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エピファニー 2021

日本でもほんの少しずつ知名度が上がってきた「エピファニー」「ガレット・デ・ロワ」
その背景に商業的な意図が見え隠れどころか見え見えであるところはおいておくとして…、フランスの地元民が見るガレット・デ・ロワについて書いてみる。

1. ガレット・デ・ロワとは

キリスト教(カトリックもプロテスタントも含む)の公現祭に食べるお菓子のこと。
公現祭とは、イエス・キリストの洗礼と、東方の三博士の訪問と礼拝を記念して行われるそう。
この祭りのことを「エピファニー」と呼び、1月6日で固定されている。(キリスト教には移動祭日もあるので…)

ガレット・デ・ロワ(日訳:王のお菓子)を食べるようになったのは、古代ギリシャの現在のクリスマス期間に行われていた王と奴隷の一時的な立場入れ替えの習慣(祭り)までさかのぼるが、この、ソラマメ(仏語:フェーヴ)の入ったお菓子を切り分けて食べ、ソラマメが当たった人が王となって祝福を受けるという習慣が、フランスでも慣習となって行われるようになったそう。
現在は公現祭のお祝い、、、というよりは新年の運試し的要素が強く、家族でだけでなく、職場の同僚などと一緒に食べたりもする。
このソラマメも、時間とともにいろいろなものに変わっていき、現在は小さな陶器のオブジェが入っているのがほとんどである。

ガレット・デ・ロワはパイ生地にアーモンドクリーム(仏語:フランジパン)が定番だが、地域によって菓子パンのような生地にドライフルーツが入っていたり、チョコレート味にしたり、リヨンだとプラリーヌ味があったり、多少の地域性が見られる。
日本のお雑煮みたいだなーとか勝手に思う。

ちなみに切り分けは大人がし、フェーヴの上を切ってしまったり、横すれすれを切って切り口から見える場合はそっと奥にかくして見えないようにする。
そして一人がガレットをルーレットのようにしてぐるぐる指さしながら、ガレットに背を向けた別の一人がストップをかけ、指がとまった一切れを誰に渡すかを決める。
ストップをかけて指名するのは、だいたいは子供や年少者であることが多い。子供だとテーブルの下に隠れて指示を出すのが習わしらしい。
ガレットを食べるメンバーがどうあれ、切る人と分ける人が別で、分ける人は意図的にどの一切れを誰に与えるか選べないというのがルールである。
なのでフェーヴがあたるかどうかは本当に「運」なのである。

2. パリで食べたガレット 勝手にベスト3

第3位:ヴァンダーメールシュ
パリ12区にあるアルザス地方系のパン屋さん。アルザスの伝統菓子クグロフがおいしく、パリで一番おいしいクグロフにランキングされたこともある。
パリに住んでいた時、このパン屋近くに住んでいたのはラッキーだったと思う。
中のアーモンドクリームも絶品で、パイ生地もおいしかった。
毎年のフェーヴもオリジナルでかわいらしく、コレクター心をくすぐられた。(全部は集めなかったけど…。)

第2位:デュ・パン・エ・デ・ジデ (言いづらい名前だが…)
パリのレピュブリック広場近くにあるパン屋さん。固焼きのパンや、エスカルゴと言われるレーズンなどをパイ生地に練り込んでぐるぐる巻きにして焼いたものがとっても美味しい。
ここのガレット・デ・ロワもアーモンドクリームがおいしくて、パイ生地が口の中を乾かすことなく、ふんわりと香りが広がった。
フェーヴは丸っこいフクロウ柄。今は違うかもしれない。

第1位:メール
パリには2店舗あるが、本店は北フランスのリールという街にある。
ゴーフルがおいしくて、ここのゴーフルを食べると他では食べられなくなるくらい病みつきになる。
ここも毎年ガレット・デ・ロワを出していて、味が繊細なのが特徴だった。
定番のフランジパンしか食べたことはないが、他にもリンゴやオランダ風、アプリコットなど種類が豊富だった。
デリケートでおしとやか…王のお菓子というよりは女王のお菓子のような感じがした。
フェーヴも毎年テーマがあってかわいらしい。コレクター心をくすg…(以下略)

