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ラベンダーと爽やかなクレレット

日本では北海道でしか見られないと言っていいほど、ある意味で貴重な「ラベンダー」。
フランスではやや寒い北部でさえ雑草のように生えているのだが、やはり本拠地は南部プロバンスである。
あたり一面に咲き誇り、香りがよく、青空との対比が非常に美しいその光景を、つい先日初めて見に行ってみた。

麦わら帽子を被り(じゃないと黒髪は頭が焼けるほど熱くなる…)、サンダルを履き、今年15歳かつ走行距離約15万キロの愛車にムチ打って南へと高速を走る。
途中で降りて田舎道をかっ飛ばし、Saoû(サウと読むそう)という村に到着。
村の駐車場からすでにこの光景が望めた。

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キレイだと素直に思った。
ラベンダーを摘まずに手で少しこすってみると、エッセンシャルオイルを塗ったような濃厚な香りに包まれる。
背後に見える山とのコントラストが爽快である。

村を散策して、軽い昼食を取る。
クラフトビール醸造所の、簡単な食事処に寄った。

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その後小一時間ほど車を走らせてDie(ディ)という町へ。正直な感想を書くが、村自体はよくある「山間の古い村」の一つに過ぎないと思った…。
村の光景よりも、ここでの目当てはスパークリングワインのクレレット・ド・ディ!
意外なことにワインショップが見当たらず、町を右往左往しながらクレレット(ド・ディを略すことが多い)を探し歩き、やっと見つけて数本購入し帰路へ。

行きとは違う道を通りたく、ヴェルコール山脈(アルプスに近い山の一つ)を超えることに。
その途中でラベンダー畑発見!畑の真ん中に数本木が立っていてそれが畑全体の光景を引き締めているように思われた。
見ているだけで清々しい。フランスはやはり美しい。

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その後つづら折りの山道を走り、峠を越えて自宅へ。
素敵なお出かけができて夫と大満足。
ただ、、、愛車にクーラーが無いことだけがしんどかった…。

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(峠からの眺め)


買ってきたクレレットはこちら2本(グラスに注いだ写真を撮るのを忘れてしまった)。

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クレレット・ド・ディを簡単にまとめておくと、
1.Methode dioise ancestrale (いわゆる古代製法): 白またはロゼ。
白の醸造品種はミュスカ(白)が75%以上、他クレレットのみ。
ロゼの醸造品種はミュスカ(白・赤)が75%以上とし、他はクレレットまたはガメイ。
低温でゆっくりと発酵し、その途中で瓶詰。瓶内で発酵を続け、アルコール度数が7-9%程度から販売可能となる。
ドザージュは禁止されており、瓶内での発酵は通常のアルコール発酵の延長である。
2.Methode traditionnelle (伝統的製法):白のみ。醸造品種はクレレットが100%。
ほぼMethode ancestraleと同じだが、ドザージュが許可されている。(添加しないドメーヌもある)
(他、細かい製造規定は割愛する。)

テイスティングの感想としては、
1のMethode ancestraleはブドウ品種の果実味が充実していて、グレープジュースに近い濃厚さがあった。
2のMethode traditionnelleは辛口でスッキリしていて、クレマンに引けを取らない言ってよいと思う。シャンパーニュには少し遠いかもしれない。そして暑い日にさらりと飲むにはうってつけである。
いずれも泡の立ち方がキレイだったのが印象的だった。

私は、スパークリング系はチューリップグラスで飲むのが好きである。
別にチューリップグラスだからと言って味が何か変わる気はしないのだけど、すぼまったグラスの底からきれいに泡が立ち続けるのを見ながら飲む方が、気分的に良いというただそれだけなのである。

クレレット・ド・ディは何よりお手頃価格なのがありがたい。
今回買った2本とも、10ユーロ以下で、日本円でだいたい1000円程度である。

きっと次にクレレット・ド・ディを飲むときは、ラベンダー畑を思い出すだろう。
ちなみにラベンダーは7月中旬以降は加工のために刈り取られてしまうそうだ。今頃は葉っぱしか残っていないのだろう。
そして写真にはうまく映らないが、蜂とバッタが無数に飛び交っているので、虫が苦手な方は遠巻きに眺めることをお勧めする。


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