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アヘアヘキングダム1st Season Story 13

<Rakia’s Case ―― ラキアの場合>
ビザの種類を間違えた。僕が取らなきゃいけなかったのは、観光ビザじゃなくて就労ビザ。そりゃそうだよね。1か月も経たないうちに一時帰国する羽目になるとは…トホホ。皆に会わせる顔がない…けど、やっぱり会いたいな(。・ω・。) ちょっとだけ、寄っていこう。

<Neesou’s Case ―― ネーソーの場合>
ミサキ先生の言う通り、精神科に連れていくしか道はないかもしれない。

父親は海外を飛び回っていて、母親は病気、妹にいたっては記憶喪失。
当の本人は、無意味な意地を張りまくっている、コンプレックスの塊。

何が家族だ。

…………!
ラキア…お前、なんでここに!?

<Yuimi’s Case ―― ユィミの場合>
帰ったら、普通にラキアたんがいてビックリ!書類上の不手際で一時帰国って…やぱラキアたんはどこか抜けてるw でも、ちょっとだけ皆の雰囲気も和んだ気がする。ニャムサンの笑顔、久々だ。「オメーは、まったくしょーもねえな…」って、ネーソーは呆れ顔。でも、内心は嬉しいはずだ。

あたしも、オーディションのこととか、これからのこととか話してなかったから、ここぞとばかりに聞いてもらったけど、まるで自分のことのように喜んでくれた。ここ最近、アインちゃんのことで正直気が滅入っていたから…
ラキアたんに、救われた気がする。

<Nyamsan’s Case ―― ニャムサンの場合>
そうだった。何かあると私は、ラキアたんに話を聞いてもらってたよね。この感覚、久しぶり(*´∇`*)

「1つにこだわらなくても、いいんじゃないかな」

「遠いけど、近いっていうか。離れていても、みんなと心はつながっているって、僕は思っているよ」

ラキアたんの言葉は、いつも私の背中を押してくれる。

<Fiimo’s Case ―― フィーモの場合>
「僕も、最初は親に大反対されててね。それでも、事あるごとに話をしに行ってさ。あとは、自分の作品とか見てもらったり、強引に仕事場に連れてきたり…w そうやって繰り返しているうちに、徐々に認めてもらえるようになったんだ」

ラキアの言葉に、目が覚めた。

「フィーモも、やるだけやってごらん。時間はかかったとしても、人を幸せにすることなら、いつかきっと分かってくれる」

うん。やるだけやってみる!

<Dialog Neesou and Rakia ―― ネーソーとラキアの会話>
ネ:……んで、いまだ記憶は戻らず、って感じ。
ラ:そうだったのか…何かこんな時に帰ってきちゃってごめんね(´・ω・`)ネ:いや、逆にちょっとホッとしたわ。皆も喜んでいたし。
ラ:それなら良いんだけど…
ネ:ていうか、俺っちが皆を落ち込ませちゃってるからさぁ…
ラ:それは仕方ないよ。
ネ:俺っちなりに、色々考えてやってんだけどな。正直、厳しいわ。
ラ:…あのさ、ネーソー、今の話で思い出したんだけど。
ネ:何を?
ラ:以前、アインちゃんと話したこと。もしかしたら、それが記憶を取り戻す鍵になるかもしれない。
ネ:!
ラ:いや、もしかしたら、だよ。役に立たなかったら、ごめんなんだけど…
ネ:そんなの気にしなくていい。何何??
ラ:まだアインちゃんがここに来て間もない頃、2人が絵で対決したことあったでしょ。
ネ:ああ、俺っちが気絶した時か。
ラ:そうそう。で、あの後「本当に上手なんだねー」って僕が話しかけてさ。そっから、ちょっと絵の話をしたんだけど…

<Dialog Tokiyu and Munetaro ―― トキユとムネたろうの会話>
ト:2人で描いた絵、ですか。
ム:ええ。ネーソー様はその絵を完成させる前に家出してしまいましたので、描きかけのままだったんです。
ト:その未完成の絵を、アインちゃんが完成させたと。
ム:そうです。お嬢様が…確か10歳の時だったと思います。ネーソー様が家出されて、2年くらい経っていましたので。
ト:どんな絵だったんですか。
ム:山でピクニックをしていた時の、風景画です。
ト:ピクニック…
ム:不思議に思われるのも無理はありませんが、その絵には特別な意味が込められていたんです。
ト:特別な意味?
ム:当時、旦那様のお仕事は多忙を極めていました。奥様もまだ体調が良く、オーケストラに所属されていて。その中で、唯一家族旅行…旅行と言えるものだったのかは分かりませんが、ピクニックに行かれたことがあったんです。
ト:へえ…
ム:私の知る限りでは、プライベートでご家族揃ってお出かけされたのは、それが最初で最後だったと思います。
ト:家族の、思い出の絵ってことですね。
ム:はい。奥様も事あるごとに、「この絵は、私の宝物なの」と話されておりました。もちろん、お嬢様も。
ト:ムネさんのおっしゃる通り、その絵はアインちゃんの記憶を取り戻す鍵になるかもしれませんね。
ム:そうなんですが…その絵は、残念ながら今はもうないんです。
ト:え?
ム:絵を保存する倉庫の入れ替え作業をした直後に、倉庫が火事で全焼してしまいまして。
ト:あぁ…
ム:ただ、その絵が描かれた場所を特定できれば、そこにお嬢様をお連れすることは可能でしょう。
ト:なるほど。

<Neesou’s Case 2 ―― ネーソーの場合 2>
幸運にも、お袋があの絵の写真を持っていた。俺っち自身、完全に奥底に眠らせていた記憶。間違いなくコレだ。

少しだけ、光が見えた気がする。

【STORY 14 Preview ―― 次回予告】 
私も、そう思っています / あの景色を求めて
あきらめの悪いアホ / 最後の1人
(✧≖‿ゝ≖) coming soon
※内容は、モデルこそいますが、あくまでフィクションです。
※筆者取材のため、soonでない可能性があります。ご了承ください。

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