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側にいる理由は愛じゃない…

本日はこちらの1冊を紹介いたします。本屋大賞受賞作『流浪の月』です。

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著者は凪良ゆうさんです。

凪良ゆうさん

滋賀県出身。長編作『花嫁はマリッジブルー』で本格的にデビューを果たします。以降は各社でBL作品を手がけ、デビュー10周年を迎えました。

その後は非BL作品も多く手がけ、『未完成』『真夜中のクロニクル』『美しい彼』『ここで待ってる』などがあります。

あらすじ

主人公の更紗は両親を失い、叔母の家に引き取られるも、そこで待っていたのは地獄の夜。夜になると恐怖に怯え、完全に居場所を失ってしまった更紗の前に1人の男子大学生が現れる。

「ーーふみ。」

そんな文との日々に更紗は心を取り戻していくのだが、2人の日々は無常にも終わりを迎える。2人にとって世間を理解するにはまだ早すぎたのだった。

そして10年の月日が流れ、再び2人の歯車が動き出してく…。

感想

一言で、最高の作品でした。

生きづらく、不自由な世界で生きていることがひしひしと伝わってきて、人間はみな、『愛』に飢えているのではないかと感じました。

その人にとっての善意が相手の善意とは限らなくて、『愛』という形も一人一人意味や捉え方は違ってくるのです。

今回、更紗は幼少期の恐怖から文に救ってもらい、「ずっと文の側にいたい」と願います。しかし、世間からすれば『女児誘拐事件の犯人』として一生その肩書きを背負わなければならないのです。決して誘拐犯ではないのに…。

その事実を知っているのは更紗と文の2人だけで、何を言っても世間は「可哀想な更紗」と「誘拐犯」という目で見られてしまうのです。

人は本当の根底にある感情や事実を知ることは一生できないのだろうと思います。人の気持ちを理解するというのはこの世で最も難しいことなのかもしれません。

そんな中で、世間からどう言われようと、2人一緒にいることを選んだ更紗と文を私はずっと静かに見守っていきたいです。もちろん、これは架空のお話なのですが…

2人は世間の誰にも理解されなくても、更紗が、文が、お互いが理解者であればそれでいいと。お互いにもう1人ぼっちではないという思いが2人を強く結びつけ、これからずっと離さないだろうなとおもいます。

2人が幸せでありますように…。

私が今まで読んできた小説の中でも特に「読んで良かった」と、オススメな1冊です。まだ読んでいないという方はぜひ!


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