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自然に導かれたある夜のこと

今秋の、ある夜のこと。
引っ越してからはじめて行く道を散歩していると、
いつのまにか道に迷ってしまっていた。

迷ったことに気付いた時、スマホの充電は残り5%だった。
その場所では私以外の人間は見当たらなかった。
充電が切れる前に帰らなければと焦る気持ちの中、
少し冒険の香りもして、旅に出た時のようにワクワクしていた。
ここはどのへんなのだろうとマップを見ながら辺りを見渡していると、
私が立っている場所は緑地公園のすぐ隣の道だということがわかった。
マップで調べてみるとこの公園は自宅から15分程のところにあった。

私は、普段から定期的に自然に触れたくて触れたくてたまらなくなる。
草木や花や海や川、その周りを包む空気達と、一対一でゆっくり話をしたくなる。
1人旅に行って、トレッキングをしたり、自然に包まれた神社に行くこともある。
さらにいくつかの占いでも木の属性だったりして、
普段から、自然との魂の結びつきが他の人よりも深いような気がしていた。

しかし、自宅の近くにこんなに広い緑地公園があることは知らなかった。
たしかに人通りの多い道を避けて歩いてはいたが、
何も考えず気の向くままに歩いていただけだったので、
緑地公園に着いた時、自分の潜在意識はどれほど自然を
求めているのだと驚いて笑ってしまった。

公園の入り口を覗くと、そのまま飲み込まれてしまいそうな気配を感じた。
町の緑地公園と言えども、夜の闇に包まれた自然達の迫力は私の恐怖心を湧き立たせた。
誰か人が中にいた場合の恐怖も感じたので中までは入らなかった。
自分にとっては、今の日本の人間社界の方が恐ろしいのかもしれないと思った。
比べるものではないかもしれないが。純粋にそう思った。

緑地公園に生い茂る草花や、高い木のすぐ隣を歩いていると
脳の神経になにか特別な静電を直接流されているのかと思うほど、
脳の芯からビリビリする感覚を覚えた。
その後、驚くほど頭がスッキリしていた。
私はこの時、本当の意味で自然と会話できたような気がした。

やはり私は自然に包まれた場所で、人よりも自然の声に
耳を澄ましながら生きるべき人間なのだと改めて思った。


そして私自身も、自分の心の自然に任せて生きると決めたのだ。


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