに連れて行かれ、新人の可愛らしいヒナを見て一目惚れする。
 しかし、そこに現れた柄の悪い男、島田はヒナを無理矢理自分のものにしようとして…。

利用契約について https://note.com/merrow15/n/n6802d670f4df

性別変更不可。人数変更不可。
中身の性別は問わない。

『キャラ設定』

《敦》
あつし。28歳サラリーマン。男。
真面目な男。
優しく、真っ直ぐなところがある。

《平田》
ひらた。33歳サラリーマン。男。
敦にとっては会社の先輩。
男友達が多く、後輩にも慕われている人としてはいいやつ。
そのせいか、彼女には執着心がないため、振られがち。

《ヒナ》
ヒナ。24歳オカマバーの店員。オカマ。
まだ上京したばかりで友人はいない。
オカマバーでは、みんなの妹として他のメンバーにも可愛がられている。
優しく可愛らしい家庭的な子。

《ママ》
オカマバーのママ。年齢不詳。オカマ。
スタッフのママであり、お客様も家族のようなもの。
本人もそう言っている。
たまに男が出ちゃうのは内緒。

《島田》
柄の悪い男。30歳金貸し。
ヒナを付け狙う嫌な奴。

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『本編』

ママ:ここはおかまバー[愛の惑星]、通称ヴィーナス。私はオーナーのキューピー。
 世にも不思議なことに、このバーでは様々な愛のストーリーが奏でられるの。さしずめ、私は愛のキューピットってこと。うふふ、素敵よね。
 そして今宵もまた、新たな愛が生まれる。
 さぁ、勇気をだして開いてご覧なさい!!真実の…愛の扉を!!

(間を開けて)

ヒナ:あ、いらっしゃいませ。

平田:ちーっす。
 お?見ない顔だな。

ママ:最近入ってくれた子なのよ、可愛いでしょー?
 ヒナっていうの、優しくしてあげてねぇ。

平田:女の人?

ママ:何言ってるのよ。ここをどこだと思ってるの?

平田:オカマバー。

ママ:わかってるじゃない。

平田:まじかぁ…。
 そんなこともあるんだなぁ。
 …つか、お前いつまで外にいるつもりだ?
 早く入ってくんないと、ドア閉めれないだろ。

敦:あ、すみません。

平田:そんな緊張しなくても大丈夫だって。
 まじでここ、楽しいしみんな優しいから。

ママ:なによその、アットホームな職場ですみたいな言い方、余計怯えちゃうでしょ〜?
 あなた、平田ちゃんに無理矢理つれて来られたの?

敦:あっ、いえ…少し、興味があって。

ママ:あらぁ、嬉しいわぁ!
 だったら遠慮なく入ってらっしゃいよ〜。
 私が腕によりをかけてとびきり美味しいおつまみ、作ってあげるわよ〜!

敦:あ、ありがとうございます。

平田:な?いい人だろ?

敦:う、うん。

ヒナ:えっと…こちらに、お座りください。

敦:えっ。
 (ヒナの可愛さに、思わずフリーズしてしまう)

ヒナ:あの、こちらへ。
 …えっと…?

平田:敦?おーい、あーつしー??
 …お前、それはあからさまに見とれ過ぎじゃね?

敦:えっ?

平田:ヒナちゃんのこと、ガン見しすぎ。

敦:えっ?…あっ、ああっ!
 すっ、すみません!あまりにも、可愛かったので、つい!!

ヒナ:あの…ありがとう、ございます。(微笑み)

敦:天使かよ。

平田:ほんと、可愛い子だね。
 どっからどう見ても、女の子にしか見えない。

ママ:ほんっとこの子、可愛いわよね〜、わかるわぁ〜。
 でーもっ。
 私にとって従業員達は、可愛い可愛い娘達なの。私の目が黒いうちは、簡単には口説かせないわよ?

平田:俺は口説くつもりはないよ〜。俺は、な。

ヒナ:たくさん褒めてありがとうございます。
 でも、私にもちゃんとついてるんですよ。

敦:ついてる?

