コミケ勢力図

2019年冬コミ(C97)でのVTuber勢力図

コミケに行ってきました

冬コミの4日目に行ってきました。主な理由は、自分が寄稿した本が出たからですが、VTuberがどれくらい盛り上がっているのか、誰の本が多いのか、というのを見るのも楽しみでした。

コミケのサークルは、内容が近いものが近いところに配置されるようになっているので、同じVTuberグループの本を扱っているサークルがかなり綺麗に並んでいます。そこで、配置図のどこからどこまでがどのグループかをメモして、図にしてみようと思い立ちました。今回は主にそれをネタに、今のVTuber界を考えていきたいと思います。

今回はオピンピックの影響で東ホールが使えないということで、4日間で行われる変則日程なのですが、ジャンル「デジタル」は4日目の西3,4ホール全域が割り当てられており、VTuberもそのサブジャンルなのでここに集まっていました。以下が西3、4ホールの図で、青いところがVTuber関連でした。西3のほぼ全体と、西4の一部を使っていることがわかります。

西ホール2

西4から西3方向を見たのがこの写真です。遠近感がわかりにくいかもしれませんが、実際にこの場から見ると、奥の壁はすごく遠くて、見渡す限りのサークルで壮観でした。ざっくり計算して750サークルくらいあると思われます。

会場全景

VTuber勢力図

そして以下が、私が目視で調べて、サークルの配置をVTuberの運営会社(いわゆる箱)ごとに色分けしたものです。ベースの白地図は、アニメイベント速報ニュースから引用しました。壁際のサークルは除外しています。境目はアバウトなので、厳密な資料にはならないですが、全体の傾向が分かればと思っています。

コミケ勢力図2

まず青いところが「にじさんじ」ですね。西4ホールにくいこんでいる部分は全てにじさんじです。見てわかるように最大勢力で、誰もが納得でしょう。

赤い部分が「.Live」(どっとらいぶ)で、アイドル部や電脳少女シロが含まれます。最近アイドル部から脱退した、夜桜たま・猫乃木もちも含まれます。

緑の部分が「ホロライブ」です。ときのそらやロボ子も含まれます。

黄色またはオレンジの部分が「774 inc.」で、黄色があにまーれ、オレンジがハニーストラップと一応色分けしています。

ピンク色の部分が「名取さな」で、個人でこれだけの勢力を持っているのはこの方だけです。個人(非グループ)については後で言及します。

色がついていないところは、それ以外のVTuberです。

ものすごく大雑把ですが、これを「島」を単位に数えました。1島は30~32サークルですが、下のほうの島は少し小さいです。

にじさんじ 5島
ホロライブ 3島
.Live 2島
774 inc. 2島

もともと厳密なデータでは無いので、だいたいの傾向ということで。にじさんじはやはり凄いし、サークル主に女性が多いのも特徴的でした。サークル主もお客さんも、にじさんじだけは3割くらい女性ではないでしょうか。男性VTuberが多いし、女性VTuberにも女性ファンがついているようですね。

にじさんじ以外では、名取さな関連のところも女性が多かったです。他は男性がダントツですが、女性も1割くらいはいて、ライブイベントなどよりは女性比率が高い印象でした。

ホロライブは、にじさんじよりサークル数は少ないですが、人数が少ない(にじさんじが100人以上なのに対して30人)ことを思えば凄いと言えます。正直驚きました。

.Liveは、今回の参加サークル数を見る限りは人気です。人数はホロライブよりさらに少ないわけですし。ただ、夜桜たま・猫乃木もちの脱退でゴタゴタしており、脱退した夜桜たまちゃんの本がかなり多かったので、今後が注目されます。

774 Inc.は特にハニーストラップ(オレンジの部分)が凄いですね。メンバー4人だけでこれなので。YouTubeのチャンネル登録者数は周防パトラが突出して多く、他のメンバーは10万人未満なのですが、どのメンバーにも多くの本が出ていました。あにまーれも3人しかいない少人数グループで、因幡はねるの本が多かったですね。

画像4

個人(非グループ)についていえば、名取さなが1島には届かなかったものの、20サークル以上あってダントツでした。一人でこれは凄いでしょう。なお、上下に分かれている領域のうちの下側は「さなねる」もの(名取さなと因幡はねるのカップリング)が集まっており、ここでは名取さなにカウントしています。

他に非グループとしては、「ヒメヒナ」「キズナアイ」「おめがシスターズ」がまとまって配置されていましたが、いずれも(この図の範囲内で)5サークル前後だったと思います。

感想と今後

まず感想としては、コミケでの人気(サークル数)と、YouTubeでのチャンネル登録者数は関係ないということですね。登録者数で言えばダントツに多い、キズナアイ、輝夜月、ミライアカリなどの同人誌はむしろそれほど多くない。

同人誌の数が多いことが「VTuberの人気」と比例するわけではありません。しかし同人誌がたくさんあるということは、お金や時間を使う濃いファンが多いという指標の一つではあるでしょう。同人誌が多いグループは、ライブイベントでも大勢の人を集めるので、それとは相関がありそうです。

にじさんじが多いのは予想通りでしたが、驚いたのはホロライブが多いことと、さらにハニーストラップの多さでした。ハニストは正直、VTuber界でここまでの存在感はまだ無いと思っていました。どちらもグループ内の仲が良く、グループ内コラボを頻繁にやっており、日常ものの百合アニメを見るような感覚で楽しんでいる方も多いそうで、そういうところが同人誌に向いているのかもしれません。

私はコミケに来るのは実は久しぶりで、VTuberの同人誌と言うと成人向けが多いのかなと思っていたのですが、予想よりも少なく、2割以下に見えました。コミックス仕立てものもの意外と少なく、イラスト集的なものが多い印象。VTuberの場合、絵描きが独自の解釈でイラストを描く「ファンアート」が市民権を得ていて、それも同人誌が多い理由なのでしょう。ボーカロイドに似たところがあります。「VTuberに見てもらいたいから作る」というモチベーションもあり(私もそうですが)、そこはボーカロイドとは違うVTuber特有のものでしょう。

イラストを描きたいと思えるVTuberが同人誌で人気を得やすいわけで、名取さなが人気なのはそれも大きいのでしょう。衣装が特徴的(アレンジしたナース服)で、イラストにしやすいので。

こちらの記事によると、今回のコミケでのVTuberの今回のサークル数は836で、前回の夏コミは500だったので、ここ半年で7割近く増えたことになります。すごい増え方では。

私の集計より多いですが、VTuberのキャラクターデザイナー(いわゆるママ)のサークルなど、ジャンル「デジタル」のVTuber以外のものも含んでいるのでしょう。カタログから丁寧に拾っているそうなので。

次回のコミケからは、VTuberはデジタルの下ではなく、独立した1ジャンルになるそうですが、それも当然でしょう。上の記事によると、作品ジャンルとして全体の5位なので。東方の下、刀剣乱舞の上です。ボーカロイドよりは既に大差で多い。

VTuberは話題性という点では一時期より落ち着いて、ブームが去ったように言われることもあるけれど、ライブイベントの数は増え続けているし、コミケのサークル数は急増しているし、つまり一時のブームではなく着実に成長する時期に入ったということなのでしょう。コミケに行って、それを肌で感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?