見出し画像

天使に再会した日

もうすぐ息子の誕生日。




いろんな祝い方があるけど
私は誕生日は、母と子2人だけの
特別な日だと思ってる。




究極の体験をして
体から出てくるということ



それを共に行ったのは、他の誰でもない
お母さんと、その子だけだからね。




いや〜息子は難産だった💦




バルーンやらなんやら
あらゆるテクニックを使いまくり
誘発から3日かかってやっと出てきた。




あの時取り上げてくれた助産師さんは
地上の天使のひとりだったと思ってる。




そう、誕生日だけど
これは息子ではなく
別の天使のお話。




私がお世話になった産院は
1人の助産師さんが
いつも担当してくれる感じではなく




時間交代制だった。




3日もいたおかげで、私はその間に
彼女を含め
3人の助産師さんに遭遇していたんだけど




他の助産師さんがしてくれた時は
激痛が走った子宮口の検査も
彼女がすると全く痛くなかったし




何より、初めて会ったとは思えない
隅々までエネルギーがはまっていく感じ・・




ああ、この人に息子を取り上げてもらいたいな〜
と思ったけど




助産師さんのシフト表を見る限り
それはなさそうだった。




3日目、本格的に陣痛が始まり
先生が半ば強制的に
穴を開けるようにして、やっと破水。




でも今度は子宮口が開かない。




私は
涙が出てきて仕方なかった。




ナースたちは、
「どうして泣いているの?」と
何度も聞いてきたけど




自分でも
なぜなのかわからなかった。




おそらく、のちに分かる
出産にまつわる過去生の
辛い経験から来てたんだと思うんだけどね。




そうこうしている間に私は発熱。
ほぼ裸に近いような出産着では
寒くて寒くて




ナースたちに
お願いだから毛布をかけて、
水を飲ませてとお願いしたのだけど




彼女らは私の体温を測ると





「・・正常よ、あなたの体温。
それよりベイビーの方が、破水したお腹にずっといると
体温が上がって危ないから、アイスパックを乗せるわね」




と言って、
寒くて震え上がってる私のお腹に
巨大なアイスパックを置いたのだ。




寒さと熱で朦朧とする・・
今思うと、あの時死んでても
おかしくなかったのかな〜と思うw




叫びたいのに叫べない。
そんな状態が続いた時




例の助産師さんが
救世主のように現れた😳




彼女のシフトじゃないのに
どうして・・?




助産師さんは手袋をはめると
真っ先に、私の顔の近くまで来て
私の声を聞いてくれた。




「寒い・・」




と言うと
「熱があるんじゃないの?」と彼女。




「でも・・体温は正常なんです」
とナースたちが見せたその体温計を見て




「それ、子供用の体温計じゃないの?
こっちでもう一回計ってみて!」




と怒鳴るような声で
別の体温計を手渡した。




私の熱は、39度まで達していた。




すぐに毛布が運び込まれ
肩を温められた。





助産師さんは、結局そのまま
出産までずっと付き添ってくれた。




望み通り
彼女が息子を取り上げてくれたのだ😳✨




勢いよく出てきた息子の体を拭き
「よく頑張ったわね」と言って
私の胸に息子を乗せてくれた。




息子の顔を見て
私が最初に言った言葉は




「Ahh..  I know you」




だった。




久しぶり
やっと再会できたね・・




初対面みたいな感動は
一切なかった。




その時、パパちゃんが珍しく
「You look so beautiful」と言った。




出産を終えたばかりのお母さんが
顔はボロボロでも
内側から、眩しい母性の光を放っていて




美しく見えると言うのを聞いてたから
そういう意味かなと思っていたら




「いや、こんな体験の後なのに
エステ帰りみたいな綺麗さなんだよ・・」




と言うので
それって喜んでいいのか?😑
と思っていた時




ナースの1人がいきなり
私の髪を勢いよく引っ張った。




その時の髪型は
前下がりのボブで





出産直後でも全く、
なぜか髪の毛の1本も乱れてなかったことから




ナースは私が
ウィッグを被っていると思ったんだそうだ。





それくらい、私の髪は
全く乱れていなかった。




(体温計は間違えるわ
患者の髪は引っ張るわ😑w)




あの ”全く乱れなかった” 現象は
今でもなんだったのか
よくわからない。




だってそんなの信じられないくらい
痛みを味わい尽くしたし
体はボロボロだったから。




数日後、退院準備をしていた時
助産師さんが
私に会いに部屋に来てくれた。




彼女は、私の隣に座って、手を握り
まっすぐな目で、こう伝えてくれた。




「あなたの体はね、
今、大仕事を終えて
ものすごく傷ついてるし、疲れてるの。




これから退院して家に戻るわけだけど
お願いだから、赤ちゃんの面倒をみること以外は
何もせずに、体を休めてほしい。




この部屋、すごく綺麗になってるけど
あなたが片付けたんでしょう?




私ね、出産の時のあなたを見て
びっくりしたことがあるのよ。




たくさんの血液検査をしなければならなかったから
もうあなたの腕からは、取る場所がなくなってしまって
仕方なく、手の甲から血液を取ったのよね。




あれはものすごく痛い。
だから私たちも、ごめんね、痛いよね
って言いながら採血したわけだけど




その時あなた、
採血師さんのことを真っ直ぐに見て
ありがとう、って言ったのよ。



あんな痛いことされてるのに
ありがとうって。



あなたはそんなに素敵なのに




自分の素晴らしさに気づいてない、
認めてない




もっと自分を大事にしてあげて」



そしてパパちゃんをキッと睨みつけ
「あんたが掃除しなさい!」と
言った。




私とパパちゃんは、子供ができたから
今ここにいるってだけで




そこに愛が無かったことを
彼女はちゃんと、見抜いていた。




一瞬で
全てを把握していた。




彼女の羽が
見えるようだった。




結局、私は言うことを聞かず
出産後もバリバリ、家のことを
頑張ってしまったのだけどね💦




だって、助産師さんが褒めてくれたことは
アメリカ人の彼女にはすごいことに見えたかもしれないけど
日本人だったら普通だと思ったし




愛されてないなら、
せめて重荷になっちゃいけない、
役に立たなきゃ・・




そんな気持ちだったんだ。




でも、あの天使に会えたことは
一生忘れない。




きっと今までも
いろんな人生で私を助けてくれた





頼もしい、
懐かしい天使だった。



















この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?