ヒナ:はい。ついてるんです。アレが。

敦:あれ…。

平田:ふむ。
 顔が可愛くても、発言がなかなかの過激なとこはママにそっくりだな。

ママ:あら、それはどういうことかしら?

敦:僕はソレでも、全然…。

ママ:あら?あらあら?あらあら、まぁまぁ!
 貴方、もうすでにヒナにゾッコンなんじゃない!?

敦:そっ、そんなことっ…。
 えっと…。
 ひ…ヒナちゃんっていうんだ。
 名前まで可愛い。僕は敦。よろしく。

ヒナ:さすがに源氏名ですけどね。
 敦さん、あらためてよろしくお願いします。

敦:よっ、よろしくお願いします!!

平田:ははは。お前も、男だったんだなぁ。

敦:どういう意味ですか!

平田:いんや。色恋沙汰とか、聞いたことなかったし。

敦:先輩は、とっかえひっかえですよね。

ママ:あら、貴方まだやってるの?だめじゃない、女の子泣かしたりなんかしちゃ。

平田:やってませんよ!
 ただ、一人一人が続かないだけなんだよ。
 …なんでだろうな?

敦:恋人いても、平気でこういうとこやキャバクラに簡単に行っちゃうからじゃないですか?

平田:えー!
 彼女とおかまとキャバクラは全くの別もんだろ?!

敦:そういう問題じゃ…。
 っていうかもう、行く頻度がおかしいんですよ。
 いつデートしてるんだろうって思うくらい。

平田:わっかんねぇなぁ。
 やることやってんのになぁ。

敦:ほんと、女関係になると最低になりますよね、先輩は。

平田:なんでだよー!!

ママ:ちょっとあなた達、いつまで立ち話しているのよ、さっさと座って…。

(ママが言い終わるまでに島田が入ってくる)

島田:おう。ヒナいるか?

ママ:あっ…あらあら、島田さん、いらっしゃい。
 んもー!ヒナばかりではなく、たまには私にも構ってちょうだいよー!

島田:あ?俺はヒナをだせっつったんだ。いいからヒナ出せよ、あ?

ヒナ:はっ、はい!

ママ:ヒナちゃん!
 …いいの、あなたは出なくていいのよ。

ヒナ:でっ、でも…。

島田:いいから早くしろや!

ヒナ:はい!ただいま!

ママ:ヒナちゃん…。

平田:なんだあれ。かなりわかりやすくガラわりぃな。

ママ:…たまに来店してくれるんだけど、ヒナに対する執着度がすごいのよ。
 そろそろ、出禁にすべきかしら…。

平田:あー…まぁ、大丈夫じゃね?

ママ:どうして?

平田:まぁまぁ、見てればわかるから。

ママ:…。
 わかったわ。
 貴方の顔にめんじて、少しだけ待ってあげる。
 でも、少しでも危険だと思ったら対応させてもらうから。

島田:なぁ、ヒナぁ。
 今度、二人で旅行でも行こうぜ?

ヒナ:いえ、そういうのは、ちょっと。

島田:あ?んな硬いこと言うなよ。
 いい夢見せてやるぜ?

ヒナ:やっ、触らないでっ…。(手を叩く音)

島田:あ?てめぇ、なにしやがる!!

ヒナ:あっ、ごめんなさ…。

島田:あーあー、わかってんだろぉなぁ?
 客に手を出したんだ。それなりの詫びってもんがあるだろ?あ?

ヒナ:ひっ、ごっ、ごめんなさっ…。

敦:そっ、そのへんに、しときなよ。
 いや。いい加減に、しろ!

島田:あ?なんだぁ?
 ヒーロー気取りのおこちゃまは引っ込んでな。

敦:おっ、俺は、おこちゃまじゃ、ない!

島田:聞こえなかったのか?
 引っ込んでなっつったんだよ!

敦:ひ、ヒナちゃんが、嫌がってるじゃないか!

島田:そんなのてめぇに関係ねぇだろうが、やんのか?ああ?