番外編:レクレール・ド・ジェニ
エクレア専門で有名なお店。ガレットではなく、「エクレア・ド・ロワ」で、エクレアの端っこのどちらかにフェーヴが入っているというもの。
なので2人でしか楽しめないという点はあるものの、アイディアとしてはおもしろい。
フェーヴはエクレア型。
パティシエ、クリストフ・アダムは料理番組とかで辛口コメンテーターである。

3. リヨンで食べたガレット 勝手にベスト3

第3位:セバスチャン・ブイエ
リヨンと東京に店舗を持つショコラティエのガレット。おいしい。
フェーヴもオリジナル。かわいい…というよりは、大人っぽいという感じだろうか。

第2位:ル・パン・デュ・ゴーヌ
リヨンのパン屋と言えばここ。
四角いガレットでアーモンドクリームもおいしい。
フェーヴはいたって普通。ただ当たりフェーヴがあって、商品がもらえたりする。今年はホテルの宿泊券と、ナポレオン金貨

第1位:セーヴ (不動のセーヴ)
言わずもがな、セーヴ。パイ生地がややカラメリゼされていて薄ーいガレット。(写真参照)
初めて買った時は「これ、本当にフェーヴ入ってるの?!」と思ったほど。
アーモンドクリームは濃厚なのにしっとりしていて、、、食べると幸せになるガレットはこれが初めてかもしれない。
パイ生地が飛び散らないから、食べやすさも1位!
フェーヴもオリジナルでデザイナーとコラボしたりしている。かわいいというよりは、セーヴらしいブランド性が出ているという感じ。

いつか食べたい番外編:ベルナション
ベルナションこそ、リヨンのショコラティエの王様である。大統領の晩餐会に出されたチョコレート菓子、その名も「ル・プレジデン(大統領の意)」はあまりにも有名。いつか食べたい…。お店が遠いというのを理由にしてはいけない…。

4. 2021年 今年の運試し

我々夫婦は、毎年3-4個あちこちでガレットを買って二人の間で運試しをしている。こんなに個数を食べる理由は特にない。
そして2020年までは私がフェーヴにあたったことはほぼない
当たったとしても3-4個目のガレットだったし、まったくあたらない年もあった。
2分の1の確率にしては、悲しくなる惨敗具合じゃないか…。

そして今年のRound 1
第2位にしたル・パン・デュ・ゴーヌのガレットを買った時に、食べる前から夫に「さて、王冠被ろうかなーww」とふざけられたりした。
「ヘー、オモシローイ(棒読み)」と言いながらガレットを食べ始める。

ガリッ…ん?(゜゜)

あ、あ、あたったーーーーーーー!!!!!
フェーーーーヴーーーーー!!!!!!ヾ(≧▽≦)ノ

そして「嘘だーーー!!!」と言って悔しがる夫氏。
OTZ

奇跡が起こった瞬間である。
しかもフェーヴはワインとブドウ柄(下部写真参照)というのも、運命的なものを感じる…!

Round 2
第1位のセーヴのガレットを購入。
夫氏「ま、2個目は僕のものだけどね!」とまだまだ強がる。

ガリッ…ん?(゜゜)

おおおぉぉおおぉおぉぉお、、、、あたったーーーーーーー!!!!!
フェーーーーヴーーーーー!!!!!!ヾ(≧▽≦)ノ

そして「そんなバカなーーー!!!」と言って悔しがる夫氏。

Round 3
近場のパン屋さんで、ガレットを買ったらシードルが1本タダ!という文句に思いっきり釣られて買ったガレット。(シードルはリンゴの発泡酒のこと)
夫氏「これで僕が当たらなかったら今年は何かが起こる…。」

ガリッ…ん?(゜゜)

あたったったったったーーーーーーー!!!!!
フェーーーーヴーーーーー!!!!!!ヾ(≧▽≦)ノ

そして「そんなハズはない!ズルしたでしょ!」と言って悔しがる夫氏。
ガレットのどこにズルする要素があるというのか?(笑)

とういことで、奇跡の3連勝を果たした2021年。
何かが起こるかもしれないという淡い期待を抱いて歩き出します。

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<後日談>
その後の夫氏…
「ガレット、あと3つ買おうよ!イーブンにしてやる!!」
おいおいおいおい…(笑


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