ヒナ:あっ、あのっ…私は、大丈夫、ですから…。

敦:でっ、でも…。

島田:やぁっと自分の立場がわかったのか?
 じゃあ、気分転換にこれからデートしようぜぇ、デート。なぁ?

ヒナ:…っ。

島田:おら、行くぞ。
 (ヒナの手首を掴む)

ヒナ:きゃっ!

敦:ーっ。
 その手を、はなせぇ!!
(島田を背負投げ)

島田:っ!!

敦:あっ。

ヒナ:えっ、せっ、背負、投げ?

平田:あいつ、ああ見えて柔道経験者なんだよ。

ママ:あらあら。

敦:ああああっ、どっ、どうしよう…。
 まっ、ままさん、すみません。お客様にこんな…。

ママ:いいのよ。こんなの神様でもお客様でもないわ。
 それより、ヒナ、大丈夫?

敦:あっ、ヒナちゃん、大丈夫!?

ヒナ:はっ、はい。
 えと…。
 助けていただき、ありがとう、ございます…。
(敦に笑顔を見せる)

敦:はわわわわっ!
 てっ、天使の、微笑み…。

平田:あーあ、でれでれしちゃって。
 そんなんじゃヒーローも台無しだな。

ママ:怖い思いさせてしまって、ごめんなさいね。

ヒナ:いえ。
 ママにはたくさんお世話になっていますし、むしろ私のせいで騒がしくなってしまって…ごめんなさい。

ママ:そんな、ヒナが謝ることなんてないのよ?

島田:んっ、んんっ。

平田:げっ。気がついた。

ママ:ヒナ、後ろに下がっていなさい。

ヒナ:でっ、でも…。

ママ:いいから。

ヒナ:はっ、はいっ。

島田:…つー…いてて…。頭、くらくらする…。
 てめぇ、クソガキが、よくもオレサマを…。

敦:なっ、なんだよ。まだ、やる気か?

島田:さっきは油断しただけだ。
 次はてめぇの顔をボッコボコにしてやる。

敦:の、望むところだ!

島田:上等じゃぁ、表でろやぁ!!

ママ:いい加減にしやがれ、この外道が!!
(ドスの効いた声)

平田:ん?今、男の低いドスの聞いた声が店に響いたような…。

ママ:人の店で好き勝手してうちの可愛い娘に手ぇ出したあげく、大事な大事な神様にまで手を出そうってか?
 んなこと、許すわけねぇだろうが!!
 ガキはてめぇだ。ガキはガキらしく、家に帰ってミルクでも飲んどきな。
 言ってもわかんねぇなら、出るとこ出てやろうじゃねぇの。
 ブタ箱に突っ込まれたくなければ、二度とうちの敷居をまたぐんじゃねぇぞ?
 わかったらとっととけぇれ!!

島田:ひっ、ひいいいいっ!!
(慌てて逃げていく)

ママ:二度と来るんじゃねぇぞ!蛆虫野郎!!

平田:おう。これまた、華麗なヤラレっぷり。

ヒナ:まっ、まま。

ママ:あんらぁ〜、いやだわぁ〜。恥ずかしいじゃなぁ〜い。うふふふふ。

平田:これまた、素晴らしい程の切り替えっぷり。
 いやぁ、お見事。

敦:なんていうか…俺が出しゃばらないほうが、早く解決していたみたいですね。すみません。

ヒナ:そっ、そんなことないです!
 私、敦さんに助けられて…その。
 うっ、嬉しかった、です。

敦:ヒナちゃん…。

ママ:なんだか上手く行ったみたいね。貴方の望み通りかしら?

平田:あれでも俺の可愛い後輩だからな。
 幸せを手伝ってやんのは、先輩の役目だろ?

ママ:それで女の子泣かしてちゃだめじゃないのよ〜。

平田:ははは、痛いとこつかれてんなぁ。

敦:こうして、俺とヒナのラブストーリーは始まったんだけど…それはまた、別のお話。

 おしまい☆

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